【Bf109】(びーえふいちまるきゅう) †

Messerschmitt Bf 109.

戦間期のスペイン内戦から第二次世界大戦中の全期間を通じて活躍した、ドイツ空軍の主力戦闘機。

液冷エンジンを装備した高速戦闘機で、機体重量に比し小さく薄い主翼やモーターカノン、主脚のエンジンマウントなど、特徴のある設計となっている。
初飛行の1937年から何度も改修されたために多くのバリエーションがある。

終戦までに製造された機数は30,000機を超え、戦闘機においてこれを凌ぐ生産機数はソビエトのIl-2シュトルモビクの36,163機だけである。
さらに戦後もイスラエル軍がチェコスロバキアから輸入し、中東戦争でもS-199として運用された。

関連：メッサーシュミット　Fw190　ルフトバッフェ　ハンス・ヨアヒム・マルセイユ　スピットファイア?

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スペックデータ（Bf 109 G-6） †

乗員1名
全長8.95m
全高2.6m
翼幅9.925m
翼面積16.05��
空虚重量2,247kg
運用時重量3,148kg
最大離陸重量3,400kg
発動機ダイムラーベンツ DB 605 A*1液冷倒立V型12気筒×1基（出力1,475PS（1,085kW））
プロペラVDM 9-12087軽合金3枚プロペラ（プロペラ直径：3m）
最高速度640km/h（高度6,600m）
巡航速度590km/h（高度6,000m）
航続距離850km/1,000km（ドロップタンク装備時）
上昇限度12,000m
上昇率17m/s
翼面荷重196kg/��
パワー/マス344W/kg
武装モーターカノン:MG 151/20 20mm機関砲×1門
もしくはMK108 30mm機関砲×1門(U4仕様)
胴体:MG 131 13mm機銃×2門
翼下ガンポッド (R6仕様) :MG 151/20 20mm機関砲×2門
爆装Werfer-Granate 21（Wfr.Gr.21）21cmロケット弾×2発
250kg爆弾×1発、50kg爆弾×4発
300リットルドロップタンク×1基
無線機FuG 16Z無線機


IMG_5534.jpg

(Bf 109 G-2/trop)

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バリエーション（カッコ内は非公式愛称） †

  • Bf 109 V：
    試作型。初飛行はエンジンはイギリス製のロールス・ロイス ケストレル（出力570hp）エンジン搭載機によって達成された。
    以後もA〜E型の原型となっている。 一部はスペイン内戦で実戦試験に投入された。

  • Bf 109 A（アウグスト August）：
    初期生産型。V-4を原型とする。 Jumo 210 B(出力640PS)エンジンを搭載する。
    木製固定ピッチ2翅のプロペラを持つ。

  • Bf 109 B（ベルタ Berta）：
    改良型。スペイン内戦の主力機となった。

    • Bf 109 B-0：
      生産前機。Jumo 210 B（出力610PS）を搭載。MG 17 7.92mm機銃×2門(胴体)を装備。

    • Bf 109 B-1：
      初期生産型。Jumo 210 D（出力670PS）を搭載。

  • Bf 109 C（ツェーザー Cäser、またはクラーラ Klara）：
    主にスペイン内戦からポーランド侵攻にかけて少数が使用された。
    なお、「ツェーザー」は人名のほか、ローマ帝国皇帝カエサルを特に指す固有名詞的な使い方もされる。

    • Bf 109 C-1：
      Jumo 210 G（出力700PS）エンジンを搭載。MG 17 7.92mm機銃×4門 (胴体、翼内)を装備。

    • Bf 109 C-2：
      試作型。モーターカノン機銃を追加。

    • Bf 109 C-3：
      MG FF 20mm機関砲搭載モデル。生産されず。

  • Bf 109 D（ドーラ Dora）：
    V10、V13を原型とする。主にスペイン内戦からポーランド侵攻にかけてある程度の機数が使用されたが、すぐにBf109Eが登場したため戦場に長くは留まらなかった。

    • Bf 109 D-1：
      Jumo 210 Gを搭載。MG 17 7.92mm機銃×4門 (胴体、翼内)を装備。

    • Bf 109 D-2：
      試作型。モーターカノン機銃を追加。

    • Bf 109 D-3：
      武装強化型。D-1の翼内銃をMGFF 20mm機関砲×2門に換装。少数生産。

  • Bf 109 E（エーミール Emil）：
    V14、V15を原型とする。ダイムラー・ベンツ製DB 601エンジンを搭載した機体で、第二次世界大戦開戦初期の主力機となった。
    この型から、砂漠仕様の機体には名称尾部に/tropと追加される(例:Bf 109 E-4/trop)。
    • Bf 109 E-1：
      DB 601 A（出力1,100PS）を搭載。MG 17 7.92mm機銃×4門 (胴体、翼内)を装備。戦闘爆撃機型 はE-1/Bと呼称される。
    • Bf 109 E-2：
      E-1と似た機体だが、モーターカノンにMGFF 20mm機関砲×1門を装備。少数生産。
    • Bf 109 E-3：
      武装強化型。
      翼内武装をMG FF 20mm機関砲×2門へ換装。
    • Bf 109 E-4：
      改良型。
      風防形状を変更したほか、20mm機関砲を強装薬の薄殻弾頭(Minengeschoß:ミーネンゲショス)が発射できるMG FF/Mに換装。戦闘爆撃機型はE-4/Bと呼称される。
    • Bf 109 E-4/N：
      E-4のエンジンをDB 601 N（出力1,175PS）に換装したモデル。戦闘爆撃機型はE-4/BNと呼称される。
    • Bf 109 E-5：
      武装を7.92mm機銃×2門に減じた偵察戦闘機型。E-6も同様。
    • Bf 109 E-7：
      E-4/N型と似た機体だが、胴体下落下タンクの装備を追加。
    • Bf 109 E-7/U2：
      地上攻撃任務用の装備追加、装甲の強化を行ったE-7。
    • Bf 109 E-7/Z：
      E-7にGM-1増力装置を搭載。
    • Bf 109 E-8：
      DB 601 E（出力1,350PS）を搭載。落下タンクを装備。武装等はE-1に準拠。
    • Bf 109 E-9：
      E-8型から武装を減じた偵察戦闘機。

  • Bf 109 F（フリードリヒ Friedrich、またはフリッツ Fritz）：
    DB 601 N及び改良されたDB 601 Eが搭載された機体。
    空気抵抗を減少させる設計に刷新された。
    大きな性能向上を果たし、中期の主力機となった。
    • Bf 109 F-1：
      DB 601 Nを搭載。MG FF/M 20mm機関砲×1門(モーターカノン)とMG 17 7.92mm機銃×2門(胴体)を装備。
    • Bf 109 F-2：
      モーターカノンの20mm機関砲をMG 151 15mm機銃に換装。
    • Bf 109 F-3：
      F-1のエンジンをDB 601 Eに換装。
    • Bf109F-4：
      モーターカノンの20mm機関砲をMG 151/20に換装。初速、発射速度、携行弾数が増加した。

  • Bf 109 G（グスタフ Gustav）：
    DB 605エンジンを搭載した機体。
    多数の派生型が開発され、後期の主力機となった。
    対爆撃機任務の増加に伴い、翼下ガンポッド型式のMG 151/20×2門(R6仕様)が装備可能となった。
    • Bf 109 G-1：
      DB 605 A （出力1,475PS）搭載。MG 151/20 20mm機関砲×1門(モーターカノン)とMG 17 7.92mm機銃×2門(胴体)を装備 。
    • Bf 109 G-2：
      G-1の非与圧型。
    • Bf 109 G-3：
      G-1の無線装置を改良した機体。
    • Bf 109 G-4：
      G-3型の非与圧型。
    • Bf 109 G-5：
      胴体銃をMG 131 13mm機銃×2門に換装した型。機銃搭載に際して発生したボイレ(Beule:出っ張り)が特徴。また、従来のDB 605 Aに加えDB 605 AS（出力1,455PS、高高度性能向上型）搭載機(G-5/AS)が登場。
    • Bf 109 G-6：
      G-5の非与圧型。最多生産型で、生産途中に方向舵の改設計や尾輪の固定化、エンジン出力を一時的に離昇1800PSまで増強する水メタノール噴射装置*2の取付が可能なDB 605 AMもしくはDB 605 ASMの搭載などが行われた。また、生産後半のころからモーターカノンのMK 108 30mm機関砲への換装(U4仕様)が可能になる。
    • Bf 109 G-8：
      武装を減じた偵察戦闘機型。
    • Bf 109 G-10：
      空気抵抗となっていたボイレを設計の工夫で除き、DB 605 DM(出力1700PS)もしくはDB 605 DB(出力1800PS)*3を搭載した型。最高速度は7500mで680km/h。
    • Bf 109 G-12：
      複座練習機型。
    • Bf 109 G-14：
      本命のG-10の実戦投入までの繋ぎとして余りの部品を利用して生産された型。そのため、ボイレが残っており、生産工場によって細部の形状が違う。
    • Bf 109 G-16：
      地上攻撃任務用の変型機。

  • Bf 109 H（ハインリヒ Heinrich）：
    Bf 109 Fから開発された高高度戦闘機型。
    翼幅が拡張され、高度10,100mにおいて750km/hでの飛行が可能とされた。
    少数のH-1が生産され、試験されたが主翼の強度不足から開発は放棄された。
    • Bf 109 H-1：
      DB 601 Eエンジン搭載の高々度戦闘機型。操縦席与圧。
    • Bf 109 H-2：
      Jumo 213エンジン搭載の高々度戦闘機型。計画のみ。
    • Bf 109 H-5：
      DB 605エンジン搭載の高々度戦闘機型。計画のみ。

  • Bf 109 J：
    スペインでのライセンス生産計画案。25機分の未組み立て部品(尾部が含まれていない)及び設計図がスペインに送られた。

  • Bf 109 K（クーアフュルスト Kurfürst）：
    量産された最後のBf 109。なお、「クーアフュルスト」とは「選帝侯*4」のこと。
    終戦直前に完成し2機のみ配備されたK-14型では2段2速過給器付きDB 605 Lを搭載し、高度12000mで760km/の速度を発揮した。
    • Bf 109 K-0：
      G型改修の高々度戦闘機型生産前機。DB 605 DBを搭載。MK 108 30mm機関砲×1門(モーターカノン)とMG 131 13mm機銃×2門(胴体)を装備。
    • Bf 109 K-2：
      DB 605 ASCM/DCMエンジン（出力2,000hp）を搭載。
    • Bf 109 K-4：
      K-2に与圧操縦席を装備した機体。最後の本格的な量産機。最高速度は7500mで710km/h。
    • Bf 109 K-6：
      K-2に翼下装備のMK 108 30mm機関砲×2門を追加した機体。
    • Bf 109 K-14：
      二段二速過給器によって高高度性能の向上したDB 605 Lを搭載するK型の最終型。プロペラ枚数を四枚に変更。

  • Bf 109 L：
    Jumo 213 Eエンジン搭載の速度向上型提案。計画のみ。

  • Bf 109 S：
    吹き出しフラップ搭載の提案型。計画のみ。

  • Bf 109 T（トレーガーフルークツォイク Trägerflugzeug）：
    E-3型にカタパルトフックとアレスティングフックを追加、主脚強化、主翼延長と翼端を折りたたみ式に改造した艦上戦闘機型。
    航空母艦「グラーフ・ツェッペリン」に搭載する予定だった。
    フィゼラー社担当でまず先行量産型T-0型を10機製作、E-4/N型ベースのT-1型60機の量産が進められた。
    しかし空母が未完成に終わったため、完成した機体から艦載用装備を撤去、ノルウェーや北西ドイツの陸上基地で部隊運用された。
    • Bf 109 T-0：
      E型に艦上運用装備を搭載した艦上機型生産前機。
    • Bf 109 T-1：
      DB 601 Nエンジン搭載モデル。他はT-0型と同様。
    • Bf 109 T-2：
      T-1型から甲板運用装備を撤去した改修型。
    • Bf 109 TL：
      翼下に補助用ターボジェットエンジン搭載の計画案。計画のみ。

  • Bf 109 Z（ツヴィリング Zwilling）：
    双発機型。実用化されなかった。
    • Bf 109 Z-1：
      2機を結合した双発機。MK 108 30mm機関砲×5門を装備。
    • Bf 109 Z-2：
      Z-1の機体をもとに、30mm機関砲×2門と爆弾1,000kgの搭載を可能にした戦闘爆撃機型。
    • Bf 109 Z-3：
      Z-1のエンジンをJumo213に変更する計画。Z-2の改修機であるZ-4も同様。

  • Bf 109 W（ヴァッサーフルークツオイク Wasserflugzeug）：
    双フロート式の水上機型。

  • Bf 109 X：
    BMW 801空冷エンジンを搭載する試作型。胴体はF型のものを流用。

  • S-99 :
    戦後、チェコスロバキアのアヴィアで生産されたBf 109 G-6。
    • CS-99 :
      S-99の複座練習機型。

    • S-199 :
      在庫エンジン不足から、He 111 H-14爆撃機用のJumo 211 Fエンジン(出力1340PS)をカウリング周辺の改設計の後に搭載。MG 131 13mm機銃×2門(胴体)、MG 151/20 20mm機関砲×2門(翼下)を装備。
    • CS-199 :
      S-199の複座練習機型。

  • HA-1109-J1L :
    スペインのイスパノが入手した25機の不完全なBf 109 G-2にフランス製エンジンを国内で改良したイスパノ12Z-89(出力1300PS)をカウリング周辺の改設計の後に搭載した型。ブレダ-SAFAT 12.7mm機銃×2門(胴体)を装備。1機のみ運用。

    • HA-1109-K1L :
      戦後の1951年、輸入したフランス製の12Z-17(出力1300PS)を搭載した型。65機が生産、運用された。最高速度は4200mで650km/h。

    • HA-1110-K1L :
      HA-1109-K1Lの複座練習機型。

    • HA-1112-K1L :
      HA-1109の主翼を再設計しHS.404 20mm機関砲×2門(翼内)を装備、追加でエリコン製対地ロケット8発を懸架可能とした型。

    • HA-1112-M1L :
      イギリス製のマーリン500-45(出力1600hp)にHA-1112-K1Lのエンジンを換装した型。最高速度は665km/h。上昇性能はドイツ本国の最後の量産型Bf 109 Kを超えた。
*1 DB 605A系列エンジンなら全タイプ搭載可能
*2 MW50:30分間のみ使用可能で、戦争末期には多用された
*3 DB 605 Dシリーズは標準で水メタノール噴射装置を装備する
*4 神聖ローマ帝国で絶大な権力を持った諸侯のこと

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