【親衛隊】(しんえいたい)

praetorian.

国王や大統領など、国家要人の身辺警護を任務とする部隊
一般に人事や兵站についての高い優先権を持ち、また規律の厳格な精鋭部隊である事が多い*1
基本的に正規軍の将兵から選抜されるが、政党や個人のための私兵として組織される場合もある。

歴史は古く、臣下による君主の暗殺叛乱を阻止するための抑止力として古代から設けられていた。
しかしその意図とは裏腹に、親衛隊そのものが暗殺や叛乱の実行要員となった例も数多い。

親衛隊に属する者はその士気を保つため、また任務の性質上、国家の伝統・歴史・思想に知悉する事を求められる。
結果、愛国心から改革を主張する人間を輩出しやすく、またその主張に対して理解を得やすい環境が醸成される。
さらに、親衛隊を掌握すれば無血でのクーデター*2が可能になるため、政治的浸透において最重要な標的の一つとなる。

これは現代の議会制民主主義においては疎ましい事であるが、君主制の社会では自浄作用としても機能した。
絶対権力を持った君主の座を巡る権力闘争において、世代ごとの暗殺や叛乱はまず避けられない。
しかし、親衛隊という「協力を得られれば政治的勝利が確定する集団」の存在はそうした暴力を抑止する。
親衛隊は君主を護衛する立場であると同時に、愚かな君主を穏便に失脚させる役割も担っていた。

関連:武装親衛隊? 国家憲兵隊 近衛師団 アメリカ海兵隊


*1 そのため、必要に応じて戦地へ派遣されることもある。
*2 実際には事後に略式の処刑が生じる事も多いが、少なくとも首都での戦闘は避けられる。

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