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【BMP-1】 †
旧ソ連はチェリャビンスク・トラクター工場が開発した世界初の歩兵戦闘車。
兵員輸送車でありながら旧世代の戦車に匹敵する重武装が施され、歩兵の展開後に積極的な火力支援?を行う事ができる。
その画期的なコンセプトから、登場時には「BMPショック」を各国にもたらす事となった。
BMP-1を配備された機械化歩兵部隊は「自動車化狙撃兵」と呼ばれ、畏怖されていた。
車体は避弾径始を考慮して大きく傾斜した舟型。被弾率を下げるために車高を低く抑えてある。
浅瀬であればそのまま水上航行が可能。
後部には小さな銃眼が設けられており、車内の兵士も小銃を突き出して戦闘に参加できる。
ソビエト連邦・ロシアの友好国に対する輸出も行われ、配備している国は今も多い。
また1990年代に入ってからは中国で「86式歩兵戦闘車」としてライセンス生産も行われている。
スペックデータ †
全長:6.46m
全幅:2.94m
全高:1.88m
戦闘重量:12.6t
エンジン:UTD-20直列6気筒液冷ディーゼルエンジン(出力300hp)
登坂力:70%
超堤高:0.7m
超壕幅:2.5m
最大速度:65km/h(路上)/8km/h(浮航)
航続距離:600km
乗員:3名+兵員8名
兵装:2A28 73mm低圧砲1門(弾数40発)
9M14Mマリュートカ(AT-3 サガー)対戦車ミサイル発射機1基(ミサイル4発)
PKT 7.62mm機関銃1挺(弾数2,000発)
3連装発煙弾発射器2基
派生型 †
- BMP-1P
対戦車ミサイルを9M113「コンクールス」・9M111「ファゴット」(AT-4「スピゴット」)に換装した型。
- BMP-1D
対戦車ミサイルの換装及びBMP-2の増加装甲型に準じた装甲の強化を図った改修型。
サイドスカートを大型の物に変更しているのが特徴。
- BMP-1K
通信機器を強化した指揮車型。
自動車化狙撃兵(機械化歩兵)連隊の移動司令部として使用される。
- BMP-1KSh
野戦指揮車両型。武装はPKT 7.62mm機関銃1挺のみ。
有線野戦電話や軍用/民間用有線電信回線との接続装置を搭載するほか、伸縮式アンテナマストや車体後部に発電機を装備している。
BMP-1Kと同じく、自動車化狙撃兵(機械化歩兵)師団の移動司令部用として使用される。
- BRM-1K
司令部付偵察隊用の偵察車型。
砲塔は大型の2名用砲塔で、砲手の他に偵察要員が搭乗でき、後部兵員室には2名の偵察要員が搭乗する。
2名用砲塔はBMP-2の砲塔の原型になった。
- PRP-3「ヴァル(堡塁)」
砲兵/偵察部隊用観測車両型。
ソビエト(ロシア)軍では「機動戦場観測システム搭載車」と呼ばれる。
BRM-1Kと同じ大型砲塔に各種光学精密観測機器と方位指示機を搭載し、弾道探知レーダーを砲塔後部に搭載している。武装は7.62mm機関銃PKTのみを装備する。
- PRP-4
PRP-4はPRP-3の搭載機器をより能力の高いものに換装した型。
- PRP-4M
PRP-4の能力向上型。
レーザー測遠機と熱線暗視機能付き光学精密観測機器を搭載している。
- RTV
各種整備機材を装備する野戦工作車型。
- BRDM-2ARV
ウクライナのハリコフ機関車工場が開発した装甲回収車型。
砲塔を撤去し、1.5tジブ・クレーンや6.5tウインチ、VG-7500溶接機などの修理・回収機器を有し、1.5トン分の積載スペースを持つ。
- AMB-S
スロバキアのポドポリャンスケ・ストラヤルネ・デトバ社が開発した装甲救急車型。
後部車体を拡張した上で、担架4個と負傷兵9名を収容可能。
- BMP-SVO
スロバキア製の地雷処理車両型。
24連装の爆薬発射機を兵員室に装備し、100m×5mの範囲を啓開することが可能。
- 2B9M
ハンガリー軍の自走迫撃砲調達の動きに合わせて開発されたBMP-1ベースの自走迫撃砲型。
後部兵員室を拡張した上にシャッターを備え、2B9 82mm自動迫撃砲を装備する。
- BWP-1
ポーランド軍での名称。
仕様は原型のBMP-1に準ずるが、近年ではBMP-1Pに準じた改修が行われた他、煙幕弾発射器が追加されている。
- BWP-1M Puma
BMP-1Dに準じた近代化改修型。
- BWP-40
40mm機関砲装備した砲塔に換装したモデル。
- BWP-2000
新設計の車体上部に新型砲塔を搭載した発展型。
- OT-90
チェコのVOP026工場による、装甲兵員輸送車へのダウングレード改造型。
ヨーロッパ通常戦力条約に対応するための策で、砲塔をOT-64装輪装甲車のKPVT 14.5mm機関銃装備のタイプに交換している。
- OT-R5
VOP026工場が開発したコマンドポスト車両。
車体後部を大型化し通信能力が強化されている。
- DTP-90M
OT-R5に1tクレーン、溶接・牽引機材を装備した野戦工作車両型。
- MLI-84
ルーマニア軍で運用されている独自改良型。
- 86式歩兵戦闘車(WZ-501/ZBD-86)
中国北方工業公司によるBMP-1のコピー。
原型は1980年代にエジプトなどの中東諸国から入手したとされる。
対戦車ミサイルも9M14(AT-3)のコピーである「紅箭73(レッドアロー/YJ-73)」を装備する。
海軍陸戦隊向けの車両はトリムベーンが大型化されている。
- WZ-501A
WZ-501の砲塔を25mm機関砲装備の砲塔に換装した型。
- 86B式歩兵戦闘車(ZBD-86B)
海軍陸戦隊向けに開発された、86式の水上航行性を改善した水陸両用装甲兵員輸送車型。
車体後部に船外発動機を増設し、車体の前後に大型のフロートを増着して車体のアウトラインを舟型とし、フェンダーを大型化、延長された給排気筒を装着するなどの改良が行われている。
水上航行時の速力は12km/h。
- 86G式歩兵戦闘車(ZBD-86G)
30mm機関砲とHJ-73(紅箭73/9M14マリュートカ)対戦車ミサイルを搭載した新型砲塔(GCTWM)のテスト車両。
その後制式化されて本格的に量産化され、既存の86式も順次砲塔をGCTWM砲塔に換装している。
車体重量は14.8tに増加し、車体後部には86B式歩兵戦闘車と同じく外装式の船外発動機を搭載して高速水上航行が可能である。
- WZ-503
WZ-501を基にした装甲兵員輸送車。
砲塔を撤去し、車体高を高くした上で乗降ドアを大型化し、12.7mm機関銃を装備している。
- WZ-504
YJ-73対戦車ミサイルの4連装発射機を装備した戦車駆逐車型。試作のみ。
- WZ-505
歩兵戦闘車型。
- WZ-506
指揮車型。
- NFV-1
アメリカと共同開発した歩兵戦闘車型。M242「ブッシュマスター」25mm機関砲を搭載。天安門事件により開発中止になった。
この他、WZ501を基にした多数の派生型が試作されている。