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【バトルプルーフ】 †
Battle Proof.
武器・兵器が実戦で使用され、その性能や信頼性に関する実際の情報を集積する事。
兵器のカタログスペックと実測値の差異、設計コンセプトや運用ドクトリンの実用性、などが問題となる。
ただし多くの場合、バトルプルーフは欠陥と問題点に関する報告であり、潜在的な問題点が顕在化していく過程である。
欠陥が許容範囲に留まった兵器が採用され、修正可能な欠陥や問題は改善され、どうしようもないものは運用停止されて戦場から消える。
過去に有効性を証明された兵器も、時代が変わって次世代兵器に遅れをとるようになれば信頼を失い、いずれは除籍される事となる。
たとえば、湾岸戦争で集積されたバトルプルーフは各国の兵器産業に正負両面で多大な影響を及ぼしている。
(IT技術と航空戦力によって相手の指揮命令系統を麻痺させる)(第八の)軍事革命が始まって新たな需要が創出された一方、イラク軍が惨状を呈したために兵器輸出元であるソ連の軍需産業が甚大なダメージを負っている。
基本的に、信頼性の高い兵器は多くのバトルプルーフが集積され、問題や欠陥の修正作業を長く経てきている。
逆に、画期的な新兵器はほぼ確実に未知の欠陥を抱えており、その欠陥が発覚するまでの過程で将兵の命を損なう可能性が高いため忌避される。
新兵器は制式採用される前に危険な試験運用を必要とし、また設計思想を洗練させるために多種多様なバトルプルーフを必要とする。
バトルプルーフと兵器輸出 †
バトルプルーフの概念は、軍需産業を抱える先進国の多くが兵器輸出を行う理由でもある。
バトルプルーフを得るために必要な『実例』の多くは紛争でのみ生じ、安定した先進国の一企業が独自に入手する事はできない。
また、そもそも軍需産業の需要自体が安定した先進国では限られており、拡大再生産を望みにくく、市場原理に任せていると衰退する傾向にある。
もちろん、自国の軍需産業が衰退していく事を軍政は容認できないため、政府は軍需産業を保護し、監督し、需要を誘導する必要がある。
結果として、多くの軍需企業は輸出を念頭に置く事になる。
国内で十分な収益を確保できないのなら、国外の市場に活路を見いだすより他にない。
先進国が先進的な兵器を開発して輸出し、各国の紛争からバトルプルーフを集積して開発力を高める、というビジネスモデルである。
これをして「兵器を売って儲けるために陰謀を巡らせ、新兵器の実験のために紛争を起こす死の商人」と解する陰謀論もなくはない。
軍需を確保する上で軍事ケインズ主義的な政治工作が行われた事例は多く、実態から乖離した利益誘導やプロパガンダもしばしば選択される。
また、兵器の需要を確保する事は、兵器が消費される環境の構築を意味し、それは構造上の必然として代理戦争や内戦を誘引する。
そこに陰謀が存在しないはずはないが、その陰謀の主体はふつう軍需産業ではない。
軍需産業は数多ある利害関係者の一角に過ぎないからだ。
危険な兵器を取り扱い、バトルプルーフを集積し、人の死に様を研究して得るものが金銭だけなら、国家政府がそのような提案を承認する可能性は低い。
兵器輸出国が求めるのは基本的に自国の生存権であり、軍事的優位であり、それを維持するためのバトルプルーフと軍需産業である。
関連:武器輸出三原則等