【空中聴音機】(くうちゅうちょうおんき)

空中早期警戒システムの一種で、航行する飛行機の爆音を探知する装置。

巨大なお椀型のものや、ラッパのような形状のもの、「お面」のような顔に装着する滑稽な形のものまで、大小様々な聴音機が開発され、1920年代〜1940年代まで使用されていた。
条件が良ければ、30km以上の距離で爆撃機を探知できた*1

しかし、1920年代頃にはせいぜいマッハ0.1〜0.2程度しか速度を出せなかった飛行機は、1940年代にはマッハ0.4〜0.5もの速度が出せるようになり、音による早期警戒では「探知できても以後の対処が不能」とされ、意味を成さなくなってしまった。

仮に、対地速度400km/hで接近中の敵を距離30kmで探知できたとしても、その音が聴音機に届くまでの約90秒の間に20kmにまで接近しており、さらにその時点からの猶予は僅かに180秒(3分)しかない。

こうしたことから、瞬時に飛行機を探知できるレーダーが実用化されると聴音機は姿を消していった。
補助的にではあるが、バトル・オブ・ブリテンや日本及びドイツ本土の防空戦においても使用されている。

http://www.time.com/time/covers/0,16641,19361228,00.html
空中聴音機を閲兵する昭和天皇 (TIME誌)


*1 実用上において聴音機で探知できるのは方角のみで距離を判別する事は出来ない。

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