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*&ruby(はんじどうしきけんじゅう){【半自動式拳銃】}; [#i17135d4]
Semi-automatic Pistol~
~
発砲後、空薬莢の排出と次弾の装填を自動的に行う機能を備えた[[拳銃]]。~
引き金を引く以外は人力を介さず薬莢排出・次弾装填が行われ、多くの場合撃鉄も自動的に起こしてくれる。~
この為、[[回転式拳銃]]では不可能であった「軽い[[シングルアクション]]式のまま引き金を引くだけで連発できる」~
という機能が実現した。これは開発当時から非常に革新的な機能であり、自動式拳銃特有の大きなアドバンテージとなっている。~
>「弾切れまでは引き金を引く以外の操作を何もしなくて良い」と言う点は近代的な回転式拳銃でも同様~
だが、こちらは撃鉄を起こすことで回転式弾倉を回して次弾の射撃準備を行う必要があり、引き金と撃鉄~
を連動させる[[ダブルアクション]]式の採用で引き金を引くだけで連発できるようにはなったものの、~
事実上は引き金を介して人力で撃鉄を起こしている手動式連発銃である。~
発砲後、空薬莢の排出と次弾の装填を人力を介さず自動的に行う機能を備えた[[拳銃]]。~
装填・排莢に必要な動力は、初弾発射時の反動(リコイル)を利用するタイプが主流((一部の大型拳銃で発射ガスの圧力を利用するものもある。ただしそうした大型拳銃の主たる用途は遊興であり、実用面では多大な疑問の余地がある。))。

 装填・排莢に必要な動力には、自動式拳銃では初弾の反動(リコイル)を利用するタイプが主流((ただし、特に強力な弾薬を使用する自動拳銃、いわゆるマグナムオート等は[[ライフル]]に多いガス利用式も選ばれる。主に遊興用であり、軍用・警察用としては採用例は少ない。))。~
弾薬は箱型の弾倉に収められてグリップ内に収容され、外見からは(弾倉底部などを除き)ほぼ完全に銃本体の~
内部に収まってしまう形となる。((念のため付記しておくが、フィクションでしばしば「[[拳銃]]の持ち手の下に挿し込む部品」が描写されるあれは[[電池]]ではなく、弾を入れるケース([[弾倉]])である。全くの余談だが、実銃を模した遊戯銃(エアソフトガン等)では実際にバッテリーやガスボンベを弾倉、或いはグリップ内に仕込むので、実銃より身近な遊戯銃の知識を基にした場合は誤解してしまうこともあるのかもしれない。))このデザイン故に、回転式拳銃に比して装弾数を格段に増やしつつも((扱いやすさを度外視すれば、グリップからはみ出る多弾数弾倉すら可能。))それほど大柄にならず、~
本体の大きさの割に銃身長を長めに取ることもでき、横幅の薄さを追求することもできる。~
様々な機構・操作系を盛り込んだモデルが存在するのもそれだけデザインの自由度が高い事を表しており、~
新機種の登場頻度も比較的高く、人間工学的な研究も非常に進んでいる。~
19世紀末に登場し、「弾切れまでは引き金を引く以外の操作を何もしなくて良い」という革新的な機能をもって登場した。~
ほぼ同時期に[[ダブルアクション]]式の[[回転式拳銃]]もほぼ同等の機能を実現し、以降の拳銃は連射できる事が当然の前提となった。~
その後の20世紀の拳銃の歴史は、信頼性で優れる[[回転式拳銃]]と、装填弾数の多い半自動式拳銃との技術競争の様相を呈する事となる。~
21世紀に至っては技術向上で信頼性を高めた半自動式拳銃がほぼ全てのシェアを独占し、[[回転式拳銃]]を実戦の舞台から駆逐しつつある。

反面、自動式特有の欠点も少なからず存在する。~
全体的に見て操作自体が多様かつ複雑であり、シンプルな回転式拳銃に比べてより綿密な取り扱いトレーニング~
が必要とされる傾向がある。各モデルごとに様々な安全装置や射撃モードがあり、[[不発]]や排莢・装填のトラブルに~
よって作動が中断する可能性も存在するわけで((改良が進んだ現代のモデルでは整備不良でもない限りほぼトラブルに見舞われる事はないが、可能性として有り得るからには取り扱いのトレーニング要項として必須になる。))、その際の操作もシチュエーションや機種によって異なってくる。~
[[自動小銃]]等に比べてあまりにも個性豊かな大量の機種が官民問わず流通している事もあり、例え警察官や軍人~
であっても、制式品として訓練を受けた機種以外は咄嗟には取り扱えないことすら有り得る。~
弾薬は箱型の弾倉に収められてグリップに差し込まれ、グリップ越しに掌で弾薬を包むような形になる((念のため付記しておくが、フィクションなどで見られる「[[拳銃]]の持ち手の下に挿し込む部品」は弾を入れるケース([[弾倉]])であり、[[電池]]ではない。&br;  もっとも、[[モーター]]やガスボンベで駆動する遊戯用の模造銃に関してはこの限りでない。))
。~
このデザインによって、拳で握って振り回せるサイズを維持しつつ、回転式拳銃を上回る装弾数を実現している。

 社会的な影響としては、あらゆる面で圧倒的シェアを誇るが故に現代の拳銃そのものの代名詞ともされる。~
拳銃本来の特性としてサイズが小さく持ち運びが容易なので、民間人や警察官など護身用の武器として、或いは~
隠密に所持する犯罪の凶器としてもよく見られる。犯罪に使われた場合は弾数の多さが特に脅威であり、銃規制~
の内容論議の要旨となることが多く、拳銃による犯罪の過激化に対抗する為というのも警察組織で自動式拳銃が~
広まった理由の一つでもある。この為、現実・フィクション共に単に拳銃と言えば自動拳銃の露出が圧倒的に多く、~
時には闘う正義の象徴として、或いは酷薄な暴力の象徴として、様々な意味合いでの「銃」としての象徴となっている。~
内部機構が複雑なため操作や保守整備も複雑になりがちで、総じて取り扱いが難しく訓練に時間を要する。~
また、その複雑さゆえ黎明期には故障が頻発しており、機械的・社会的な信頼性を確立するまでは長い試行錯誤の歴史があった。~
現代の最新モデルは適切に整備されている限りほとんどトラブルを起こさないが、逆に言うと、整備不良を防ぐための時間的投資が必須である。

 軍用兵器としては、[[殺傷力>マンストッピングパワー]]と[[有効射程]]の不足が最大の欠点となってしまう。~
>弾丸そのものは相当遠くまで届くが((射撃場で台に固定するなどした場合、特にカスタマイズしない通常の拳銃でも30〜50m程度の距離で的に当たってしまうことは珍しくない))、一般的な射手の技量、かつ実戦のストレス環境下で命中を期待できる距離は10mに満たない。~
それでも素手や刃物・鈍器に対しては十分に有利であるが、[[散弾銃]]や[[小銃]]に比べれば圧倒的に劣る。~
[[殺傷力>マンストッピングパワー]]は人間を失血死させるには十分だが、防弾装備着用、或いは極端な錯乱状態にある人間を即時確実に制圧~
できるほどのものではない。((かつては、即時確実に制圧できる大[[口径]]・大威力の半自動式拳銃もいくつか開発されていたが、使い勝手を大きく犠牲にするため主流にはならなかった。))~
加えて、銃器としては例外的に民生用途での需要を多く見込めるため、新機種の登場頻度が非常に高い。~
売り上げを見込んだ個性化や新機軸の導入が進んでいる事もあって、未知の機種を実戦で混乱なく使いこなすためにはそれなりの訓練を要する。~
もっとも、そうした商業的需要ゆえ人間工学的な研究も進んでいるため、一般人が一通り使いこなすのに必要な最低限の手間は少ない。

この為に軍用としてはあくまで補助武器であり、防弾装備着用の上で数百mの距離を挟んでの射撃が主体になる~
戦場の野外戦闘では、文字通り使い物にならないと見られていることが多い。警官と違い堂々と重装備が当たり前~
になる軍隊においては、そもそも[[カービンライフル>カービン]]や[[短機関銃]]等を装備した方が接近戦でも有利である。~
**民生用途 [#s46f1189]
サイズが小さく持ち運びが容易なので、民間人や警察官など護身用の武器として、また隠し持って犯罪に用いる凶器としてよく見られる。~
かつて護身用武器としては[[回転式拳銃]]が使われていた時代もあるが、現代では護身用としても凶器としても大半が半自動式拳銃である。~
半自動式は[[回転式拳銃]]より装弾数が多く、これは個人レベルの[[白兵戦]]では非常に致命的な優位となるためである。~

>このため、銃規制においても装弾数の多寡が議論される場合がある。もちろん「装弾数は問題の本質ではない」という批判もあるが。

 ただ、近年では対テロを中心に市街地戦闘の研究も多く行われ、かつては支給すらされなかった一般の兵士にも~
拳銃が標準的に装備されるようになっている。短機関銃と予備の拳銃で弾薬を共通化して携行弾数を増やす、~
消音拳銃として隠密の戦闘任務に供するという軍用ならではの戦闘的な発想も多く、拳銃専用のアクセサリー~
や戦術なども活発に研究が進んでいる。~
**軍事的用途 [#w2501d13]
軽い弾丸と短い銃身のために[[有効射程]]は不十分で、このため[[軍事]]的需要は多くない。~
射撃場での練習なら30〜50mで命中する事もあり、[[誤射]]についても同程度の配慮を要する。~
戦闘中の強度ストレス環境に置かれている場合、10m先を狙い撃って命中を期待できる射手は多くない。~
その程度の射程でも素手や刃物・鈍器に対しては十分に有利であるが、[[散弾銃]]や[[小銃]]に比べれば圧倒的に劣る。~

主力兵器にはなれなくとも、軍用としても一定の存在感を示し続けることは間違いないだろう。
人間に対する[[殺傷力>マンストッピングパワー]]も十分であるとは言いがたい。~
人体に穴を開けて激痛を与え失血死させるには十分だが、[[防弾チョッキ]]や[[ボディアーマー]]に防がれた場合はまず致命傷に至らない。~
また、極度の戦場ストレスや覚醒剤などで変性意識状態にある人間は拳銃弾を受けてもほとんど苦痛を示さず戦闘を続行する事がある。

>人間を即時確実に制圧できる大[[口径]]・大威力の半自動式拳銃もいくつか開発されたが、大型化しすぎて拳銃である意味が薄かった。~
そもそも隠蔽困難な大型拳銃を大っぴらに持ち歩けるなら、[[自動小銃]]・[[散弾銃]]・[[短機関銃]]などのもっと強力な武装も用意できる。

このため、[[軍隊]]に配備される場合の主たる用途は、非戦闘員や主武装喪失時の護身用である。~
大規模な正規戦においては実用上の意味がほとんどなく、[[士気]]を維持するためだけに配備される装備であった。~
もっとも、近年の対テロ戦争では市街地における乱戦も想定され、実際に活用される機会も増えている。~
[[偵察]]などの隠密行動では、[[減音器]]など特殊な補記類を使いやすい[[拳銃]]が有利な場合もある。


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