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*&ruby(ほうしゃせん){【放射線】};
放射性物質が出す「α線・β線・γ,X線・中性子線・重粒子線」のこと。単位はグレイ(Gy)。~
核分裂・核融合反応(自然放射線・原水爆・宇宙線等)によって生じ、一定量以上(閾値)を超えると、人体に重篤な障害を与える。~
似たものとして、放射性物質が放射線を出す能力を"放射能"といい、単位はベクレル(Bq)であらわす。また、放射線が実際に人体に障害与える程度をシーベルト(Sv)という単位で表す。~
自然に起こる「放射性壊変」によるもの、「原子核反応(核分裂・核融合)」によるもの、「各種加速器」によるものがある。~
*&ruby(ほうしゃせん){【放射線】}; [#i66e6029]
[[放射性物質]]が出す「α線・β線・γ線(X線)・中性子線・重粒子線」などの粒子・[[電磁波]]。~
保有するエネルギー量を表す単位としてグレイ(Gy)を用いる。1グレイは1ジュール毎キログラムに等しい。~

>放射線の原因である[[放射性物質]]が放射線を出す能力を[[放射能]]といい、単位はベクレル(Bq)であらわす。~
また、放射線が人体に与える影響の基準、[[被曝]]量の単位としてはシーベルト(Sv)が使われる。

地球上ではほとんどの物質が自然に起こす放射性壊変、恒星からの放射などで発生する。~
[[核分裂]]・[[核融合]]などの原子核反応や、加速器で意図的に発生させる事もできる。~
肉眼で観測する事はできないが、水などの透明な物質を通過する際に青白い光(チェレンコフ光)を及ぼす。~
~
性質として、蛍光作用・感光作用・電離作用がある。~
非破壊検査や各種医療用、測定などに使われる。~
蛍光作用・感光作用・電離作用などを持ち、医療や工業用途で非破壊検査や測定、診断に使われる。~
反面で生体細胞に対して有害である事が知られており、過剰に[[被曝]]すると人体に対して重篤かつ致死的な障害を与える。~
~
(事前知識:原子は原子核(陽子+中性子)と軌道電子で構成されている。さらに、陽子と電子が結びついたものが中性子である。陽子"+" 電子"-"の電荷を持っていて、通常、陽子と電子の数は同じ(電気的に中性)。電荷は引力(+-)や斥力(++,--)を及ぼすため、単体の陽子や電子は、他の原子の陽子や原子に影響を及ぼすことが出来る。)~
また、電離作用の影響を受けた物質は原子が不安定になり、やがて放射線を放出する[[放射性物質]]に変質する。~
このため、放射線に関係する物体は全て[[放射性廃棄物]]としての厳重な管理を必要とする。~
~
細胞が放射線を受けると、「電離作用(原子が放射線などにより電子を失ったり、電子が過剰になって電荷を帯びること)」によって、損傷を受ける。細胞が死にいたる「確定的影響(急性障害)」とDNAが損傷を受けたことによる「晩発的影響」さらに「遺伝的影響」がある。~
確定的影響では特に細胞分裂の盛んな、造血器官・胃腸管障害が起こる。体液の大量喪失や細菌感染に対する治療、必要によっては骨髄移植が必要となる。中枢神経は比較的感受性が低いが、大量照射で影響が起こった場合は急死となる。~
晩発的影響としては発癌(含白血病)や白内障、甲状腺、生殖腺に対する障害などである。発癌は命に関わるため特に注意しなければならない。~
遺伝的影響は子孫に伝わる影響で生殖腺の障害により生ずる。~
DNAの二重鎖線の片方が障害を受けた場合は正確に修復が行えるが、両方の場合は修復できず細胞死や異常細胞となる。その他、人体には放射線障害に対して修復機能を持ち、
一般に閾値以下の線量では明らかな障害が出ないと言われている。もちろん閾値を越えた場合、障害を訴える人は急激に増え、障害も悪化する。~
関連:[[放射能]] [[核兵器]] [[核分裂]] [[核融合]]

**放射線が有害な理由 [#wc14d9a1]
放射線は電離作用を持ち、これを浴びた原子をイオン化させる。~
これが生体細胞に作用すれば細胞が壊死する確定的影響(急性障害)が引き起こされる。~
また、遺伝子がこの影響で変質する事によって発癌、白血病、甲状腺障害、生殖腺障害などの晩発的影響も生じる。~
~
放射線は電離作用により障害を生じると述べたが、障害はつまりは電荷を持つ(陽子か電子の過不足)ものにより生じる。放射線には、電荷を持つ荷電粒子(一次電離放射線)と、電荷を持たず照射された原子の電子を奪ったり陽子を突き飛ばしたりして、電離作用を発生させる(二次電離放射線)ものがある。
急性障害は血液や胃腸など代謝の活発な細胞で起こりやすく、特に造血細胞の壊死は骨髄移植を必要とする深刻な病状を及ぼす。~
また、生殖腺が晩発的影響を受けると、その生殖細胞から生まれた子供にも遺伝的影響を及ぼす事になる。~
~
放射線の代表的な種類としては
ほとんどの細胞は放射線の影響から自然治癒する。~
よって、短期間によほど大量の放射線を[[被曝]]しない限りは無視できる程度の影響しか及ぼさない。~
ただし、一般に自然治癒しないとされる生殖腺や神経細胞への影響については疑問の余地が多い。

**放射線の種類 [#r1fcdaaf]
放射線は厳密には似たような作用を持ついくつかの粒子・電磁波の総称であり、おおむね以下のように分類できる。

***&ruby(アルファ){α};線 [#s86addd8]
ヘリウムの原子核による荷電粒子。~
比較的に質量が大きく、電荷がプラス。電離作用が強力で、短時間に大きなエネルギーを放出する。~
皮膚や紙一枚、数cmの空気くらいでも遮断される。~
反面、原因となる[[放射性物質]]を呼吸・飲食すると体内からの[[被曝]]によって甚大な影響を及ぼす。

***&ruby(ベータマイナス){βー};線、&ruby(ベータプラス){β+};線 [#t15048b7]
荷電粒子。β−線を「電子」、β+線を「陽電子」と呼び、電子と陽電子は対消滅する性質を持つ。~
電子(あるいは他の荷電粒子も)が移動する事によって生じるエネルギーの移動を、特に「電流」と呼ぶ。~
質量は軽く小さいものの、α線ほどではないにせよ電離作用は大きい。~
1cm程度の厚みがあれば放射線防護服で遮蔽できる。健康被害の大半は体内からの[[被曝]]か、電流による副次的な被害である。~

***&ruby(ガンマ){γ};線、&ruby(エックス){X};線 [#pf7e87a0]
[[電磁波]]。原子の外側にある軌道電子が放出するものをγ線、原子核から放出するものをX線と呼ぶ。~
物質を貫通しやすく、遮蔽には分厚いコンクリートや鉛板などを必要とする。この性質からレントゲン写真にも利用される。~
ただ浴びただけでも体内まで浸透して[[被曝]]するが、電離作用は小さく、よほど多量に浴びない限り害はない。~
~
α線 (荷電粒子)~
Heの原子核(陽子2,中性子2)~
α壊変によって生じる。比較的巨大な質量を持った物質で電荷+を持っているので紙一枚(皮膚等)で遮蔽できる。逆に強力な電離作用を持ち大きなエネルギーを短時間で放出するとも言えるため、放射性物質を呼吸や食事により摂取した場合、大きな健康被害をだす。(体内被曝)~
β線 (荷電粒子)~
電子~
β壊変によって生じる。非常に軽く小さいが電荷-を持っているので薄い板(1cm程度)で止める事が出来る。電離作用はα線より小さい。こちらも、体内被曝が主である。~
γ線X線 (電磁波)~
電磁波~
軌道電子から出るものをγ線(壊変するときに発生)、原子核から出るものをX線(電子が原子核によりブレーキをかけられた時に損失したエネルギーが電磁波に変換)と呼ぶ。いずれもほぼ同じ電磁波でご存知のように遮蔽が難しく、厚いコンクリートや鉛板などの密度の高いものを必要とする。体外からも被爆をする。電離作用は小さく透過力が大きいため、レントゲンとして使われている。~
中性子線 (非荷電粒子線)~
中性子~
主に[[核分裂]]で生じる。核分裂は1つの中性子が原子にぶつかり、原子が別の2つの原子に分裂する過程で生じる複数の中性子を用いている。中性子は文字通り電荷を持たず透過力は大きいが、人体の組織の原子に衝突すると、陽子が弾き出されることにより、電離作用を持つ。遮蔽は、鉄や鉛などで減速した後、水素を含む物質で止めることができる。~
遮蔽に必要な質量が極めて大きいため、人間が着用する放射線防護装備はほぼ無効。~
このため、この種の放射線を発する[[放射能]]汚染環境下に人間が立ち入る事はできない。~
そうした環境では遠隔操作できるロボットで調査・作業を行うが、こうしたロボットも放射線で損壊する事が少なくない。~

***中性子線 [#f8dc8f23]
主に[[核分裂]]で生じる。粒子だが、荷電粒子ではない。~
中性子自体は電荷を持たないため物質を透過するが、人体などを透過する際に電離作用を引き起こす。~
ほとんどの物質を透過するが、[[鉄]]や鉛などを通過させた後に水素に衝突させれば遮蔽できる。~
~
※放射性壊変~
原子は、安定状態となれる陽子中性子数のバランスが決まっている。そのバランスから外れているものは、時間と共にα線(α壊変)やβ線(β壊変)、γ線(γ壊変)を出して少しずつ別の原子に変わっていき、安定な原子に落ち着く。そうやって、時間と共に安定な原子が増えたことにより放射能が半分になる時間が半減期である。自然放射線の一種である。~
[[核分裂]]は、それらとは違い一つの原子が複数の原子に分裂することで、中性子や不安定な原子が大量に生成される。
余談ではあるが、劣化ウラン(ウラン238)も一応壊変はするが半減期は非常に長く(45億年)、安定な物質としても差し支えない。もちろん、ウランとしての毒性は強い。~
~
ちなみに、放射線(荷電粒子)は直接見ることは出来ないが、水などの透明物質中をある条件の下で粒子が通過することで放出される電磁波(チェレンコフ光:青白い光)として間接的に見ることが出来る。勿論、チェレンコフ光は直接見ることは出来るが、カメラ等を通して見るべきである。~
γ線やX線と同様、人間が着用する放射線防護装備は事実上無効。

関連: [[核兵器]] [[核分裂]] [[核融合]]


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