*&ruby(さんそぎょらい){【酸素魚雷】}; [#h514fb42]
1930年代、[[ロンドン海軍軍縮条約]]で主力艦の保有を制限された[[日本海軍>日本軍]]が、主力艦を補助する[[巡洋艦]]・[[駆逐艦]]の武装として開発した[[魚雷]]。~
主に、大日本帝国海軍の「九三式魚雷」もしくは「九五式魚雷」を指す事が多い。~
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当時の[[魚雷]]としては世界最高峰の[[破壊力>デストラクションパワー]]と[[有効射程]]を誇った。~
あまりの長射程((30km以上と言われる。))ゆえ、外れた魚雷が戦域外に迷い込んで友軍を誤爆したり別の敵に命中した例も散見された。~
当時の[[アメリカ海軍]]が[[艦載砲]]優先で魚雷を軽視する[[ドクトリン]]を採用していた事も相まって、特に[[艦隊]]の[[士気]]に絶大な影響を与えた。~
一方、非常に大型化したため[[雷撃機]]に搭載できず、航空戦主体となった[[太平洋戦争]]では使用例が少なく倉庫に在庫が山と積まれたという。

>そのためか、後に悪名高い[[特攻>特別攻撃]]兵器・人間魚雷([[特殊潜航艇]])「[[回天]]」として改修・転用される事にもなった。

内蔵の[[エンジン]]の[[燃料]]を燃焼させる[[酸化剤]]に空気を用いず、純酸素を用いているのが特徴。~
これによって窒素や二酸化炭素などが海面に浮上する事がなくなり、敵に魚雷の航跡が発見されにくくなった。~
また、酸素濃度20%の大気から純酸素に切り替える事によって内蔵[[酸化剤]]の重量が5分の1に削減され、[[航続距離]]が延長された。~
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大気をそのまま用いず純酸素を用いるという発想はさほど目新しい事ではなかったが、純酸素は極めて危険な物質であり、各国で爆発事故が多発。~
日本海軍でも1916年の燃焼実験で爆発事故を起こして開発中止に追い込まれているが、1928年に開発を再開し、1933年に開発が成功した。~
最終的にこれを実戦配備したのは日本海軍のみであり、秘密兵器とされた。~
その作動原理は機密指定され、「特用空気」や「第二空気」と呼ばれた[[酸化剤]]が実際に何であるかは乗員にも知らされていなかった。~

**酸素魚雷各型 [#u009d6fd]
-九三式魚雷一型:艦艇用。
-九三式魚雷三型:艦艇用。炸薬量を780kgに増加した。
-九五式魚雷一型:[[潜水艦]]用。
-九四式魚雷一型:[[航空魚雷]]。短期間で量産中止。~
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**各種酸素魚雷の要目 [#t6bba8d3]
|形式|九三式魚雷一型|九三式魚雷三型|九五式魚雷一型|九四式魚雷一型|
|全長|>|CENTER:900cm|715cm|670cm|
|直径|>|CENTER:61cm|53.3cm|53cm|
|重量|2,700kg|2,800kg|1,665kg|1,500kg|
|射程|36ktで40,000m&br;48ktで20,000m|36ktで30,000m&br;48ktで15,000m|45ktで12,000m&br;49ktで9,000m|45ktで4,000m|
|弾頭重量|490kg|780kg|400kg|200kg|
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