【BAe146】(びーえーいーいちよんろく)

BAe 146.

英国のブリティッシュ・エアロスペース社(BAe)が1980年代〜2000年代まで開発・生産していた小型四発旅客機リージョナルジェット)。
定員80〜100席前後の小型機にもかかわらずエンジンを4基搭載するという変わった機体であった。

本機は当初、英国製の中短距離ジェット旅客機BAC 1-11の後継として、中短距離の路線を運航するリージョナルジェットとして開発が始まった。
小型機では世界唯一の四発機であるが、これは低騒音とSTOL性を志向したものである。
また、ジェット旅客機では珍しい高翼構造やテールコーンを左右に開いてエアブレーキとする機構も採用している。
これらの機構から、滑走路が短かったり騒音規制が厳しい空港への乗入に多く用いられている。

本機の開発は、1960年代にデ・ハビランド社が「支線向けの高翼ターボプロップ旅客機・DH123」として設計を始めたことに端を発する。
その後の再編でデ・ハビランドはホーカー・シドレーに吸収され、同社でターボファンを搭載する低翼機「HS.144」へと引き継がれたが、適当な出力のエンジンが見つからず開発は停滞。
その後、ホーカー・シドレーを傘下に入れたブリティッシュ・エアロスペースによって「BAe146」として開発が再開され、1981年に試作機が初飛行した。
1983年に欧州航空規則による型式証明を取得し、英国―スイス間で初就航を果たした。

機体は15°の後退角を持った高翼配置の主翼T尾翼を備えたスタイルで、主翼下にアブコ・ライカミング社製のターボファンエンジンを4基備えている。
降着装置?前輪式で、すべて引き込み式である。

本機は英国のみならず、アジアやアメリカ、アフリカの航空会社に多く導入され、2001年まで生産された。
バリエーションには「シリーズ100」「シリーズ200」「シリーズ300」がある。
1993年にはエンジンを換装した上に操縦系統を近代化した「アブロRJ70/85/100/115*1」として生産が続けられた。

日本の航空会社では採用されることのなかった*2本機であるが、英国王室専用機として用いられたり、中華人民共和国の航空会社が日中間の定期路線に使用していたこともあった。


*1 型式の後の数字は座席数をあらわす。
*2 一時期、日本エアシステムYS-11の後継として採用を検討していたが実現しなかった。

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