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【ステルス】 †
Stealth.
探査機器によって検知・発見されないよう隠蔽を施す事。
能動的な妨害を行うもの(“誰かが妨害している事”自体を隠蔽できないもの)は含まない。
一般には、防空戦闘の中核であるレーダーをかいくぐる機体設計を指す。
しかし、広義には人間の肉眼を含めた全てのセンサー類が対象となる。
ステルスを採用する事による戦術上の主眼は、交戦時の距離を攻撃側に都合良く操作する事である。
奇襲とアウトレンジが成立すれば味方に被害なく攻撃する事ができる。
そして現代空戦において、奇襲とアウトレンジはステルスなくしては成立しない。
また、ステルスは防御面においても機体・人員の生存を図るために必要不可欠である。
敵に発見されていない限り、敵から攻撃を受ける事もないからだ。
特にミサイルが発達した現代、終端誘導を妨害する技術は文字通りの意味で兵士の生死を左右する。
現在知られている主なステルス技術には以下のようなものがある。
- レーダー反射面積(RCS)の小さくなる機体形状を採用し、敵レーダーの実効探知距離を削減する
- 電磁波を吸収する塗料を用い、レーダー走査に応答が返らないようにする*1
- エンジンなどの排熱を抑え、赤外線誘導を攪乱する
- 迷彩を施す
現在のステルス技術は全て不完全なものであり、敵に接近しすぎれば検知されてしまう。
特に問題なのは人間の目視確認で、目視内射程まで接近すれば捕捉されるのは時間の問題である。
このため、ステルス兵器の運用は夜間戦闘を重視して行われる。
また、味方からも発見できない、という事実は戦術上の障害になる場合がある。
このため、自ら電波を発信する、レーダー反射板を取り付けるなどして意図的にステルス性を削ぎ落とす事もある。
陸戦では障害物の陰に隠れれば事足るため、ステルスはあまり重視されない。
もちろん敵から隠れる事は戦車にとっても重要だが、最大の天敵は常に歩兵の目視である。
一方、遮蔽物のない空戦・海戦ではステルス性は決して欠かす事のできない要素になりつつある。
程度の差こそあれ、湾岸戦争以降の軍用機・艦艇でステルスを意識していないものはほとんどない。
Photo: USAF