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【統合軍】 †
軍隊において、陸海空の各軍種を統合した組織の一部または全部のこと。
近代に入り、各軍種の専門化や高度化が進み、大規模作戦や国家総力戦においては軍種を超えて統合指揮を行う必要が出てきた。
また、官僚化した軍種間の競合*1が軍の効率的な運用*2を妨害していると判断された場合や、軍縮により軍の規模を小型化し、より効率性を求めた場合にも陸海空軍などを統合し、国軍としての統合軍が編成される場合もある。
各国における統合軍 †
ここでは、各国の軍隊における「統合軍」について述べる。
アメリカ合衆国 †
アメリカ軍においては
「作戦行動中に軍種によって指揮系統が分かれることが作戦の阻害要因にもなり、軍種を超えた統合司令部を設置することが望ましい」
という考えに則り、2つ以上の軍種を地域別あるいは機能別に統合した統合軍を編制、設置している。
現時点での編成は以下の通り。
また、これとは別に、海兵隊には陸海空軍の全機能*3がまとめられており、「全世界への緊急展開を任務としたミニ統合軍」というべき組織になっている*4。
日本国 †
現在の自衛隊においては、自衛隊法第22条(特別の部隊の編成)により、統合幕僚監部の下に二つ以上の軍種(陸上自衛隊・海上自衛隊及び航空自衛隊)を組み合わせた部隊を編成することができる、と定められている。
これにより編成される部隊は「統合任務部隊(JTF)」と呼ばれ、必要とされる兵力は防衛大臣からの命令によって各自衛隊から差し出され、統合幕僚長の下に単一の司令部・指揮官を以って編制される。
(統合任務部隊の詳細は該当項目を参照)
JTFは有事などの際に都度編制される組織であるが、これ以外にも、自衛隊法第21条の3を根拠にした「常設の統合部隊」があり、現在、以下の2部隊が運用されている。
- 自衛隊指揮通信システム隊
- 自衛隊情報保全隊
ベルギー王国 †
ベルギーでは米ソ冷戦の終結に伴い、欧州における仮想敵及び自国と他国との国際的な緊張関係が消滅したことを受けて軍の縮小再編が行われていた。
この一環として、2002年には軍組織全体を単一の統合軍化し、「ベルギー陸上構成部隊(旧ベルギー陸軍)」「ベルギー海上構成部隊(旧ベルギー海軍)」「ベルギー航空構成部隊(旧ベルギー空軍)」及び「ベルギー医療構成部隊」へと改編している*5。
*1 陸軍・海軍・空軍相互の対立は、どの国においても大なり小なり存在しているという。
*2 幹部教育や兵站、兵器開発など。
*3 輸送・揚陸艦艇部隊(船舶の運用は海軍に委任)、マルチロールファイターを擁する航空部隊及び機甲部隊・空挺部隊。
*4 ただし、運用上では上記の「地域・機能別統合軍」の一構成要素でもあり、統合参謀本部の指揮下で行動している。
*5 なおこの時、海軍所管の航空機(哨戒機や対潜ヘリコプターなど)がすべて航空構成部隊へ移されている。