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【人工衛星】 †
ロケットなどで地球の大気圏外に打ち上げられた「人工天体」のうち、地球周囲の「衛星軌道」上を公転しているもの。
このうち、赤道上高度約35,786kmの軌道上を周回している人工衛星を特に「静止衛星」という*1。
システム運用のために定期的に打ち上げられることが多く、現在は常時2,400〜2,500個の人工衛星が周回しているとされる。
ただし、これは地上との交信が維持されているものだけを指し、スペースデブリは含まない。
運用寿命は短いものでは一週間未満。人間が整備可能な宇宙船を除けば、最長でも10年に満たない。
将来の衝突事故を防ぐため、用途廃棄に際しては以下のいずれかの方法が選ばれる。
- 低高度衛星
- 衛星軌道から離脱して大気圏に再突入させる。
多くは熱の壁によって上空で溶解・燃尽するが、たまに破片が地上に落ちる事もある。 - 静止衛星
- 運用する軌道よりも数百km高い「墓場軌道」へ移して廃棄する。
静止軌道から地上へ落下させるのに必要な速度変化が大きすぎるため、静止衛星の処理にはこの方法が選ばれる*2。
しかし、交信が途絶えたままスペースデブリになっている人工衛星も少なくない。
人工衛星略史 †
人類最初の人工衛星は、旧ソ連が1957年に打ち上げた「スプートニク1号」である。
当時の冷戦下において、ソ連が先に宇宙に足をかけたことは西側陣営にとって甚大な衝撃となった。
「スプートニクショック」と呼ばれるこの事件がきっかけとなって、米ソ間の宇宙開発競争が始まった。
スプートニク1号自体に何か致命的な軍事的要素があったわけではない。
問題の本質は、ソ連の弾道ミサイル技術がほぼ実用可能レベルに達したという事実であった。
また、それと同じくらい「ソ連がアメリカよりも先進的である」という名声そのものも危険視された。
この流れを受け、アメリカは陸軍・海軍・空軍でそれぞれ進められていたロケット開発計画を一本化することを決定。
それらの計画は「国家航空諮問委員会(NACA)」の下に統合され、これが後に航空宇宙局(NASA)となった。
*1 地球の自転と同じ周期で公転しているため、地上からは静止しているように見える。
*2 しかし、成功率は1/3程度だという(墓場軌道への突入には通常稼働3か月分の燃料と正確な姿勢制御が必要なため)。