【スターリングエンジン】(すたーりんぐえんじん)

レシプロエンジンの一種、あるいは油圧ポンプの亜種。
ガスを媒体として熱を往復運動に変換するエンジンである。

密封されるシリンダーにガスを充填し、これに外部から熱を加える
すると内部のガスが熱で膨張するので、その圧力を運動エネルギーとして機械的に取り出す。
保守のために冷却するとガスは収縮するので、この時の逆方向の圧力も取り出される。

一般的な内燃機関と違って爆発的な燃焼を必要とせず、トルクが極端に加減速する事も少ない。
また、外燃機関であるため熱源の種類を問わず、燃料の制約を受けずに設計できる。
熱機関としても効率が高く、出力や安定性を問わないなら人間の体温でさえ熱源に利用できる。

原理的な効率は優れていても、実際の設計では未解決の技術的課題が山積しており、産業的シェアは多くない。
現在ではもっぱら冷房・暖房機器で熱を余所に移動させるヒートポンプとして利用される。

スターリングエンジンはそもそも「ある場所で吸熱し、別の場所で放熱する」事で成り立っている。
従って、まさに吸熱・放熱そのものを目的とする冷暖房設備とは非常に相性が良い。

また、近年では水中で使う*1ためのエンジンとしての研究開発も行われている。
低出力エンジンの分野においても、電池を使わない場合に多少の需要がある。


*1 冷たい海水を無尽蔵の冷却剤として利用できるため、地上での運用よりも技術的ハードルが多少低い。

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