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【シリアルナンバー】 †
serial number.
ある工業製品に1個ずつ割り振られる固有の番号(原義)。「製造番号」とも。
何らかの理由*1で製品の来歴を調査する必要が生じた際、この番号を判断材料として照会を行う。
航空機の場合はコックピット付近・垂直尾翼・主翼などに記されており、「機体記号」「機体番号(略して機番)」、あるいは「レジ」と呼ばれている。
なお、航空法上の規定では「国籍記号」及び「登録記号」となっている。
民間機の表記法 †
民間機の機体番号については、国際的に統一された表記法が存在する。
国籍を表す英字1〜2文字と、国ごとに定めた区分で数字や英字4〜5文字を組み合わせて表記されている。
例えば、日本で登録を受けた民間機(警察・消防・海上保安庁で使用される機体も含む)には「JAxxxx」という表記がされている。
「JA」が国籍を示し、後の「xxxx」が国土交通省の規定によって定められた機体の固有番号である。
その表記例の一部を挙げる。
- 1960年に日本航空へ引き渡された、DC-8の国内第1号機 JA8001
- 1970年、よど号事件の舞台となった日本航空のB727 JA8315
- 1985年、日本航空123便墜落事故の事故機となったB747SR JA8119
- 日本国政府専用機・B747-47Cの当初の機体番号 JA8091/8092*2
- 2005年、但馬空港で墜落事故死したロック岩崎最後の乗機・ピッツS-2C曲技機 JA22AR
日本における機体番号の割り振り †
かつて、運輸省(国土交通省)では民間機に対して以下のように登録番号を割り振り、一度使用された番号は、その機体が除籍された後は原則再利用しないこととされていた。
数字の区分 | 機種 |
0000〜0999 | 第三種滑空機 |
1000〜1999 | 特殊機 |
2000〜2999 | 第一種・第二種滑空機、動力滑空機(モーターグライダー) |
3000〜3999 | 単発ピストン機 |
5000〜5999 | 多発ピストン機 |
6000〜6999 9000〜9999 | ターボシャフト・ヘリコプター |
7000〜7999 | ピストン・ヘリコプター |
8000〜8100 | 4発ジェット機(DC-10等) |
8101〜8200 | 大型4発ジェット機(当初はB747のみが対象) |
8301〜8400 | 3発ジェット機(B727等) |
8401〜8500 | 双発ジェット機(B737等) |
8501〜8600 | 大型3発ジェット機(DC-10・L-1011等) |
8601〜8700 | ターボプロップ機(YS-11等) |
8201〜8300 8701〜8999 | ジェット機・ターボプロップ機(機種未定義) |
しかし、1990年代以降は登録機数の増加によってこの方式ではまかないきれなくなり、順次欠番を割り振っていったため原則が崩れ、現在は「JA+3桁の数字+英字1字」「JA+2桁の数字+英字2字」という方式に改められている*3。
また、大東亜戦争前は「J-ABCD」という英国に似た表記法*4であったが、戦後の1952年に民間航空が再開されたとき、現在の表記法に改められた。
軍用機における表記法 †
軍用機の機体番号は各国が独自に定めており、一部は軍事機密とされている。
一例としてアメリカ空軍・アメリカ海軍・航空自衛隊のナンバー付与法を次に示す。
アメリカ空軍式付与法 †
空軍機のシリアルは機体発注年度の下2桁と、その年度に発注された何番目の機体であるかを併記して製造番号とする。
「88-0465」であれば1988会計年度(1988年9月〜1989年8月)の予算で465番目に発注された機体である。
アメリカ海軍式付与法 †
海軍機(海兵隊所属機も含む)の製造番号は単純に納入された順に通し番号を付けていく方式で、「ビューロナンバー」と呼ばれる。
2004年時点で165,000番を突破しているが、150,000番以前の機体は全て用途廃棄となっている。
航空自衛隊式付与法 †
空自機のシリアルはアメリカ空軍の方式と同様に「2桁-4桁」標記であるが、次のように定めている。
- 1桁目
- 機体納入年(西暦)の下1桁
- 2桁目
- 機種
0:F-1/B747-400
1:T-3/T-400
2:YS-11/F-15J/DJ
3:MU-2/U-125A/F-2
4:V-107/E-2C*5
5:T-1/C-130/U-4
6:T-4
7:F-4EJ/EJ改/RF-4E/EJ/CH-47J
8:C-1/UH-60J
9:T-1/U-125 - 3桁目
- 機体の主任務
1:輸送機
3:汎用機
4:ヘリコプター
5:練習機
6:偵察機
8:戦闘機 - 4〜6桁目
- 用途及び機種ごとに予約された一連番号*6
001〜:C-1/U-125A
041〜:U-125
051〜:F-15DJ/T-400
071〜:C-130
091〜:B-65(現在は全機用途廃棄)
101〜:T-2(現在は全機用途廃棄)/B747-400
151〜:YS-11
201〜:MU-2/F-1(現在は全機用途廃棄)/T-33A(現在は全機用途廃棄)
251〜:U-4
301〜:F-4EJ/EJ改
451〜:E-2C
471〜:CH-47J
501〜:F-2/E-767
551〜:UH-60J
601〜:T-4
801〜:V-107(現在は全機用途廃棄)/F-15J/T-1A(現在は全機用途廃棄)
851〜:T-1B(現在は全機用途廃棄)
901〜:RF-4E/EJ
このため、「02-8801」とあれば「1980年に納入されたF-15Jの第1号機」、「20-1101」とあれば「1992年に納入されたB747-400の第1号機」となる。
*1 欠陥品や盗品の調査、偽造品との真贋鑑定など。
*2 総理府(現:内閣府)所有機とされたために与えられたが、まもなく防衛庁に移管されて軍用機扱いとなり、運輸省(現:国土交通省)の管轄から外れたため登録抹消されている。
なお、3機目の導入に備えて「JA8093」も予約されていたが、導入が見送られたため現在も使用されていない。
*3 ただし、英字の"I"、"O"、"S"は、数字の「1」「0」「5」と混同するため使用不可。
*4 たとえば神風号は「J-BAAI」、日本号は「J-BACI」という具合だった。
*5 これとは別に米海軍のビューロナンバーも与えられている。
*6 コックピットにはこの数字が標記されている。