【軍事郵便貯金】(ぐんじゆうびんちょきん)

1930〜1940年代、旧日本軍において、将兵の給与を管理するために導入された金融商品(通常郵便貯金*1)。
陸軍では逓信省(当時)が設置した「野戦郵便局」、海軍では同じく「軍用郵便所」で預け入れ・払戻の取り扱いを行っていた。

1945年の大東亜戦争終結に伴う軍隊の廃止によって根拠を失い、廃止されたが、現在でも「独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構*2」が口座を管理しており、ゆうちょ銀行及び郵便局の貯金窓口で払戻のみが可能である。

しかし、実際には預金者となっていた将兵自身(及びその推定相続人)の死亡や戦後の混乱に伴う所在不明、また、日本への引き揚げの際に日本の税関で通帳を没収されたことなど*3により、払戻の催告ができなくなっている*4ことや、戦後のインフレーションによる貨幣価値の減少*5などにより、払戻請求件数は極めて少ない*6


*1 現在のゆうちょ銀行では「通常貯金」、一般の金融機関では「普通預金」と呼ばれる商品。
*2 逓信省→郵政省→郵政事業庁→日本郵政公社からの承継。
*3 これは外地(朝鮮半島や台湾・樺太・南洋諸島)の郵便局で開設された口座も同様である。
*4 そのため、金融商品としての払戻請求の「時効」は停止されている状態になっている。
*5 一応、法律により額面金額の数十倍〜数百倍に換算することが定められているが。
*6 現在は約46億円が残っている。

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