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【リフトジェット】 †
VTOL能力を得るために、重力に打ち勝ち機体を持ち上げる為だけに使用するジェットエンジン。
VTOLの研究が盛んであった1960年代に、特に欧州では非常に多くのリフトジェット搭載VTOL研究機が設計された。
代表的な機種に、ミラージュIII?を原型としたバルザックV?やミラージュIIIV?、ソビエトではMiG-21,MiG-23,Su-24などにも搭載され、最初からVTOLとして設計されたYak-36?やYak-38、さらにはエクラノプラン?として知られる表面効果機?には12基も搭載された。
しかし、これらの機には全てに共通した原理上の大きな欠点が存在した。
- 重い機を持ち上げるためには複数のリフトジェットを搭載する必要が有り、調達コストが増大した。
- 複数のリフトジェットの搭載は稼働率の低下、維持コストの増大に繋がった。
- 重いリフトジェットは通常飛行時には何の役にも立たない死荷重となり、ペイロードに悪影響を与えた。同時に燃料搭載量も少量で、作戦行動範囲は狭まった。
リフトジェット型VTOL機の多くはこの問題点のために頓挫し、唯一実用化にこぎつけたのはYak-38のみであった。
しかしYak-38でさえ、これらの弱点を抱えたまま就役し、能力不足のため殆ど実用できるレベルにはなかった。
後に能力不足を解消するために新規にYak-141を設計。Yak-38をはるかに上回る性能を発揮したが、結局中止された。
20世紀中に世界で唯一運用可能なレベルに達したVTOL機は、皮肉にも非主流であった推力偏向方式を用いたペガサスエンジン?を搭載したハリアーのみであった。