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【イージス艦】 †
AEGIS combat system.
「AEGIS」の語は、古代ギリシャ神話に登場するゼウスがアテナに与えたとされる盾(正確には胸当て)「Aegis(アイギス)」を語源とする。
曰く、神々の王ゼウスの雷霆をもってしても破壊できず、一振りすれば嵐を巻き起こし人々を狂乱させるという。
また、直視した者は石のように麻痺して死んでしまうほど恐ろしい装飾が施されているという。
後述する「イージスシステム」のプラットフォームとして運用される戦闘艦の総称。
艦艇そのものの種類は問わないが、通常は巡洋艦・駆逐艦が選ばれる。
機密性が高く、また非常に高額であるため、喪失の可能性が高いコルベットなどが選ばれた例はない。
また、前提として大量のミサイル運用能力を要求されるため、航空母艦がイージス艦を兼ねる事もない。
主な任務はその迎撃能力をもって攻撃機や対艦ミサイルの脅威から航空母艦を護衛する事である。
加えて艦艇や潜水艦を探知する能力にも優れ、地上からの砲撃に対して巡航ミサイルで迎撃を行えるよう設計されるものもある。
また、核戦争に備えて弾道弾迎撃ミサイルによるミサイル防衛を任務に含める場合もある。
高度な造艦技術と高額な建造費を必要としており、イージス艦を運用できる海軍は多くない。
関連:対潜魚雷 CIWS 艦載砲 垂直発射システム 艦対空ミサイル
イージスシステム概略 †
イージスシステムは、概略すれば、艦艇全体を統合的にコンピュータ制御するC4Iシステムである。
その効能は、大雑把に言えば、危機に対する対応・反応を高速化し、迅速な対処を可能にする点にある。
例えば、フェイズドアレイレーダーと射撃指揮装置の即時連携を可能とする。
これにより、数百個の航空脅威を数百km先から探知・識別し、十数個を同時に迎撃する事が可能となる。
元々、現代のレーダーとミサイルは、カタログスペック上ではそれを可能とするだけの潜在能力を有する。
しかし、それらの機械的性能を最大限に発揮するには人間の操作では遅すぎるため、高度な電子制御が必要不可欠である。
電子設備の差は艦艇の危機対処能力に決定的な差異をもたらすものである。
また、他の艦艇や航空機とのデータリンクを構築する事で、この探知・迎撃能力はさらに増強される。
とはいえ、個々のハードウェア、特に艦そのものについては通常の艦艇とそれほどの差異はない。
迎撃能力の限界を超えた飽和攻撃に対しては単なる駆逐艦・巡洋艦に過ぎず、戦艦ほどの生存性は有し得ない。
略史 †
イージス艦の着想は冷戦時代の軍事技術競争に端を発する。
当時、ソ連軍はアメリカの空母打撃群への対策として、航空機・対艦ミサイルの増強を計っていた。
この事から、有事においてソ連はミサイルの大量投入による飽和攻撃に出るものと推定されていた。
これに対処するため、アメリカ海軍は多数の航空脅威を同時に迎撃する手段の研究開発に着手。
この要求に対して1964年「ASMS(Advanced Surface Missile System:先進水上ミサイル・システム)」計画がスタート。
1969年に「Aegis」計画と改名された。
開発は紆余曲折を経るも、1983年、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦として結実。
その後、海上自衛隊・スペイン海軍などがその流れに乗ってイージス艦の導入に成功し、以降徐々に需要を増して現代に至っている。
主なイージス艦 †
- アメリカ
- 日本(海上自衛隊)
- スペイン
- アルバロ・デ・バサン級?フリゲート
- ボニファス級(F110型)フリゲート(計画中)
- ノルウェー
- フリチョフ・ナンセン級?フリゲート
- 韓国
- 世宗大王級駆逐艦
- 世宗大王級駆逐艦
- オーストラリア
- ホバート級駆逐艦
- ハンター級フリゲート
この他、台湾が計画中である。