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*&ruby(さんだんじゅう){【散弾銃】}; [#e63dea73]
&ruby(ショットガン){Shotgun};.~
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小さな球状の弾丸([[ショット>ショットシェル]])を多量に散布する「散弾」を使用する銃。~
非常に幅広い分類で、特に[[回転機構]]は細かい用途ごとに異なる仕様で作られる((ポンプアクション、レバーアクション、中折れ式、反動利用式([[セミオート]]・[[フルオート]]の両方)など。))。~
非常に幅広い分類で、特に[[回転機構]]は細かい用途ごとに異なる仕様で作られる。

>ポンプアクション、レバーアクション、中折れ式、反動利用式([[セミオート]]・[[フルオート]]の両方)など。

[[有効射程]]は40〜50mと比較的短く、散弾は最大直径1mほどの[[キルコーン>有効射程]]に拡散する。~
戦闘用として最も普通に使用される12番径のダブルオー・バックショットの場合では、十分な威力と精度を狙える至近距離では~
おおよそ拳大の範囲まで拡散し、38口径の拳銃弾に近い大きさの散弾が複数発、限りなく同時に近いタイミングで弾着する。~
この為、柔らかい生体に対しては通常の銃器と桁違いの[[衝撃>マンストッピングパワー]]を発揮し、突進力に優れた大型動物でも阻止する為猟銃にも適する。~
[[装甲]]など堅い物体への[[破壊力>デストラクションパワー]]には欠けるものの、歩兵であれば防弾装備越しでも多大なショックを与えて行動を抑止する可能性がある。~
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軍・警察用の特殊用途としては[[ドアを突破>ブリーチ]]する工具としても需要があり、どこにでも入れるという洒落でマスターキー(万能鍵)やクレジットカードの類に例えることもある。~
この際使われるのは散弾では無くスラッグ弾の一種で、散弾複数発と同等の[[ペイロード]]を誇る大質量の単発の弾頭を発射し、施錠された扉のロック部分や蝶番を文字通り叩き壊す。~
極めて衝撃が大きい割に貫通力が低く、扉の前後に不必要に突き抜けたり跳ね返ったりしにくい為、開錠用具として比較的安全性が高い。~
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また、散弾銃用の弾薬は筒状の薬莢内の[[ペイロード]]に余裕が多いため、特殊な装弾も多く使用される。~
威力を落とした非殺傷の散弾や催涙ガス弾、有線のテーザー弾薬が存在し、非殺傷兵器としての側面も強い。~
主に警察で多く活用されるが、これは職務環境上ほとんどが至近射撃になる事、及び射殺に対する制約が多い事による。~
通常の戦闘用火器としても拳銃以上の威力と安定した精度、及び民間用としても比較的入手性の高い事から好適であり、警察組織においては象徴的な銃器とされる。~
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衝撃が広範囲の面に拡散するため[[装甲]]など堅い物体への[[破壊力>デストラクションパワー]]には欠ける。~
反面、柔らかい物体を引き裂く用途には非常に適しており、人間などの生物に対して絶大な[[殺傷力>マンストッピングパワー]]を発揮する。~

[[口径]]が大きく1発あたりの[[装薬]]も多い設計であるため、散弾でない弾丸(一粒弾・スラッグ弾などともいう)を用いた場合でも破壊力は大きい。~
こうした一粒弾は熊などの頑強な猛獣を仕留める((害獣駆除では「[[ライフル]]が命中したのにほとんど効いていなかった」などという報告も散見される。))ため、またはドアロックや蝶番などを[[破砕>ブリーチ]]するために用いられる。~
また、小型軽量な[[拳銃弾]]・[[小銃弾]]では実現が難しい特殊な弾頭を用いる用途にもよく散弾銃の規格が利用される。~
威力を落とした非殺傷((「ボクシングのヘビー級チャンピオンに殴られた程度」といわれる。))のゴム弾、[[催涙剤]]を噴霧するガス弾、電極を発射するテーザー弾などが知られている。

こうした特性から、主に狩猟用と、警察機関などが近接戦闘用の大火力や特殊な武器を求める場合に用いられる。~
重量あたりの携行可能弾数が少ない点と、長距離[[狙撃]]に対する反撃が困難な点から、[[CQB]]以外の軍事作戦には不向き。

歴史的な起源は、おそらく[[銃砲>ガン]]そのものの発明と大差ない程度に古い。~
初期の[[銃砲>ガン]]は「火薬を入れて詰め物をして着火すると詰め物が吹き飛ぶ」という程度のものであった。~
その性質上、「詰め物」に何を使ったとしても、それが原因で故障に至る事は希であり、結果、「正規の」弾丸でないものを銃身に放り込むことがままあった。~
[[有効射程]]を考慮しないなら詰め物は鉛玉でなくともよかったため、弾丸でないものを銃身に放り込むことがままあった。~
そのような状況から、偶発的に散弾のような効果を発揮したのが散弾銃の始まりといわれている。~
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その後[[ライフリング]]が発明されると、散弾の構造上[[ライフリング]]できない事が判明した((散弾銃の銃口は[[重機関銃]]や[[機関砲]]並の[[口径]]を必要とする。&BR;  [[ライフル]]用の散弾を作る事自体は難しくないが、そんな小口径の散弾では十分な殺傷力を発揮できない。&BR;  一方、既存の散弾銃に[[ライフリング]]を施しても、発射直後に拡散するため命中精度・有効射程の向上は期待できない。))。~
結果、銃は[[有効射程]]の長い軍用[[ライフル]]と、近距離で狙いやすい狩猟用散弾銃に分かれて進歩していった。~
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その後、[[第一次世界大戦]]で[[塹壕戦]]に散弾銃が投入され((この戦術を採用した[[アメリカ軍]]は「けだものを撃つための猟銃で人を撃つ、残虐非道な軍隊」として憎悪され、[[ショットシェル]]を所持する兵は捕虜になる資格がないとして問答無用で射殺されたと言われる。))、大いに戦果を挙げた。~
その後、[[第一次世界大戦]]で[[塹壕戦]]に散弾銃が投入され((この戦術を採用したアメリカは「けだものを撃つための猟銃で人を撃つ、残虐非道な軍隊」として憎悪され、[[ショットシェル]]を所持する兵は捕虜になる資格がないとして問答無用で射殺されたと言われる。))、大いに戦果を挙げた。~
[[白兵戦]]では散弾銃の「狙う必要のない大火力」が極めて有利であったためである。~
[[CQB]]における散弾銃の優位性は不動で、現代に至るまで屋内戦・森林戦・山岳戦で活用されている。~
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関連:[[トレンチガン>M1897]] [[ライアットガン]] [[レミントン]] [[ウィンチェスター]] [[ベネリ]]~

**日本における散弾銃 [#y14f5ebc]
散弾銃は、日本で合法的に入手する事が可能な数少ない銃器の一つである。~
現在の日本では、狩猟または競技用途においてのみ所有が許可される。~
弾倉装弾数3発以上のもの、[[口径]]が12番を超えるもの、[[フルオート]]機能を持つものは許可が下りない。~
ただし例外的に、熊狩りなどの特別な用途では8番ゲージの散弾銃が許可される事もある。


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