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*&ruby(じょうがいりちゃくりくじょう){【場外離着陸場】}; [#g80ad49e]

日本における[[飛行場]]の種別のひとつで、設置・運用基準を一般の[[空港]]や[[飛行場]]より緩和したもの。~
一例を挙げれば[[グライダー>滑空機]]の滑空場、病院や発電所のヘリパッド((なお、高層ビルの屋上に消火活動や救助のために設けられたヘリパッドは「緊急離着陸場」と呼ばれ、厳密には場外離着陸場に含まれない。))、([[ヘリコプター]]が着陸できるように整備された)学校のグラウンドや駐車場((これらは正式には「防災対応離着陸場」と呼ばれ、災害発生時や[[ドクターヘリ]]の離着陸に用いられる。&br;  なお、この施設の設置基準は一般の場外離着陸場よりもさらに緩和されている。))などであるが、一部には一般の空港と同様に本格的に整備された施設((一例として、1990年代までの調布飛行場(東京都)が、歴史的経緯から場外離着陸場になっていた事例など。))も含まれる。~
一例を挙げれば[[グライダー>滑空機]]の滑空場、病院や発電所のヘリパッド、[[ヘリコプター]]の[[着陸]]を想定した屋外運動場・駐車場などである。~
~
日本国において、[[航空機]]は以下に掲げる[[航空法]]の規定により、[[空港]]等以外の場所での離着陸が禁止されている。
国土交通省・電力会社・警察・消防・病院など、航空機の運用を主業務としない機関や、スカイレジャーなどに携わる企業などによって運用される。~
[[航空機]]の使用申請などの管理行政は、最寄りの空港事務所で管轄されている。~
~
関連:[[捜索救難]] [[ドクターヘリ]] [[滑空機]] [[農道離着陸場]]

:''航空法第七十九条''|航空機(国土交通省令で定める航空機を除く。)は、陸上にあつては空港等以外の場所において、~
水上にあつては国土交通省令で定める場所において、離陸し、又は着陸してはならない。~
**法的根拠 [#b72dd63d]

日本国において、[[航空機]]は以下に掲げる[[航空法]]の規定により、[[空港]]等以外の場所での[[離>離陸]][[着陸]]が禁止されている。

:''航空法第七十九条''|航空機(国土交通省令で定める航空機を除く。)は、陸上にあつては[[空港]]等以外の場所において、~
水上にあつては国土交通省令で定める場所において、[[離陸]]し、又は[[着陸]]してはならない。~
ただし、国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。 

:''航空法第八十一条''|航空機は、離陸又は着陸を行う場合を除いて、~
地上又は水上の人又は物件の安全及び航空機の安全を考慮して国土交通省令で定める高度以下の高度で飛行してはならない。~
地上又は水上の人又は物件の安全及び航空機の安全を考慮して[[国土交通省令で定める高度>デッキ高度]]以下の[[高度]]で飛行してはならない。~
但し、国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。

:''航空法第八十一条の二''|前三条の規定は、~
国土交通省令で定める航空機が航空機の事故、海難その他の事故に際し捜索又は救助のために行なう航行については、適用しない。 
国土交通省令で定める航空機が航空機の事故、海難その他の事故に際し[[捜索又は救助>捜索救難]]のために行なう航行については、適用しない。 

:''航空法施行規則第百七十六条''|法第八十一条の二 の国土交通省令で定める航空機は、次のとおりとする。~
一  国土交通省、[[防衛省]]、警察庁、都道府県警察又は地方公共団体の消防機関の使用する航空機であつて捜索又は救助を任務とするもの~
二  前号に掲げる機関の依頼又は通報により捜索又は救助を行なう航空機
:''航空法施行規則第百七十六条''|法第八十一条の二 の国土交通省令で定める[[航空機]]は、次のとおりとする。~
一  国土交通省、[[防衛省]]、警察庁、都道府県警察又は地方公共団体の消防機関の使用する[[航空機]]であつて[[捜索又は救助>捜索救難]]を任務とするもの~
二  前号に掲げる機関の依頼又は通報により捜索又は救助を行なう[[航空機]]

しかし、[[航空機]]の運用施設全てで[[空港]]レベルの設備を維持するのは経済的な理由から現実的でない。~
この問題に対応するため、国土交通大臣の職権により[[航空機]]の離着陸を許可((実務は設置場所を所轄する空港事務所長に委任されている。))された場所が場外離着陸場である。~
国土交通省・電力会社・警察・消防・病院など、航空機の運用を主業務としない機関や、スカイレジャーなどに携わる企業によって運用される。~
~
関連:[[捜索救難]] [[ドクターヘリ]] [[滑空機]]
場外離着陸場は、上記の法規において、[[空港]]等の設備要件を満たさないが国土交通大臣の許可により航空機の[[離>離陸]][[着陸]]が許されている場所を指す。~
なお、場外離着陸場を使用できる機体は、事前に所轄の空港事務所長に使用申請した機体に限られている。

**農道離着陸場 [#s2bddfa3]
場外離着陸場の一種で、農道を拡幅した形で設置されたもの。「農道空港」とも。~
昭和時代後期〜平成初期(1970〜1980年代)、農村経営の近代化が模索されていく中で計画された事業の一つである。~
1988年、農林水産省の「農道離着陸場整備事業」により設置が開始され、1997年の事業終結までに全国8ヶ所が設置された。~
**不条理な事例 [#efc77c29]
上記はあくまで日本国の法律上の定義であり、運用実態と照らし合わせてみるに不条理な事例も散見される。~
実際に設営されている[[飛行場]]が場外離着陸場であるか否かは、法的手続きを照会しなければ判別できない場合が多い。~
~
元々は、付加価値の高い農作物((生花や軽量野菜など、鮮度が重視され、重量の割りに単価の高い作物。))の航空輸送(「フライト農業」と呼ばれていた)を意図して展開された。~
小型[[貨物機]]の離着陸が想定され、将来的には[[旅客機]]の導入も視野に入れて計画されていた。~
~
しかし、運用当初から様々な問題が噴出した。
特に紛らわしい事例としては、以下のようなものがある。~

-そもそもトラック輸送よりもはるかにコストが高い。
-事業推進の根拠となる需要の見積もりが、実態よりも過大に設定されていた((出荷先からの帰りの便の需要はゼロに等しい、と指摘されていた。))。
-運用時間と[[機材]]の制約上、市場の開場時刻に合わせて出荷できない。((運用時間が昼間帯のみに限定されていた上、就航が想定されていた機体にも全天候飛行に対応した[[航法]]装置が搭載できず、夜間飛行ができなかったため。))
-以下に掲げるとおり、国土交通省の行う事業と重複してしまった。
--既存の地方空港が高規格化したため、離陸地点としての価値をほぼ完全に喪失。
--高速道路網の整備が進展したため、代替輸送手段としての価値も失われた。
-都市部の空港周辺での空路状況が過密化したため、小型航空機の離着陸が困難になった。
-施設だけを見ると明らかに[[空港]]の水準にあるのだが、[[空港]]として法的に認可されず場外離着陸場として扱われる例。~
2001年までの[[調布飛行場]](東京都)など。
-(高層ビルの屋上や屋外運動場・駐車場など)ヘリパッドが整備されているが、平時の[[離陸]]・[[着陸]]が許可されていない例。「防災対応離着陸場」。~
緊急時に[[医療機関>ドクターヘリ]]・[[捜索救難]]・[[消防防災>消防防災ヘリコプター]]用の[[ヘリコプター]]を[[展開]]するためのもの。~
平時には運用されないという前提があるため、一般の場外離着陸場よりも設置要件が簡易である。

そうした問題の中、景気後退によって予算の確保も困難になり、1997年に明確な利益を出せないまま事業が終結した。~
~
現在、設置された農道離着陸場は自治体からの補助金などで細々と運営されている。~
本来の利用が伸び悩む中、遊覧飛行場、グライダー・スカイダイビングなどのスカイスポーツ施設としての利用法が模索されている((2001年には利用目的の規制が緩和され、農作物輸送以外での利用が可能になった。))。~
また、平坦で広い敷地は「ラジコン飛行機大会」「盆踊り」「ドラッグレース」などのイベント会場や映像作品のロケ地、自治体や消防の防災訓練場としても利用されている。~
この他にも、消防・防災ヘリや[[ドクターヘリ]]の訓練場や急患輸送時の中継拠点としても用いられている。

***農道離着陸場の一覧 [#n33346cc]

,場名,所在地及び管理者,愛称,その他
,北見地区農道離着陸場,北海道北見市&br;(北見市役所農林商工部&br;耕地林務課),スカイポートきたみ,
,美唄市農道離着陸場,北海道美唄市&br;(美唄市役所農政部&br;農林整備課土地改良係),スカイポート美唄,
,余市農道離着陸場,北海道余市郡余市町&br;(余市町役場余市農林課),アップルポート余市,
,新得町農道離着陸場,北海道上川郡新得町&br;(西十勝フライト農業公社),,
,福島市農道離着陸場,福島県福島市&br;(特定非営利活動法人&br;ふくしま飛行協会),ふくしまスカイパーク,農道離着陸場としては最後に開設(1998年開設)。
,飛騨農道離着陸場,岐阜県高山市&br;(一般社団法人&br;飛騨エアパーク協会((岐阜県庁の外郭団体。会長は高山市の市長が兼務。))),飛騨エアパーク,
,笠岡地区農道離着陸場,岡山県笠岡市&br;(笠岡市役所&br;建設産業部産業振興課),笠岡ふれあい空港,農道離着陸場としては最初に開設(1991年開設)。
,豊肥地区農道離着陸場,大分県豊後大野市&br;(大分県庁農林水産部&br;大分県央飛行場管理事務所),大分県央空港,現在は空港法の「その他(公共用)飛行場」に格上げ。&br;大分県防災航空隊((大分県庁生活環境部消防保安室隷下。九州航空に運航を委託した[[BK117]]を使用。))の運航基地が併設。


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