【戦闘機】(せんとうき)

敵機への攻撃と味方機の護衛を主任務とし、上昇力?加速力?に秀でた小型の軍用航空機。
空対空ミサイル機関銃機関砲などで武装するのが普通で、航空優勢を獲得するために非常に大きな役割をもつ。

対地攻撃を主任務とする攻撃機と区別されてこう呼ばれるが、近年では両方の用途に使用可能な多用途戦闘機(マルチロールファイター)が主流になりつつある。
なお、アメリカ空軍?航空自衛隊においては地上固定目標に対する攻撃行動も「空中戦闘任務」と定義しているため、実質攻撃機であるF-16支援戦闘機であるF-1F-2も「戦闘機」として分類され、Fナンバーが与えられている。
とは言え、この不可思議な定義を使用しているのは世界中を見まわしてもアメリカ空軍と航空自衛隊しかない。
大空を自由に飛びまわれるその性能と美しいフォルムは、いつの時代も憧れの対象でありつづけている。

  1. 第一次世界大戦の戦闘機
    このころの戦闘機は単葉機から三翼機?までさまざまで、材質も木製のフレームに布を張ったものが多かった。
    武装は機関銃が主で、同調装置?が発明されるまでは機銃の配置にも色々なものがあった。
    飛行機というものが戦争で使用されたはじめての戦いで、この頃には補助戦力という位置づけであったが、リヒト・ホーヘン?のように数十機撃墜したエースも数多く誕生した。
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    Camel
    Photo :Royal Airforce

  2. 第二次世界大戦の戦闘機
    WW1から数十年を経たWW2では、かなり多くの戦闘機が金属製の単葉機であった。
    このころから戦争を遂行する上で航空機の果たす役割が大きくなり、航空優勢の重要性が認識されはじめた。
    欧州戦線ではドイツとイギリスの戦闘機が英仏海峡上空で激しい戦いを繰り広げ(バトル・オブ・ブリテン)、太平洋戦線では日本とアメリカの戦闘機が互いの空母や基地を護るために戦った。
    ドイツではジェット戦闘機が実用化され、少数ながら圧倒的な力を振るった。
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    Zero(A6M2b)
    Photo: U.S.Navy
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    Spitfire
    Photo: Royal Airforce

  3. ジェット黎明期・朝鮮戦争の戦闘機
    それまでレシプロエンジンを使用していた戦闘機が、ジェットエンジンという新たな力を手に入れた。
    当時はまだ推力の非常に小さいものであったが、それでも飛躍的に速度が伸びた。
    機関砲のみであった武装に加えて空対空ミサイルを装備した戦闘機が登場しはじめた。
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    F-86F
    Photo: USAF

  4. 冷戦期の戦闘機
    中東戦争ベトナム戦争で米ソの戦闘機が実戦を交えた。
    この頃からレーダーや友軍からの指示を受けて目視外射程で攻撃する戦いが始まった。
    それまでミサイル万能時代といわれ、空対空ミサイル以外の武装をしない戦闘機(ミサイリアー)も登場していたが、ミサイル自体の故障が多かったり、接近しすぎていたりしてミサイルを使えない場面が生じ、再び機関砲の重要性が認識された。
    ミサイルに対するレーダー妨害(ECM)もこのころから行われ、相手のミサイルを無力化することが起きるようになった。
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    F-4E
    Photo: USAF

  5. 冷戦終結期の戦闘機
    空対地ミサイル誘導爆弾の発達と爆撃管制コンピュータの進化により、攻撃機の任務を兼任できるマルチロールファイターが主流になり、対空戦闘も殆どが目視外射程で中・長距離のミサイルを撃ち合う戦いになっていった。
    一部ではステルス戦闘機も登場しはじめた。
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    Su-30
    Photo: USAF

  6. 21世紀の戦闘機
    東西冷戦が終結したことにより、多くの国において強大な仮想敵国が消失したため、もはや重厚長大で高価かつ強力な戦闘機は必要とされなくなった。
    主流は軽量小型でRCSの低い万能機(マルチロールファイター)に完全に移行したものの、アビオニクスの進化は、軽量戦闘機の価格をも押し上げてしまった。
    ゆえに新型機は殆ど開発されなくなり、従来の機種を再設計・アビオニクスの載せかえにより近代化をはかる事例が多くなった。
    この趨勢は後数十年は続くとみられている。
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    JAS-39 Gripen
    Photo: SAAB

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