【SH-34】(えすえいちさんじゅうよん)

Sikorsky HSS-1 Sea Bat(シーバット)
HUS-1 Sea Horse(シーホース)/SH-34/UH-34/CH-34 Choctaw(チョクトー)

アメリカのシコルスキー社が開発した汎用/対潜ヘリコプター。社内呼称S-58。

米海軍の要求により1952年から開発を開始し、1954年に試作機が初飛行。1955年に配備が開始された。
1962年には4軍統一の機体命名法により「SH/UH/CH-34」へ改称されている。

S-55(UH-19「チカソー」/ホワールウィンド)を設計母体とした上で、大型化・エンジン出力増加を企図している。
S-55と同様にエンジンを後ろ斜め上向きにして機首に搭載し、メインローター駆動軸が機内を斜めに貫く独特の配置となっている。

アメリカ合衆国の4軍(陸軍海軍空軍海兵隊)と沿岸警備隊の全てで採用された。
加えて、旧西側諸国へと盛んに輸出・ライセンス認可されている。

後継機・HSS-2(S-61)の配備に伴い、主要先進国においては退役済み。
しかし中南米や東南アジアには未だ現役が続いている国もあり、延命措置を施されながらも稼働が続いている。

スペックデータ

HSS-1
乗員2名
搭載能力兵員16名または担架8基
全長17.28m
全高4.85m
主ローター直径17.07m
空虚重量3,583kg
全備重量5,900kg
最大離陸重量6,350kg
エンジンライト R-1820-84「サイクロン9」空冷星型9気筒×1基
エンジン出力1,525hp(1,137kW)
速度
(超過禁止/巡航
198km/h / 157km/h
航続距離293km
実用上昇限度1,495m
武装対潜魚雷対艦ミサイルロケット弾ポッドガンポッドなどを搭載可能


ウェセックスHC.Mk2
乗員2名
搭載能力兵員16名または担架8基
全長14.74m
全高4.93m
全幅3.66m
主ローター直径17.07m
空虚自重3.77t
全備重量6.1t
エンジンロールス・ロイス?ブリストル? グノームMk.110/111?ターボシャフト×1基
エンジン出力1,550hp
機体内燃料搭載量1,100kg
速度
(超過禁止/巡航)
M0.17(212km/h)/M0.16(195km/h)
海面上昇率503m/分
実用上昇限度3,050m
ホバリング限界1,200m(OGE)
航続距離540km(機内燃料)、770km(増槽使用)
武装誘導魚雷×2発
SS.11対戦車ミサイル×4発
ロケット弾ポッド×2基
ガンポッドなど


SH-34(S-58)のバリエーション(カッコ内は改称後の名称)

  • XHSS-1「シーバット」:
    原型機。

    • HSS-1「シーバット」(SH-34G):
      アメリカ海軍の対潜哨戒機型。日本の海上自衛隊も採用。

    • HSS-1F(SH-34H):
      YT-58-GEを2基搭載したエンジンテストベッド機。

    • YHSS-1N(YSH-34J):
      全天候型のプロトタイプ。

    • HSS-1N(SH-34J):
      アメリカ海軍向け全天候型。
      改良されたアビオニクスと操縦装置を持つ。

  • HUS-1「シーホース」(UH-34D):
    アメリカ海兵隊向けの機体。

    • HUS-1A(UH-34E):
      フロートを装備した水陸両用型。

    • HUS-1G(HH-34F):
      アメリカ沿岸警備隊向け捜索救難型。

    • HUS-1L(LH-34D):
      極地運用型。アメリカ海軍第6南極開発隊(VXE-6)で運用された。

    • HUS-1Z(VH-34D):
      要人輸送型。

  • H-34A(CH-34A):
    エンジンをライトR-1820-34(出力1,525hp)に転換したアメリカ陸軍向けの機体。

    • JH-34A:
      A型の武装テストベッド型。

    • VH-34A:
      A型の要人輸送型。

  • H-34B(CH-34B):
    A型の改良型。

  • H-34C(CH-34C):
    B型の改良型。

    • JH-34C:
      C型の武装テストベッド型。

    • VH-34C:
      C型の要人輸送型。

  • HH-34D:
    アメリカ空軍予備隊の捜索救難ヘリコプター型。

  • CH-126:
    カナダ軍向けS-58B。

  • S-58A:
    社内名称。民間向けもこの呼称(他国のライセンス生産あり)。

    • S-58B:
      民間向け貨物輸送型の改良型。

    • S-58C:
      商業向け旅客機型。

    • S-58D:
      民間向け旅客/貨物機型。

    • S-58E:
      1971年に認証された型。

    • S-58F:
      S-58Bの最大離陸重量を増加させた型。

    • S-58G:
      S-58Cの最大離陸重量を増加させた型。

    • S-58H:
      S-58Dの最大離陸重量を増加させた型。

    • S-58J:
      S-58Eの最大離陸重量を増加させた型。

    • S-58T:
      エンジンをP&Wカナダ PT6T-3ターボシャフトに転換した機体。

      • S-58BT:
        S-58Bのターボシャフト転換型。

      • S-58DT:
        S-58Dのターボシャフト転換型。

      • S-58ET:
        S-58Eのターボシャフト転換型。

      • S-58FT:
        S-58Fのターボシャフト転換型。

      • S-58HT:
        S-58Hのターボシャフト転換型。

      • S-58JT:
        S-58Jのターボシャフト転換型。

  • Orlando Heli-Camper:
    Winnebago IndustriesおよびOrlando Helicopterによるコンバージョンモデル。
    ライトR-1820-24エンジンを搭載。

  • Orlando Airliner:
    18人乗りの旅客輸送ヘリコプター型。

  • ウェストランド製(ウェストランド・ウェセックス)
    • Wessex:
      輸入したHSS-1原型およびウェストランド製原型機の呼称。

    • Wessex HAS.1:
      英海軍向け汎用/対潜ヘリコプター型(後に捜索救難ヘリコプターとして使用)。
      エンジンはガゼルMk.161に換装。
      一部は、後にHAS.3に改修。

    • Wessex HC.2:
      英空軍向け機体。最大16名の兵員を輸送可能。
      エンジンはロールス・ロイス・ブリストル グノームMk.110/111ターボシャフトを搭載。

    • Wessex HAR.2:
      英空軍向け捜索救難型。

    • Wessex HAS.3:
      Mk.1の近代化改修型。エンジン出力の強化とレーダーを搭載。
      後部胴体にレドームを備えている。

    • Wessex HCC.4:
      英空軍向け要人輸送型。

    • Wessex HU.5:
      Mk.2の改良型で英海軍向け強襲・輸送型。

    • Wessex HAS.31:
      オーストラリア海軍向け対潜ヘリコプター型。

    • Wessex HAS.31B:
      HAS.31の改良型。

    • Wessex 52:
      イラク空軍向けのHC.2。

    • Wessex 53:
      ガーナ空軍向けのHC.2。

    • Wessex 54:
      ブルネイ空軍向けのHC.2。

    • Wessex 60:
      民間向けHC.2の呼称。


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