【SABRE】(せーばー)

Semi-Automated Booking and Reservation Environment.

1950年代に開発された、旅客機の空席照会・座席割り当て・航空券発券を行うコンピュータシステム(CRS)。
IBM社が開発してアメリカン航空に納入されたものだが、関連業者のシステムと相互接続・提携され、また機能拡張を繰り返してきた。

なお、運営母体は2000年3月にアメリカン航空から分離されている。

現在では「Sabre Global Distribution System」と称される巨大な旅行販売ネットワークを形成しており、全世界60ヶ国以上、65,000以上の旅行会社、400以上の航空会社、27のレンタカー業者、125,000軒以上のホテル、50社以上の鉄道会社、17社のクルーズ船会社が参画している*1

関連:SAGE

制度的背景

旅客機は運航の安全上(ロードマスターによる管理)の必要性から、座席の事前予約を必須とする。
コンピュータシステムの導入以前、この予約手続きは典型的に以下のような流れで行われていた。

  1. 旅行代理店が電話で航空会社に注文を行う。
    • 注文指定項目は「出発日時」「出発地」「到着地」「便名」「座席グレード」「人数」など。
  2. 航空会社の予約担当者が、飛行計画ごとの座席帳簿(紙の帳簿)から手作業で空席を検索する。
  3. 注文内容を満たす空席があれば、帳簿上で席を予約し、その席についての詳細を代理店に回答する。
  4. 航空会社からの回答を元に、旅行代理店が航空券を作成。顧客に手渡して運賃を受け取る。

この一連の作業は注文一件あたり90〜180分の長い時間を要し、当時の航空需要を満たせないほどの遅延が生じつつあった。
また、聞き間違い・書き間違い・言い間違いに起因するトラブルが多発し、経営上無視できない信用問題が生じていた。

当時のアメリカン航空の調査では、搭乗手続き12件に1件ほどの割合でこうしたトラブルが生じていたという。

この問題を解決するため、座席帳簿を電子化し、航空券の発券を自動化する目的でSABREが導入される事となった。


*1 日本では日本航空のCRSを基にした「AXESS」と呼ばれるシステムが本システムと提携している。

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