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【大将】 †
General(陸軍及び空軍)/Admiral(海軍).
軍隊における階級の一つで、将官に区分され、中将の上に位置する。英呼称はGeneral (陸軍、空軍)、Admiral、国によってはLieutenant admiral (海軍)、Air chief marshal (イギリス空軍)。
フランス革命方式での陸軍の呼称は概ね「陸軍将軍」となる。
NATOが定めた階級符号では、概ね「OF-9」に相当する。
また、英語では、他の階級の将官と区別するため、Full General/Full Admiralと表現されることもある。
中国、台湾では大将を(二級)上将もしくは三星上将、上級大将を大将、一級上将もしくは四星上将と表現する。
ベトナム軍の場合、大将の下位に上将が置かれているが、こちらはかつての宗主国であったフランスの影響か、上将を彼の国の中将(海軍では上級中将)に相当するものとされ、英語表記でSenior lieutenant general、フランス語表記でPremier lieutenant généralと表記する場合もあり、中国などと違い、上級中将の意味合いが強く、大将が諸外国軍の大将に相当するものとされる。
一般的には職業軍人の最高位と位置づけられているが、国によってはこれよりも更に上位の階級(「上級大将」*1や「元帥」)が存在する場合もある。
また、1997年以降のスペイン軍のように陸軍や空軍の准将〜大将と海軍の少将〜上級大将が同格という例も見受けられる。
大将に補せられた軍人は軍種に応じ、主に次の配置を勤める。
- 陸軍
- 陸軍大臣、陸軍総司令官(及びそれに類する職)、軍司令官以上(准将の無い国の陸軍の場合、軍団長以上)の大規模部隊等指揮官。
- 海軍
- 海軍大臣、海軍総司令官(及びそれに類する職)、全艦隊または大規模艦隊司令長官等
- 空軍
- 空軍大臣、空軍総司令官(及びそれに類する職)、大規模メジャーコマンド司令官、航空軍司令官(准将の無い国の空軍の場合)等
それ以外では国軍総司令官、統合参謀長及びそれに類する職、戦域統合軍総司令官といった要職を務める。
日本における「大将」 †
大日本帝国陸軍または海軍での大将は将官のトップ、つまり軍人の最高位の階級であった*2。
大日本帝国政府の官僚制度では「親任官」に相当する職とされており、任官に当たっては天皇から直接任命される形を取っていた。
また、大将に任官された者には、政府から勲二等もしくは勲一等の勲等*3、及び正四位の位階*4を授けられた他、第10位の宮中席次を与えられた*5。
蛇足ながら、フランス式の軍制を採っていた頃の階級章は5つ星であった*6。
Almanach Hachette 1917の82ページに記載されていた日本陸軍の階級チャートでは本階級呼称をGénéral de corps d'arméeとされていた。
大将は参謀総長(陸軍)、軍令部長(海軍)、軍司令官や連合艦隊司令長官といった戦略レベルの高級指揮官、あるいは軍政の長である陸海軍省の大臣*7等を務めていた。
また、これらの職を務めた者の中でも特に高い功績をおさめた者には「元帥」の称号が与えられ、軍の最先任将校として遇された*8。
その後の自衛隊においては、将官は「将(中将に相当)」及び「将補(少将に相当)」の2階級のみが置かれ、大将に相当する階級は公式には存在していない。
しかし、陸海空将のうちで統合幕僚監部及び陸上・海上・航空の各幕僚監部の長(幕僚長)*9に任じられた自衛官については、階級章に他の将とは違う4つ星のものが用意されており、階級の英訳呼称も大将に相当するものが使用されていることから、自衛隊における「大将」はこの4つのポストについている者と解釈されており、全自衛官の中でも4名しか存在しない*10。
関連:将(自衛官)
アメリカ軍に於ける大将の階級章 †
今日、大将の階級章を四つ星と定めている国が多いが、これは言うまでも無く、アメリカ軍に範を取ったものである。
しかし、当のアメリカ軍も、正式に四つ星の階級章と定めたのは1921年のことである。
1866年以前は中将位は無く、大将(General in chief)、少将、准将の三階級制であったため、三つ星であった。
1866年7月25日、陸軍総司令官の職にあったグラントに対し、これまでの功に報いるべく、三つ星を中将位と定めた*11上で、改めて大将(General of the army of the United States)に任命したのである。
この時に彼は四つ星の階級章を付ける事を許されている。
だが、その後任であったシャーマンは、1872年に二つ星の中間に合衆国国章をあしらったものを大将の階級章として与えられている。
シャーマンの後を襲ったシェリダンも1888年6月1日の法令で中将位が廃止され(1895年2月5日復活)、大将に昇任した時も同様であった。
これは、当時の大将が多大の功績を残した中将に対する称号の意味合いが強かったことに起因する。
そして第一次世界大戦を経て、前述の通り、1921年、正式に四つ星が大将の階級章としてさだめられた。
*1 上級大将の存在する国では「准将」の位が存在しないケースが多く、この場合 階級符号で上級大将が「OF-9」となり、大将以下は1ランクずつ下がる。
*2 そのため、中将から大将に昇進した者が現れると、その者より先任の中将は全て予備役に編入されることになっていた。
*3 戦時、特に武功のあった者に対しては「功三級」〜「功一級」の金鵄勲章も併せて授与された。
*4 他の官庁では事務次官相当。なお、戦後は参議院議員や名誉教授の称号を与えられた大学教授などが死後に与えられることになっている。
*5 これは枢密院顧問官と同格であった。
*6 因みに天皇は6つ、中将は3つ、少将は2つで、4つ星は存在していなかった。
また、当時、フランス本国では、4つ星の大将 (軍団長級の将官)は1848年に廃止、5つ星の上級大将 (兵科筆頭将官に対する称号) は補職者が居なくなったことから1830年に自然消滅の形で廃止されてしまい、両階級章とも1921年に再創設されるまで存在しておらず、6つ星はパリ軍事総督たる将官に与えられるものだった。
*7 「軍部大臣現役武官制」による。
*8 ちなみに、この時代には天皇にも「(元帥の称号を持つ)陸軍大将兼海軍大将」という軍人としての階級があった。元帥及び統帥権の項目も参照のこと。
*9 表現が長すぎるため、中国や台湾に倣い、便宜上、四星(よつぼし)陸(海、空)将と表現すべきではないかとの声もある。
*10 他国では「有事に備えて大将位を空位にしておく」「軍の最高位指揮官となる職業軍人(自衛隊の場合は統合幕僚長)のみに大将の階級を与える」ケースも多い。
*11 このため、それ以前に遡ってワシントン、スコット、同日以前のグラントの階級は中将に改められた。