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【零式艦上戦闘機】 †
旧日本海軍の艦上戦闘機。ゼロ戦?と呼ばれることも多い。
連合軍コードはZeke(三二型はHamp)。
速度、機動力、航続距離を最重視し、特に機体を軽量化することでそれらの要求を満たして開発された。*1
そのため同時期のアメリカ軍機に比べ防弾、機体強度などが見劣りするが、機動性、航続力は群を抜いていた。
主務設計者は九六式艦上戦闘機などを担当した堀越二郎技師。
1940年の日華事変?では、特に操縦士の技量の高さが幸いして100機以上撃墜し損害はなしという一方的な勝利を収め、太平洋戦争初期の真珠湾攻撃、フィリピン空襲、インド洋作戦などでも無敵の活躍をした。
しかし、珊瑚海海戦の頃には、F4Fワイルドキャットの活躍によって大きな損害を被るようになっていた。これは急降下速度、防弾能力、無線を利用した連携力の差による。
アメリカ軍の撃墜率が日本を上回る中、日本は零戦の代替機の開発が思うように進まず、順次改修を施して凌いでいた。しかし最大の欠点であった急降下速度の低さは抜本的に改良できず、防弾能力も相対的に低いままで、依然としてベテランパイロットがあっけなく撃ち落されることも多かった。
対するアメリカ軍は高速・重武装化した新型戦闘機F6F、F4U等を次々投入した。これらは多くの面で零戦を上回っており、零戦の苦手な一撃離脱を用いるなどしたため、差が歴然となった。
大戦後期には完全に旧式化していたが、後継である烈風の開発が思うように進まず、結局終戦まで使い続けられ日本機としては最大の約1万機が生産された。
なお、烈風の開発に目処が立ったのは戦争終盤の昭和19年10月で、終戦までに8機が生産されただけであった。
性能(五二型)
最大速度:565km/h(6000m)
重量 :1800kg(最大2700kg)
エンジン:栄?二一型、空冷星形14気筒(1100馬力)
武装 :20mmx2(主翼内)、7.7mmx2(胴体)
主な形式
A6M1:十二試艦上戦闘機
A6M2a:零式艦上戦闘機一一型(64機)
暫定的とも言える初期生産型。
そのため艦上機としての儀装を持たない。
A6M2b:零式艦上戦闘機二一型(740機)
一一型に艦上機としての正規の儀装を施したもの。
A6M2-K:零式練習用戦闘機一一型
二一型を複座にし、練習機としたもの。
A6M2-N:二式水上戦闘機
フロートを取り付け、水上戦闘機にしたもの。
A6M3:零式艦上戦闘機三二型(343機)
エンジンを栄?二一型に換装し、翼端折畳機構廃止して主翼を短縮、角型に成型。
九九式一号二型20mm機銃を九九式一号三型に換装(装弾数60→100)
最大速度は増加したが、航続力、水平飛行時の安定性は低下。
A6M3:零式艦上戦闘機二二型(560機)
翼端折り畳み機構を復活させ機内燃料タンクを追加。
A6M3a:零式艦上戦闘機三二型甲、及び二二型甲
二二型、及び三二型の20mm機銃を長砲身型の九九式二号三型に換装したもの。
A6M5:零式艦上戦闘機五二型(747機)
再び翼端折り畳み廃止し、丸型に成型。
エンジン排気でのロケット効果を狙い推力排気管化。
栄?搭載型では最大の560km/hを発揮。
A6M5-K:零式練習用戦闘機二二型
五二型を複座にし、練習機としたもの。
生産中に敗戦となる。
A6M5a:零式艦上戦闘機五二型甲(391機)
20mm機銃をベルト給弾式の九九式二号四型に換装(装弾数100→125)
また主翼外板を厚くする等、構造を強化し急降下最大制限速度増加(741km/h)
A6M5b:零式艦上戦闘機五二型乙(470機)
右胴体機銃を7.7mmから13.2mmに変更。
胴体外板を厚くし、前面風防に防弾ガラスを装備。
A6M5c:零式艦上戦闘機五二型丙(93機)
左胴体7.7mm機銃を廃止し主翼に13.2mmx2を追加。
操縦席後方に55mm防弾ガラス、8mm装甲板追加。主翼下にロケット弾、小型爆弾架装備。
重量増により運動性は大幅に低下。
A6M6c:零式艦上戦闘機五三型丙
エンジンを水メタノール噴射方式の栄?三一型に換装
主翼内燃料タンクをセルフ・シーリング式に。
新型エンジンの不調により試作1機のみ。
A6M7:零式艦上戦闘機六二型
五二型丙の胴体に爆弾架を装備した戦闘爆撃機型。
A6M8c:零式艦上戦闘機五四型丙
A6M8c:零式艦上戦闘機六四型
*1 機体の軽量化に対してはフレームに大量の肉抜き穴を開けることによって達成しているが飛燕の開発者である土井技師は「肉抜き穴を開ける余地があるということは無駄に構造材を使用していると言うことだ。この手のバカ穴はバカが開ける物」と言っていた。事実、肉抜き穴は軽量化の手段としてはあまり効率の良い物ではない。