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【国連軍】 †
国際連合(国連)が組織する軍隊。
常設の組織はなく、必要に応じて加盟各国から部隊を拠出して組織される。
その形態によって、以下に述べる二種類に大別される。
狭義の「国連軍」 †
国連憲章の規定により、加盟国への侵略行為に対する軍事的措置を行うために組織するもの。
安全保障理事会(安保理)の決議によって、(あらかじめ、安全保障理事会と特別協定を結んでいる)加盟国から兵力を拠出して組織され、国連の統制下にて任務を遂行する。
この任務遂行にあたり、安保理は軍事参謀委員会の援助によって兵力の使用計画を作成し、指揮に関して軍事参謀委員会の助言を受けることになっている。
しかし、この兵力提供協定を結んでいる国が無いため、2011年現在まで、この形態の国連軍が組織されたことはない。
朝鮮戦争の際の「国連軍」は、国連の統制下にはなかった*1ため厳密にはこれに含まれない。
(現在で言えば「多国籍軍」に近しいといえる)
平和維持活動の一環としての「国連軍」 †
国連が、地域紛争の平和的解決を図るために実施する「平和維持活動」の軍事部門として組織するもの。
一般には「平和維持軍(PKF)」や「停戦監視団」などと呼ばれ、紛争当事者相互間の調停・停戦監視・武装解除・捕虜交換・移動統制・密輸阻止・非武装地帯の設置・避難民に対する救援活動などに従事する。
こちらは上記の「狭義の国連軍」とは違い、総会の決議によって組織され、国連の統制下にて、必要最小限の武器使用権限のみを与えられて個々の目的を達成する。
参加する各国部隊の将兵は、母国軍の軍服(戦闘服)に、水色のベレー帽*2やヘルメットをかぶることから「ブルーベレー」「ブルーヘルメット」と通称される。
また、装甲車・トラックなどの車両は国連所属であることを明記するため車体を白色に塗装され、「UN」(United Nationsの略)と大書されている。
わが国のPKF活動 †
わが国は1956年に国連に加盟して以来、憲法との関連から国連の行う軍事的活動に長らく参加してこなかったが、1991年、湾岸戦争の戦後処理の一環として行われたペルシャ湾への掃海部隊派遣を契機に制定された国際平和協力法に基づき、1992年、「国連第2次アンゴラ監視団(UNAVEM 2)」に初参加(この時は3名の自衛官を選挙監視要員として派遣した)。
そして、同年に参加した「国連カンボジア暫定機構(UNTAC)」には、陸海空3自衛隊がそれぞれ部隊を拠出*3。
以後、さまざまな地域で活動が行われていった。
2011年7月現在、自衛隊が参加しているPKF活動は次の通りである。
任務 | 派遣期限 | 派遣部隊及び人数 | 日本以外の参加国 |
ハイチ派遣国際救援隊 (国際連合ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)) | 2012/1/31 | 第4次隊(320名・陸自中部方面隊基幹) | アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、カナダ、チリ、 エクアドル、フランス、グアテマラ、ヨルダン、ネパール、 パラグアイ、ペルー、フィリピン、韓国、スリランカ、 アメリカ、ウルグアイ |
ゴラン高原派遣輸送隊 (ゴラン高原国連兵力引き離し監視軍(UNDOF))*4 | 2011/9/30 | 第30次隊(43名・陸自第4師団基幹) 及び兵站先任幕僚2名 | オーストリア、カナダ、クロアチア、インド、フィリピン |
国連スーダン派遣団 (国際連合スーダン・ミッション(UNMIS)) | 2011/09/30 | 第6次要員(幕僚2名*5) | オーストラリア、バングラデシュ、ベルギー、ベニン、ボリビア、 ブラジル、ブルキナ・ファソ、カンボジア、カナダ、中国、 クロアチア、デンマーク、エクアドル、エジプト、エルサルバドル、 フィジー、フィンランド、ドイツ、ガーナ、ギリシャ、 グアテマラ、ギニア、インド、インドネシア、イラン、 ヨルダン、ケニア、キルギスタン、マレーシア、マリ、 モルドバ、モンゴル、ナミビア、オランダ、ニュージーランド、 ナイジェリア、ノルウェー、パキスタン、パラグアイ、ペルー、 フィリピン、ポーランド、韓国、ルーマニア、ロシア、 ルワンダ、シエラレオネ、スリランカ、スウェーデン、スイス、 タンザニア、タイ、トルコ、ウガンダ、ウクライナ、 英国、イエメン、ザンビア、ジンバブエ |
国連東ティモール統合派遣団 (UNMIT) | 2012/4/30 | 第2次要員(陸上自衛官2名) | オーストラリア、バングラデシュ、ブラジル、中国、フィジー、 インド、マレーシア、ニュージーランド、パキスタン、フィリピン、 ポルトガル、シエラレオネ、シンガポール |
*1 安全保障理事会において、常任理事国であるソ連が拒否権を発動したものの、アメリカがこれを無視して強行的に編成、当時日本に拠点を置いていたGHQが実質支配していた。
*2 国連の紋章である「オリーブの冠を巻いた地球儀」のバッジがつけられる。
*3 この他に、警視庁・道府県警察から「文民警察官」として派遣された警察官や一般公務員、ボランティアの民間人も参加した。
なお、このときには警察官1名とボランティア1名が犠牲となった。
*4 なお、自衛隊は本任務に1996年から参加しており、これまで参加したPKF活動の中では最長の活動期間記録を更新している。
*5 原隊は中央即応集団。