【AW139】(えーだぶりゅーいちさんきゅう)

Agusta-Westland AW139.

アグスタウェストランドが開発・生産する中型双発の民間向けヘリコプター
AW109ベル412などといったライトツイン〜中型機の後継市場を狙ったものである。*1
当初はアグスタとベルが「AB139」の名称で共同開発していたが、ベルは経営難や政治的理由から途中で撤退、アグスタウェストランド単独の製品となった。

A109の特長である飛行性能の高さに加え、キャビンが広く造られている。
またドーファン2S-76といったライバル機を強く意識しており、これらの機体よりも速度ペイロード航続距離・高高度性能などが優れているとされる。

その性能の高さが認められ*2、イタリアやイギリスの沿岸警備隊などに採用されている。
日本の警察庁でもSA365Nの後継として2006年から、海上保安庁でもベル212の後継として2008年から*3、それぞれ本機の導入が開始された。

派生型として、本機を大型化した軍用モデルのAW149が存在する。

導入国

  • 軍及び政府
    • オーストラリア
    • 中国
    • エストニア
    • アイルランド
    • イタリア
    • 日本
    • 韓国
    • レバノン
    • マレーシア
    • カタール
    • スペイン
    • トリニタード・トバゴ
    • UAE
    • アメリカ
  • 民間
    • カナダ
    • 中国/香港/マカオ
    • デンマーク
    • エジプト
    • エストニア
    • フィンランド
    • オランダ
    • ノルウェー
    • ポルトガル
    • カタール
    • サウジアラビア
    • スペイン
    • UAE
    • イギリス

スペックデータ(AW139)

乗員1〜2名+定員15名
全長16.66m
全高4.98m
全幅2.26m
主ローター直径13.8m
総重量6,400kg
7,000kg(7tモデル)
エンジンP&W・Canada PT6C-67Cターボシャフト×2基
出力1,531hp(1,142kW)
最高速度310km/h
巡航速度306km/h
航続距離1,061km
実用上昇限度6,096m
上昇率10.9m/s
武装サイドウィンドウにFN MAG 7.62mm機関銃×2挺を装備(アイルランド空軍)


バリエーション

  • AB139:
    原型機。

  • AW139:
    初期生産型。

  • AW139 ロングノーズ:
    イタリアとアメリカで製造されたロングノーズ型。
    アビオニクス用のスペースが増加している。

  • AW139M:
    軍用型。武装を搭載可能。

    • HH-139A:
      M型のイタリア空軍向け戦闘捜索救難型。

    • VH-139A:
      イタリア空軍向け要人輸送機型。

    • US139:
      アメリカ陸軍の軽量多目的ヘリコプター(LUH)に提案したモデル。
      EC145を元にしたUH-72Aに敗れている。

    • MH-139A「グレイウルフ」:
      アメリカ空軍向け。UH-1Nの後継。

    • AW149:
      AW139の拡大型。

      • AW189:
        AW149の民間型。


*1 同社ではAW109シリーズの販売も継続している。
*2 カタールにおいて、タキシング中にテイルブームが自壊する事故が発生し、一時その信頼性を疑問視する声もあった。
  しかし、その後の調査において、同事故の原因が「当該機が過去に起こしたテイルブーム接触事故」とその際の「メーカーの承認を得ない不適切な修理」にあることが確認された。

*3 ただし、本来導入されるはずであった救難用定点飛行ソフトウェアの開発が間に合わず、実装されないまま納入されてしまった。

トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS