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*&ruby(せんとうき){【戦闘機】}; [#f4ba2c05]
敵機への攻撃と味方機の護衛を主任務とし、上昇力と加速力に秀でた、比較的小型の[[軍用航空機>軍用機]]。~
[[空対空ミサイル]]や[[機関銃]]、[[機関砲]]などで武装するのが普通で、[[航空優勢]]を獲得するために非常に大きな役割をもつ。~
~
対地攻撃を主任務とする[[攻撃機]]と区別されてこう呼ばれるが、近年では両方の用途に使用可能な[[多用途戦闘機>マルチロールファイター]]が主流になりつつある。~
なお、[[アメリカ空軍]]と[[航空自衛隊]]においては地上固定目標に対する攻撃行動も「空中戦闘任務」と定義しているため、事実上[[攻撃機]]である[[F-16]]や[[支援戦闘機]](日米以外の空軍では[[攻撃機]]に該当する)である[[F-1]]、[[F-2]]も「戦闘機」として分類され、Fナンバーが与えられている((ただし、この定義を使用しているのはアメリカ空軍と[[航空自衛隊]]だけである。))。~
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大空を自由に飛びまわれるその性能と美しいフォルムは、いつの時代も憧れの対象でありつづけている。~
~
+[[第一次世界大戦]]の戦闘機~
このころの戦闘機は[[単葉機]]から[[三翼機>複葉機]]までさまざまで、材質も木製のフレームに[[布]]を張ったものが多かった。~
航空機の[[撃墜]]を主任務とする[[軍用航空機>軍用機]]。~

目標自体が高速で飛行するため、それを上回る高い[[運動性]]と最高速度を要求される。~
その事が[[ペイロード]]や[[航続距離]]に深刻な影響を与えるため、継戦能力は低い。~
従って、[[攻勢対航空作戦]]では地上施設を破壊するために[[攻撃機]]・[[爆撃機]]の帯同が望ましい。

>やってやれない事もないので、戦闘機のみでの対地攻撃もしばしば強行される。~
[[奇襲]]に遭遇した場合や、[[兵站]]調整が困難な[[航空母艦]]では他に選択の余地がない場合も多い。~
近年の[[マルチロールファイター]]もそうした実情を踏まえた上で設計されている。

関連:[[機体命名法]] [[支援戦闘機]] [[戦闘攻撃機]] [[戦闘爆撃機]] [[甲戦]] [[乙戦]] [[丙戦]] [[夜間戦闘機]]~


**[[第一次世界大戦]]の戦闘機 [#jdf2528c]
[[飛行機]]はその黎明期、軍では[[偵察機]]として運用されていた。~
しかし敵味方の[[偵察機]]が遭遇すれば戦闘に陥るのも必然であり、武装が施された。~
それが史上初の戦闘機である。

やがて航空戦線は規模を拡大し、数十機撃墜した[[エース>エースパイロット]]も数多く誕生している。

この頃の戦闘機は機体構造ひとつとっても[[単葉機]]から[[三翼機>複葉機]]まで多彩な試行錯誤の繰り返しであった。~
材質は木製のフレームに[[布]]を張ったものが多かった。~
武装は[[機関銃]]が主で、[[同調装置]]が発明されるまでは機銃の配置にも色々なものがあった。~
[[飛行機]]というものが戦争で使用されたはじめての戦いで、この頃には補助戦力という位置づけであったが、[[リヒト・ホーヘン]]のように数十機撃墜した[[エース>エースパイロット]]も数多く誕生した。~

#ref(cml.jpg)~
Camel~
Photo :Royal Airforce~
~
+[[第二次世界大戦]]の戦闘機~
WW1から数十年を経たWW2では、かなり多くの戦闘機が金属製の[[単葉機]]であった。~
このころから戦争を遂行する上で航空機の果たす役割が大きくなり、[[航空優勢]]の重要性が認識されはじめた。~
欧州戦線ではドイツとイギリスの戦闘機が英仏海峡上空で激しい戦いを繰り広げ([[バトル・オブ・ブリテン]])、太平洋戦線では日本とアメリカの戦闘機が互いの[[空母>航空母艦]]や基地を護るために戦った。 ~
ドイツではジェット戦闘機が実用化され、少数ながら圧倒的な力を振るった。~
Photo :Royal Airforce

**[[第二次世界大戦]]の戦闘機 [#rb1ea089]
[[バトルプルーフ]]の集積で設計思想は収斂され、設計はやがて似通っていった。~
これ以降、金属製の[[単葉機]]が戦闘機の戦闘機の基本構造となっている。

[[第二次世界大戦]]では航空任務が対地攻撃にも拡充され、[[航空優勢]]の重要性が認識されはじめた。~
欧州では航空基地を巡り、また太平洋では[[航空母艦]]によって、それぞれ熾烈な空戦が繰り広げられた。

また、大戦末期にはドイツではジェット戦闘機や[[ミサイル]]が実用化されていた。~
この事で大戦の趨勢が覆る事はなかったが、戦後の航空技術の進歩に与えた影響は大きい。

#ref(a6m2.jpg)~
Zero(A6M2b)~
[[Zero(A6M2b)>零式艦上戦闘機]]~
Photo: U.S.Navy~
#ref(spt.jpg)~
Spitfire~
Photo: Royal Airforce~
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+ジェット黎明期・[[朝鮮戦争]]の戦闘機~
それまで[[レシプロエンジン]]を使用していた戦闘機が、[[ジェットエンジン]]という新たな力を手に入れた。~
当時はまだ推力の非常に小さいものであったが、それでも飛躍的に速度が伸びた。~
[[機関砲]]のみであった武装に加えて[[空対空ミサイル]]を装備した戦闘機が登場しはじめた。~
[[Spitfire>スピットファイア]]~
Photo: Royal Airforce

**ジェット黎明期の戦闘機 [#d575dd01]
戦後、[[ジェットエンジン]]は急速に普及し、戦闘機分野における[[レシプロエンジン]]を過去のものとした。~
当時はまだ[[推力]]の非常に小さいものであったが、それでも飛躍的に速度が伸びた。~
また、[[機関砲]]のみであった武装に加えて[[空対空ミサイル]]を装備した戦闘機が登場しはじめた。~
#ref(86.jpg)~
F-86F~
Photo: USAF~
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+[[冷戦]]期の戦闘機~
[[中東戦争]]や[[ベトナム戦争]]で米ソの戦闘機が実戦を交えた。~
この頃から[[レーダー]]や友軍からの指示を受けて[[目視外射程]]で攻撃する戦いが始まった。~
それまで[[ミサイル万能時代>ミサイル万能論]]といわれ、[[空対空ミサイル]]以外の武装をしない戦闘機([[ミサイリアー]])も登場していたが、[[ミサイル]]自体の故障が多かったり、接近しすぎていたりして[[ミサイル]]を使えない場面が生じ((朝鮮戦争時の米軍戦闘機の[[キルレシオ]]は12対1だったのに対し、ベトナム戦時には2対1までに悪化していた。))、再び[[機関砲]]の重要性が認識された。~
[[ミサイル]]に対する[[レーダー]]妨害([[ECM]])もこのころから行われ、相手の[[ミサイル]]を無力化することが起きるようになった。~
[[F-86F>F-86]]~
Photo: USAF

**[[冷戦]]期の戦闘機 [#c976f84f]
[[中東戦争]]や[[ベトナム戦争]]など、アメリカ・ソビエトの戦闘機はしばしば実戦を交えた。~
この頃から[[レーダー]]や[[管制]]を前提とする[[目視外射程]]での対空戦闘も始まっている。~
[[レーダー]]を妨害する[[ECM]]をはじめ、空中での電子戦もこの頃から始まった。

同時期、[[ミサイル万能論]]の影響により、[[空対空ミサイル]]以外の武装をしない戦闘機([[ミサイリアー]])も登場している。~
もっとも、これはベトナム戦争で悲惨な醜態をさらし、[[機関砲]]の重要性を再認識させる結果になっている。
#ref(f44.jpg)~
F-4E~
Photo: USAF~
~
+冷戦終結期の戦闘機~
[[空対地ミサイル]]や[[誘導爆弾]]の発達と爆撃管制コンピュータの進化により、[[攻撃機]]の任務を兼任できる[[マルチロールファイター]]が主流になり、対空戦闘も殆どが[[目視外射程]]で中・長距離のミサイルを撃ち合う戦いになっていった。~
一部では[[ステルス]]戦闘機も登場しはじめた。~
[[F-4E>F-4]]~
Photo: USAF

**冷戦終結期の戦闘機 [#d66ea641]
電子技術の進歩により、[[攻撃機]]の任務を兼任できる[[マルチロールファイター]]が主流となった。~
対空戦闘もいよいよ長射程化し、[[目視外射程]]で決着しない事例はほとんどなくなっている。~
この流れを受け、一部では[[ステルス]]戦闘機も登場しはじめた。

#ref(su2277.jpg)~
Su-30~
Photo: USAF~
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+21世紀の戦闘機~
東西冷戦が終結したことにより、多くの国において強大な[[仮想敵国]]が消失したため、もはや重厚長大で高価かつ強力な戦闘機は必要とされなくなった。~
主流は軽量小型で[[RCS>レーダー反射面積]]の低い万能機([[マルチロールファイター]])に完全に移行したものの、[[アビオニクス]]の進化は、軽量戦闘機の価格をも押し上げてしまった。~
ゆえに新型機は殆ど開発されなくなり、従来の機種を再設計・[[アビオニクス]]の載せかえにより近代化をはかる事例が多くなった。~
この趨勢は後数十年は続くとみられている。~
[[Su-30>Su-27]]~
Photo: USAF

**21世紀の戦闘機 [#k118c55d]
東西冷戦の終結により、『当代最強の戦闘機』を必要とするような軍事的脅威は想定しがたくなった。~
結果、多くの国家は軽量小型で[[RCS>レーダー反射面積]]の低い[[万能機>マルチロールファイター]]に完全に移行している。~
しかし[[アビオニクス]]の進化は、軽量戦闘機の価格をも押し上げてしまった。~

近年、新型の戦闘機はほとんど開発されず、もっぱら既存機種の近代化改修が繰り返されている。~
この趨勢は後数十年は続くとみられている。

#ref(gripen.jpg)~
JAS-39 Gripen~
[[JAS-39 Gripen>グリペン]]~
Photo: SAAB~


関連:[[機体命名法]] [[戦闘攻撃機]] [[戦闘爆撃機]] [[甲戦]] [[乙戦]] [[丙戦]] [[夜間戦闘機]]~
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