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【中将】 †
軍隊における階級の一つで、将官に区分され、大将の下、少将の上に位置する。
NATOが定めた階級符号では、概ね「OF-8」に相当する。英呼称はLiutenant general (陸軍、空軍)、Vice admiral (海軍)、Air marshal (イギリス空軍)である。
フランス革命方式による陸軍での呼称は補職により、「軍団将軍」または「師団将軍」である。
嘗てフランス陸軍のGénéral de division の旧称はLieutenant-général((1793年に現呼称に改められる。但し、1814年から1848 年まで旧呼称に戻されている。)) であり、3つ星の階級章が中将であった頃の名残である。
因みに、4つ星は大将「Général en chef」 と呼称し、中将の役職に応じて付随する地位であった。
1812年に廃止され、その後復活するも1848年に再び廃止された。階級章自体は、1921年より「大将」*1の階級章とし使用され、第二次世界大戦後中将の階級章となる。
アメリカ軍では1866年まで中将は無く、少将から大将(General in chief)に昇任していたため、3つ星は大将の階級章であった。
1866年に中将を三つ星の将官と定められたものの、1888年6月1日の法令で、1895年2月5日まで一旦、廃止されている。
また、スペイン語の中将を意味するとされるTeniente general は、アルゼンチン陸軍*2や1997年以前のスペイン陸・空軍では大将*3を意味するので注意が必要である。*4
中将の階級に補せられた軍人は、軍種に応じ、主に以下のような配置を勤めるが、例外も多々ある。
- 陸軍
- 軍司令官、軍団長、師団長(准将の階級がない国の陸軍の場合)など
- 海軍
- 艦隊司令長官、タイプ部隊司令官、戦隊司令官など
- 空軍
- メジャー・コマンド司令官、航空軍司令官、航空師団長(准将の階級のない国の空軍の場合)など
フランス海軍やスペイン海軍(1997年以降)等のように、中将を少将相当官、上級中将ないし大将を中将相当官としている例も見受けられる。
日本における「中将」 †
大日本帝国陸軍または海軍での中将は大日本帝国政府の官僚制度で「勅任官」に相当する職とされているが、親補職*5にあたる職*6になると、その職位にある間に限り親任官*7と同等の待遇を受けた。
また、中将に任官された者には、政府から勲三等乃至一等の勲等が叙せられ、武功が著しいときは功三級乃至一級の金鵄勲章が授与された。
陸軍中将はおもに陸軍大臣、同次官、参謀総長、同次長、師団長、軍司令官などに、海軍中将は海軍大臣、同次官、軍令部(総)長、同次長、艦隊、鎮守府、警備府の司令長官、戦隊、要港部(警備府の前身)*8司令官などに充てられていた。
尚、陸軍大臣及び海軍大臣に就任していた者の場合、相手が大将であっても行政命令を発する事が出来た。*9
エモリー・アプトン (Emory Upton) 著報告集 「欧亜の陸軍 (The Armies of Europe & Asia)」1878年邦訳の86-87頁では明治初期のアメリカ陸軍では本階級を少将相当とし、日本軍の将官を准将、少将、大将の三階級制と記載されている。
その後の自衛隊においては、統合幕僚監部及
び陸上・海上・航空の各幕僚監部の長(幕僚長)以外の陸海空将がこれに相当する。
但し、実際には補職により、アメリカ軍の中将および少将の扱いを受ける、いわゆる対外的な階級区分が内在しており、外国では方面総監等とそれと同位あるいは準じる職にある将のみに限定される。
*1 1939年までGénéral commandant de corps d'arméeと呼称。
*2 同軍では四つ星である。
*3 海軍大将と同格である。
*4 嘗てはチリ軍においても同様だったが、ピノチェト政権交代以後、スペイン軍と同じGeneral de ejército(空軍はGeneral del aire)に変わったため、今は使用されていない。
*5 旧軍では官と職が明確に区分されている。
*6 参謀総長、軍令部総長、教育総監、総軍の総司令官、師団長など。
*7 陸軍大臣、海軍大臣、陸軍大将および海軍大将
*8 戦隊司令官・要港部司令官は、中将・少将または大佐が充てられていた。
*9 当時の閣僚は親任官であった。
またその場合、中将昇進時点で、その大将よりも先任であった予備役軍人が補されるケースが多かった。