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*&ruby(いえんけん){【以遠権】}; [#v00413fe] ある国(甲)から相手国(乙)を経て、''その先にある更に別の国''(丙・丁・戊…)への区間についても[[航空機]]の営業運航を行うことができる権利。~ ~ 以下の二つの理由から、二国間の航空協定により設定される。~ >この協定において「当事国の権益確保」や「航空会社の育成」などの要素が入り込み、往々にして一方の国に有利な協定となることもある。 ある国の[[航空機]]が、他国の[[飛行場]]を出発点として第三国へ向かう運航を行う権利。~ [[飛行場]]を保有する国家と、その[[飛行場]]を利用する国家との間での航空協定によって保証される。 **航続距離によるもの [#v83deda7] [[航空機]]の[[航続距離]]が目的の国まで及ばず、第三国の[[空港]]に給油のため[[着陸]]する必要がある際に設定される。~ >かつては[[航空機]]の[[航続距離]]が短く、甲〜丙(・丁・戊…)と運航する長距離路線では第三国(乙)の空港に[[着陸]]する必要がしばしばあったが、その空港でも[[着陸料]]や空港施設利用料などが発生し、運航コストに跳ね返っていた。~ そこで、乙〜丙(・丁・戊…)の区間でも旅客の乗降・貨物の積み降ろしを取り扱えればその分の運賃でコストを吸収できる、という理屈である。 >航空協定では以遠権だけではなく、輸送量やその運航会社、路線設定や運賃など多種多様な[[航空]]権益について同時に交渉される。~ このため、シェア争いや国益が複雑に絡み合って交渉は錯綜しやすく、双方の国力差が反映され、しばしば不公平な印象を見せる。~ もっとも、外交交渉において「事実として不公平」なのか「不公平に見えるだけ」なのかは曖昧な問題であり、単純には判断できない。 **営業上の理由によるもの [#s83e4cfc] 航空会社が、営業戦略として[[ハブ・アンド・スポーク]]を採用し、相手国の[[空港]]をハブとして用いて第三国への路線を設定しようとするのに際し設定される。 [[航空機]]の[[航続距離]]が足りないか、他国の[[空港]]を[[ハブ空港>ハブ・アンド・スポーク]]に設定する事が望ましい場合に交渉される。~ 単に[[着陸]]・補給・[[再離陸>離陸]]して第三国へ向かうだけ([[テクニカルランディング]])なら以遠権は必要ないが、[[離陸]]前に旅客・貨物を載せ換えるには以遠権が必要となる。~ どちらにせよ、[[着陸料]]や空港施設使用料は請求されるため、効率的な商業運航を行うためには以遠権の保有が望ましい。