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*&ruby(ていさつき){【偵察機】}; [#b703f548]
空中から敵の情報を収集して、友軍に伝達する役割を持つ[[軍用機]]。~
任務や目的により「戦術偵察機」「戦略偵察機」「電子偵察機」などのバリエーションがある。~
任務や目的により「戦術偵察機」「戦略偵察機」「電子偵察機」などと細分化される。~
~
陸海空問わず、あらゆる軍事行動に不可欠な「情報」を収集する任務を持つことから、[[戦略]]・[[戦術]]上極めて重要な存在であり、特に近年の[[電撃戦]]では勝敗を決定的に左右する。~
しかし、実態としては(敵に直接打撃を与える)[[戦闘機]]・[[攻撃機]]よりも軽視されており、偵察機不足から航空作戦に支障を来たす例は後を絶たない。
[[戦略]]・[[戦術]]の理論において、伝令・偵察が極めて重要である事は論を待たない。~
特に近年の[[電撃戦]]において、地形図と敵軍配置図の有無は戦争そのものを決定的に左右する。~
~
しかし、運用実態としては直接戦力より軽視される傾向が強い。~
[[C4I]]が[[戦略]]の柱石である現代でさえ、偵察機不足で[[作戦]]に支障を来たす例は後を絶たない。

>理想としては「おおむね、[[戦闘機]]・[[攻撃機]]3機に対して1機は必要」とされる。~
>理想としては「[[戦闘機]]・[[攻撃機]]3機に対して1機の偵察機」が必要とされる。~
しかし、これを実現できている国家・軍隊はない。

関連:[[偵察衛星>軍事衛星]] [[ELINT]] [[哨戒機]]

**概史 [#gabaff69]
:[[第一次世界大戦]]|[[飛行機]]の実用化に伴い、初の[[軍用機]]として「偵察機」が誕生。~
[[騎兵]]・[[気球]]の後継として敵情偵察・[[間接砲撃]]の弾着観測などの任についた。~
また、この時期に偵察機同士の遭遇戦が頻発し、やがて[[戦闘機]]を生み出す母体となった。~
この当時の偵察機は、単純に[[搭乗員>エビエーター]]が肉眼で確認するだけのものだった。~
収集した情報の伝達、帰還後の報告するか、上空で報告書を書いて投げ落とすようなものだった。

:[[第二次世界大戦]]期|[[戦闘機]]の発達により、航空偵察は[[ファイタースウィープ]]の危険にさらされるようになった。~
従って、[[攻撃機]]・[[急降下爆撃機]]・[[雷撃機]]などが偵察任務を兼任する事が多かった。~
専用の偵察機も開発されたが、偵察そのものの性能よりも[[戦闘機]]を振り切る[[撤退]]能力が要求された。~
~
当時の偵察機による情報収集は「[[搭乗員>エビエーター]]が肉眼で敵情を確認し、味方陣地の近くに[[着陸]]して指揮官に口頭で報告する」あるいは「情報を記入した書面を通信筒に収めて味方の上空で投下する」という幼稚なものであった。~
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:[[第二次世界大戦]]期|この時期には、複数の[[乗員>エビエーター]]を乗せられる[[攻撃機]]・[[急降下爆撃機]]・[[雷撃機]]に偵察任務を受け持たせるケースが多かった。~
また、[[戦闘機]]の高性能化に伴い、敵戦闘機の追撃を振り切る[[撤退]]能力に特化した専門の偵察機も実用化された。~
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この頃になると、無線通信の実用化やフィルムカメラの小型化などにより情報収集の手段も進化し、「暗号電文を組んで無線で送信する」「写真を撮影し、これを持ち帰って基地で解析する」という手段も可能になった。~
~
また、科学技術の発展により、無線通信による報告や、フィルムカメラによる航空撮影も可能になった。

:現代|航空戦の複雑化に伴う偵察任務の細分化により、様々なバリエーションが誕生した。~
情報収集の手段としては、従来からの目視確認や紙焼き写真に加えてデジタルカメラや[[赤外線]]ラインスキャナーなどの電子機器も使用されるようになり、[[データリンク]]と接続してリアルタイムでの情報伝達が可能な機体も登場した。~
偵察手段としては、今やデジタルカメラや[[赤外線]]スキャナーなどの電子機器が標準である。~
また、[[データリンク]]と接続してリアルタイムでの情報伝達が可能な機体も登場した。~
さらに、電子制御技術の飛躍的発展により、偵察機器を搭載した[[無人機]]も導入されている。
~
しかし、[[マルチロールファイター]]や[[軍事衛星]]にシェアを奪われ、全体として偵察機の需要は減じている。~
また、[[航空機]]の高コスト化に伴って[[撃墜]]のリスクが極大化したため、[[無人機]]の導入も積極的に進められている。
しかし、[[マルチロールファイター]]や[[軍事衛星]]にシェアを奪われ、総じて偵察機の需要は減じている。

**さまざまな種類の偵察機 [#q07e2fd2]
-戦術偵察機~
敵が[[航空優勢]]を掌握している空域へ潜入しての強行偵察を主任務とする。~
そのため、敏捷性に優れる[[戦闘機]]・[[攻撃機]]をベースとして作られることが多い。~
しかし近年では、[[マルチロールファイター]]に偵察ポッドを積むことで代替がきくようになったため、専用機体の需要が減じてきている。~
敏捷性に優れる[[戦闘機]]・[[攻撃機]]をベースとして作られる事が多い。~
~
近年では[[マルチロールファイター]]に偵察[[ポッド]]を積むのが主流で、専用機体の需要は途絶えている。~
~
写真は[[航空自衛隊]]が運用する[[RF-4>F-4]]。~
#ref(http://www.masdf.com/altimeter/hyakuri2004/f4ej006.jpg,512x341)
~
-戦略偵察機~
[[仮想敵国]]全体の防衛網に関する情報収集を主任務とする。~
[[高射砲]]・[[地対空ミサイル]]が届きにくい高高度での飛行性能、あるいは(戦術偵察機以上に)[[超音速]]での飛行性能が求められる。~
人命損失を含むユニットコストの高さから、[[偵察衛星>軍事衛星]]や[[無人機]]への置き換えが進みつつある。~
交戦距離への接近を避けるため、高高度・[[超音速]]での飛行性能が求められる。~
現代では[[軍事衛星]]の実用化に伴って完全に陳腐化している。~
~
写真は[[アメリカ空軍]]の[[U-2]]。~
#ref(http://www4.plala.or.jp/klesa108/diary/20050821u2s.jpg,512x341)
~
-電子偵察機~
軍事施設・兵器・[[車両>AFV]]・[[艦艇]]・[[航空機]]に対する[[ELINT]]を主任務とする偵察機。~
[[航続距離]]の長い[[輸送機]]([[旅客機]]・[[貨物機]])や[[爆撃機]]をベースとすることが多い。~
特定地点に対する偵察ではなく、[[ELINT]]に必要な電波情報を広域に収集する偵察機。~
[[航続距離]]の長い[[輸送機]]・[[旅客機]]・[[貨物機]]や[[爆撃機]]を設計母体とする事が多い。~
~
写真は[[アメリカ空軍]]の[[RC-135]]「リベットジョイント」。~
#ref(http://www.masdf.com/gomi/nellis/IMG_1171.jpg);
~
-[[無人偵察機(UAV)>無人機]]~
有人機では避け得ない[[撃墜]]による人命損失のリスクを軽減するため、[[偵察衛星>軍事衛星]]と並んで実用化が進められている。~
最も単価の高い部品である人体をオミットした安価な偵察機。~
性能面ではおおむね有人機に劣るが、使い捨てにできるほど安価に製造できるのが利点。~
~
写真は[[アメリカ空軍]]の[[RQ-1/MQ-1>RQ-1]]「プレデター」。~
#ref(http://www.masdf.com/altimeter/nellis2005/gnd/IMG_2876.jpg,600x400);

-[[哨戒機]]~
詳しくは該当項目を参照のこと。


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