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【M151】 †
M151
アメリカのフォードモーター社がアメリカ陸軍および海兵隊向けに開発した、四輪駆動式の小型汎用トラック。
ジープの後継として1960年に開発され、1990年代までアメリカ機械化歩兵部隊の主力装備であった。
形状がジープと酷似している事から「ケネディジープ」、または単に「ジープ」と呼ばれる事も多い。
ベトナム戦争で初めて実戦投入され、陸軍では1990年代初期まで使用されていた。
現在、多くの部隊では後継のHMMWVに更新されているが、軽量な設計のため海兵隊や空挺部隊ではなおも現役にある。
軍事的蛮用を想定して頑丈・大雑把に作られているが、基本的には単なるトラックである。
車体にはモノコックフレームを採用しており、車高の低さ・軽量さ・構造の単純化を図っている。
車高を抑えるために天井もドアも窓も全て取り払われた完全なオープンカーであり、銃砲撃に対する生存性は皆無だった。
また、車体構造が牽引などの局所的負荷に比較的弱く、輸送に際してはいくらかの注意を要する。
車体後部に銃架を備えており、ここに武装を施す事で多少の火力支援も可能。
また、戦闘を想定しない場合は後から上部構造物(皮革製の幌とドア)を設置して風雨を遮る事も可能。
ただし、構造上の問題から上記二つを同時に実現する事はできなかった。
アメリカのほか、カナダ、デンマーク、イスラエル、イギリス他、多くの国の軍隊で導入された。
関連:ジープ M422? HMMWV グロウラーITV? CUCV? RSOV? 73式小型トラック(旧)
スペックデータ †
乗員 | 4名 |
全長 | 3.38m |
全高 | 1.80m |
全幅 | 1.63m |
ホイールベース | 2.16m |
戦闘重量 | 1,070kg |
懸架 ・駆動方式 | パートタイム4WD 4速MT×2速副変速機 |
サスペンション | 前:ダブルウィッシュボーン+コイル 後:スイングアクスル+コイル(A2以外) セミトレーリングアーム+コイル(A2のみ) |
エンジン | フォード製 直列4気筒OHV水冷ガソリンエンジン(出力71hp) |
最高速度 | N/A |
行動距離 | N/A |
武装 | 固定武装なし 必要に応じて機関銃や迫撃砲・無反動砲・対戦車ミサイルが搭載される |
主なバリエーション †
- M151:
1960年発表の初期型。
リアサスペンションの欠陥からコーナリング時の横転事故が多発した。
- M151A1:
1964年発表の改良型。
横転事故の問題を解決するため、リアサスペンションの改良が行われた。
- M151A2:
1970年発表の改良型で、一連のバリエーションにおける車体改良の最終型。
リアサスペンションをセミトレーリングアームへと変更し、前後のターンシグナルランプを大型化、フロントフェンダー前端の形状も変更された。
- M151A2 TOW:
BGM-71 TOWを搭載した対戦車ミサイル車両。
しかし、ペイロードが足りなかったため、弾薬と運用要員が2台に分乗する必要があった。
この問題のため、後継のHMMWVでは積載量を増やすため大型化する事となった。
- M718A1:
衛生兵が運用する後送用の救急車。
リアオーバーハングを延長し、担架を収容できる様にしている。
- M825:
前述のM151A1Cを改称したもの。M40 106mm無反動砲搭載型。
- M1051:
アメリカ海兵隊向けの軽量消防車。
- MRC108:
地上の前線から航空管制を行うための通信車両。
マルチバンド通信機を搭載。
- M151A2 FAV:
米陸軍第82空挺師団と海兵隊特殊部隊向け仕様。
エアボーンによる緊急展開や突撃用。
ロールバーや複数の銃架、ストレージボックス、照明などを装備。
武装としてブローニングM2、Mk.19自動擲弾発射機、BGM-71「TOW」対戦車ミサイルを搭載可能。
- M151A2 TOW: