【増槽】(ぞうそう)

機体内部にあるのではなく、外部に装着して使用する燃料タンク。
基本的には着脱可能であるが、中には標準装備で着脱不可のものもある。
発明されてから今日に至るまで、軍用機戦闘行動半径を伸ばすために必要不可欠な装備となっている。
主に攻勢対航空作戦など、実際の航行距離・燃料消費量が予測不能な場合に装着される。

なお、基本的には航空機でのみ必要とされる装備であり、陸上車両や船舶ではほとんど用いられない。
どうしても必要な場合はペイロードに燃料缶でも積んでおき、必要に応じて補給すれば良いからだ。
とはいえ、戦車自走砲では必要に応じて増槽が取り付けられる事がたまにある。

実用化されたのは第二次世界大戦前後。
当初はエンジン出力に比して無視できないほど重く*1、また空力的にも非効率的な形状をしていた。
この性質はドッグファイトでは甚大な弱点となるため、交戦時には切り離して投棄されるのが通例だった。
とはいえ、空対空ミサイルエンジンレーダー技術が発達した現代空戦ではあえて除装する必要性はない。

なお、緊急事態に遭遇しない限り切り離す事はない。緊急時でも市街地での切り離しは禁止される*2
航空自衛隊では海上まで飛行した上で船舶が居ない事を確認してから切り離す事としている。

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関連:コンフォーマルタンク マルチロールファイター


*1 より正確に表現すれば、十分な燃料を積載できる強力なエンジンが存在しなかった。
*2 家屋や道端めがけ、数千m上空から、数百リットルのガソリンがまとめて落下してくるのである。落下地点で何が起こるかは想像に難くない。

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