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【B747SR】 †
Boeing 747SR(B747-100SR).
SRは"Short Range(短距離)"を意味。
ボーイング社が開発した大型ジェット旅客機B747の派生型のひとつで、基本型のB747-100をベースに、短距離区間向けに特化されたモデルである。
特に日本の国内幹線向けとして販売された。
(なお、ボーイング社では日本以外の国からも本機の発注を受け付けることとしていたが、結局、発注したのは日本の航空会社だけだった)
日本の国内線はその路線距離が数百キロ〜二千キロ程度しかないこともあり、総飛行距離に比べて離着陸回数がかなり多いという特徴がある。
また、羽田や伊丹といった主な空港が大都市圏に隣接しており、空港用地の取得難や騒音公害などの観点から航空需要に対する便数増加にも制約が強く、少ない機数で需要をこなす必要もあった*1。
そのため、機体脚部を中心に構造を強化し、さらに大量輸送のニーズに応えるために客席を増加するなど、短距離・高稼働率運航に最適化した改修が施された。
ベースとなったB747-100の定員は多くても450名程度だが、本機は最大で536名もの定員数を誇っていた。
しかし、老朽化に伴って後継のB747-400DやB777に置き換えられ、ローンチカスタマーの日本航空では1990年代に全機退役*2。全日本空輸でも2006年に全機が退役した。
現在では貨物機に改修の上、貨物専門航空会社へ転売された少数の機体が残っている*3。
また、余談ながら、日本航空が購入した機体のうち1機*4が1988年にNASA(アメリカ航空宇宙局)に転売され、スペースシャトル計画でシャトル本体(オービター)の大気圏内輸送*5に用いられていた。
その後、この機はスペースシャトル計画の終結によって用途を失い、2012年2月に退役した。
今後はNASAが運用する天体観測機「SOFIA」(ベースはB747SP)の部品取り用として用いられる予定だという。
関連:日本航空123便墜落事故
*1 これは、本機が導入された1970年代〜1980年代当時の事情であり、現在はB737やA320といった小型機で多頻度運航をこなす格安航空会社の登場などで幾分か変化している。
*2 日本航空123便墜落事故により、同社所有の全機が売却された。
*3 日本貨物航空やUPS(米)などが購入したが、日本貨物航空では既に全機が退役しており、UPSでもB747-400Fの導入を決めているため引退は確実である。
*4 登録記号JA8117→N911NA。この機体は日航が導入した本機の第1号機だったが、スペースシャトル「チャレンジャー」爆発事故後にボーイングが買い戻していた。
*5 オービターは大気圏内での自力飛行が出来ないため、発射地のケネディ宇宙センター付属飛行場以外に着陸した場合、及びメーカー工場でのメンテナンスを行うには、B747改造の輸送機に載せて運ばねばならなかった。