【ロータリー・レシプロエンジン】(ろーたりー・れしぷろえんじん)

航空黎明期に一時期用いられていた航空用レシプロエンジン空冷エンジンの一種。回転式エンジンとも。
代表的な機種としてフランスのノーム・エ・ローヌ社のル・ローヌ9Cなどが有名。

主軸を胴体に固定し、燃焼室ごとエンジン本体を回転させているのが特徴。
(一般的なレシプロエンジンはこれとは逆に燃焼室周りを固定し、主軸を回転させる)

エンジン自体が回転する事で多くの外気に触れ、効率よく冷却できる。
また、エンジン自体の回転が弾み車のように作用して負荷を緩和するため、エンジン全体を軽量化できる。

反面、エンジン全体を回転に耐えられるように設計すると内部機構が複雑化する。
また、重いエンジンの回転によるジャイロ効果が生じ、旋回に際して意図しない機体挙動を引き起こして操舵を阻害する。
特に後者は死亡事故を多発させた事で悪名高い(着陸時に機首を振り回して墜落を誘発している)。

エンジン自体が大型化して回転が困難になった事と、第一次世界大戦後に放熱に関する基礎技術*1が成熟し、回転させなくても充分な冷却が可能な新型の空冷星型エンジンが続々と登場した事から廃れていった。


*1 熱伝導率の高い材質、シリンダーとシリンダーヘッドの分離、より緻密で背の高い冷却フィンなど。

トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS