【機長】(きちょう)

Captain/PIC(Pilot in Command=指揮操縦士)*1.

航空機搭乗員のうち、飛行中の機内における最高責任者として全乗員の指揮監督に従事する者。
副機長以下、他の乗員に指示・命令を下しつつ、操縦士として機体の操縦にも従事する*2という、文字通り責任が付きまとう役職である。
また、出発に先立ち、運航管理者(ディスパッチャー)等と打ち合わせを行って飛行計画を決定したり整備状況をチェックする仕事もある上、緊急時においては状況に応じて適切な判断を下さなければならない。
そのため、機体の全てと気象、航空に関するあらゆる学問に精通していなければならない。

現在の日本で、定期航空路を運行する航空機の機長となるには、航空法に定められた定期運送用操縦士の資格・並びに乗務する航空機の型式限定の資格(型式証明)を取得した上で、各航空会社が定めた機長としての条件*3を兼ね備え、円満な人格と教養・常識を備えた人物であることを要する。
また、船舶における「船長」と同様に、機内での犯罪の予防または処置について、必要に応じて強制力を行使することが可能である。

ただし、船長とは違って刑事訴訟法上での「特別司法警察職員」に指定されてはおらず、機内で確保した被疑者は着陸地を管轄する警察機関へ引き渡すこととなる。
また、実際の対処についてもフライトアテンダントスカイマーシャルなどに委任されていることが多いようである。

余談ながら、かつて日本航空が一社提供していたTOKYO FM系列のラジオ番組「JET STREAM」では、番組の司会進行を受け持つ男性パーソナリティが「機長」という役回りを演じている。*4


*1 前者の言葉は旅客機及び貨物機において使われ、後者は自家用機やビジネス機などで用いられることが多い。
*2 ただし、旧軍の航空部隊においては、大型機の機長は直接機体の操縦をせず、爆撃手や航法士の役を務めていた。
  この名残からか、海上自衛隊哨戒機救難機を擁する航空部隊においても、機体を直接操縦しない戦術航空士が「任務機長」として機長の役割を務めることがある。

*3 知識のみならず、心身ともに健全な状態であることが求められる。
*4 一時期、女性がパーソナリティを務めていた時は「フライトアテンダント」という役回りになっていた。

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