【場外離着陸場】(じょうがいりちゃくりくじょう)

日本における飛行場の種別のひとつで、設置・運用基準を空港飛行場より緩和したもの。

本来、日本国内において航空機は、空港等以外の場所へ離着陸を行ってはならない*1と定められている(航空法第79条)。
しかし、国土交通省や電力会社などの団体による離着陸施設の維持・管理、警察や消防による捜索救難、ドクターヘリの運用、グライダーや軽航空機によるスカイレジャーなどの活動において、使用されるすべての離着陸施設を空港飛行場と同様の基準に整備するのは(費用面で)困難であるため、一定の条件を満たした施設について基準を緩和し、国土交通大臣の許可*2により航空機の離着陸を行えるようにしたのが場外離着陸場である。

施設の形態は様々であり、本格的な飛行場に類似した施設からグライダーの滑空場、病院や発電所などに設けられたヘリパッド*3、災害発生時やドクターヘリの離着陸に用いられる学校のグラウンドや駐車場*4まである。

農道離着陸場

場外離着陸場の一種で、農道を拡幅した形で設置されたもの。「農道空港」とも。
1988年、農林水産省の「農道離着陸場整備事業」により設置が開始され、1997年の事業終結までに、全国に8ヶ所が設置された。

農道の機能拡張を模索する中で、「小型機により、付加価値の高い農産物を都市部へ空輸することで地域の活性化を図る」という目的で計画された。
将来的には旅客輸送も視野に入れて計画されていたというが、当時から様々な問題点*5が指摘されており、また、株・土地バブルの終焉による景気後退と道路整備の進展、既存地方空港の高規格化(これにより、事実上旅客輸送への転用が不可能になった)や都市部空港の過密化などで事業の意義が失われてしまい、1997年に事業が終結した。

現在、設置された農道離着陸場はいずれも自治体からの補助金などで細々と運営されている。
本来の利用が伸び悩む中、軽飛行機やヘリコプターによる遊覧飛行、グライダーやスカイダイビングなどといったスカイスポーツ施設としての利用が模索されつつある。
また、まとまった広さの敷地を活用して、ラジコン飛行機大会や盆踊りなどのイベント会場としての利用もなされている。


*1 ただし、自衛隊海上保安庁・警察、自治体の防災機関が捜索救難のために使用する航空機及びこれらの機関からの依頼・通報により捜索救難を行う航空機は、国土交通大臣の許可を受けることなく、必要な場所に離着陸できる(航空法第81条の2及び同施行規則176条)。
*2 実務は設置場所を所轄する空港事務所長に委任されている。
*3 なお、高層ビルの屋上に消火活動や救助のために設けられたヘリパッドは「緊急離着陸場」と呼ばれ、厳密には場外離着陸場に含まれない。
*4 これらは「防災対応離着陸場」と呼ばれ、設置基準がより緩和されている。
*5 「トラック輸送よりもはるかに高コスト」「運用時間が昼間に限定され、市場の開場時刻にあわせて出荷できない」など。

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