【チャレンジャー1】(ちゃれんじゃー)

FV4030/4 Challenger 1.

1980年代に英国で開発・生産された主力戦車
英国陸軍には1983年から配備が始められ、1990年までに試作車を含み420両が生産・配備された。

本車は、当時イラン向けとして開発されたものの、イスラム革命でキャンセルされてしまったチーフテンの改良型「シール1」及び「シール2」戦車をベースにして開発され、弾道コンピュータは新型を搭載しているが、主砲はチーフテンと同じくL11A5 55口径120mmライフル砲を採用、FCSも同じものを踏襲している。
また、西側戦車としては初めて、各種素材をサンドイッチ構造とした「チョバム・アーマー」と呼ばれる複合装甲を採用した。

本車は当初、CAT(Canadian Army Trophy)射撃競技会などでM1レオパルト2に大差を付けられ、その能力に疑問符が付けられていたが、1991年の湾岸戦争では、200両近いイラク軍戦車と交戦し1両の損失も無く撃破、さらに粘着榴弾で5,000mの距離からT-55を撃破するという高い能力を発揮し、そんな不評を払拭することに成功した。

ちなみに、トップクラスの第三世代戦車の命中限界は約3,000mと言われており、たとえ相手が旧ソ連製旧型戦車で有ったとしても、5,000m先の目標に「命中」させる事は非常に困難である。

現在はすべて後継のチャレンジャー2へと交替、退役し、318両がヨルダン陸軍に引き渡された。
ヨルダン陸軍では「アル・フセイン*1」の名称で呼ばれている。

スペックデータ

乗員4名
全長11.56m
車体長8.84m
全高2.95m
全幅3.51m
戦闘重量62.0t
懸架方式ハイドロニューマチック式
エンジンパーキンス CV-12-1200TCA No.3 Mk.4A 4ストロークV型12気筒液冷ディーゼル
(出力1,200hp(895kW))
APU生産当初:
コヴェントリー・クライマックス H30 No.4 Mk.18H 2ストローク垂直対向3気筒液冷ディーゼル
(出力23hp/2,000rpm)

1999年から:
パーキンス 4.108 4ストローク直列4気筒液冷ディーゼル
(出力45hp/3,600rpm)
変速機デビット・ブラウン TN37型全自動変速・操向機(前進4段/後進3段)
登坂力58%
超堤高0.9m
超壕幅2.8m
最大速度56km/h(路上)
航続距離450km
装甲複合装甲/爆発反応装甲
兵装L11A5 55口径120mmライフル砲×1門(弾数64発)
L8A2 7.62mm機関銃×1挺
L37A2 7.62mm機関銃×1挺(弾数4,000発)
6連装発煙弾発射器×2基


バリエーション

  • チャレンジャー1 Mk.1:
    初期生産型。

  • チャレンジャー1 Mk.2:
    TOGS(Thermal Obersvation Gun Sight)射撃システムを追加した第二次生産型。

  • チャレンジャー1 Mk.3:
    第三次生産型。

派生型

  • チャレンジャー訓練戦車(CTDD):
    訓練戦車型。
    前面と側面、後面、上面に各2枚の透明窓を備える「グリーンハウス(温室)」砲塔を装備する。
    また、訓練生が実際のチャレンジャー戦車と同じ操縦感覚を得るために車内各部にはウェイトが収められ、通常の戦車型と重量を合わせている。

  • CRARRV(Challenger Armoured Repair and Recovery Vehicle:チャレンジャー装甲回収車:
    装甲回収車型。
    近年、履帯・起動輪・転輪などがチャレンジャー2と同じ物にアップグレードされている。


*1 現国王・アブドゥラー2世の実名にちなむ。なお、国王自身はヨルダン陸軍最高司令官も務めており、本車の操縦ができるだけではなく、英国軍仕込みで部隊の指揮もできる、とのこと。

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