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【5号戦車】 †
Sd.Kfz.171 5号中戦車"
第二次世界大戦におけるドイツの代表的な中戦車。
バルバロッサ作戦に於いて出現した「T-34」や「KV-1」と言った強力なソ連戦車に対抗する為、強力な砲を搭載し高い防御力を備える戦車が是が非でも必要である、として1941年11月から開発され、1942年11月に採用された。
T-34を凌駕するために火力、重装甲を兼ね備え、尚かつ重量30t以内という思想で開発されたが、重量44tと結局超過してしまい、650馬力という比較的強力なエンジンを備えていたが、トランスミッション等の走行装置に不具合を抱えてしまった。
だが、戦況がその不具合を改修するための時間を許さず、そのままの状態で5号戦車「パンターD型」として採用、クルスクでの戦い(チタデレ攻勢)投入されたのだが、その殆どが駆動系を故障、燃料漏れによる火災で2両全焼とさんざんなデビューと成った。
だが、その後改良したA型、G型、F型は期待通りの性能を発揮し、特に搭載されたKwK42/L70 70口径75mmの主砲は111mmの装甲を1,000mm先から貫通でき、命中率も高い為、遠距離から連合国戦車を易々と撃破する事が可能であった。
防御の面でも基本的な車体構造はそれまでのドイツ戦車と同じ、圧延均質鋼板の溶接構造だが装甲を傾斜させた、いわゆる避弾径始の概念を初めて取り入れ、本車の美しい外見は、形状の見本となったソ連戦車の様な泥臭さが無く、また、今までの無骨なドイツ戦車とは一線を画している。
防御は優れてはいたが、どちらかというと砲塔偏重の傾向があり、それに比べると車体側はやや弱装甲で、特に車体側面下部は対物ライフルでも貫通する事が可能であったと言われる。
乗員は砲塔に車長、装填手、砲手、車体側に通信士兼機関銃士、操縦士の計5名。
なお、5号戦車には「パンター2」と呼ばれる6号戦車B型と部品を共通化し、且つ防御力の強化を目指した発展型の計画があったが、5号戦車でも十分に戦えることが判明し、結局開発はされなかった。
関連:エルンスト・バルクマン?
スペックデータ †
乗員 | 5名 |
全長 | 8.66m |
車体長 | 6.87m |
全高 | 2.85m |
全幅 | 3.27m |
重量 | 44.8t |
懸架方式 | ダブルトーションバー方式 |
エンジン | マイバッハ HL230P30 水冷4ストロークV型12気筒ガソリンエンジン(出力700馬力(520kW)) |
速度 | 55km/h(整地) 33km/h(不整地) |
行動距離 | 250km |
武装 | KwK.42 L/70 70口径75mm砲×1基(79発) MG34 7.92mm機関銃×2挺(4,200発) |
装甲 | 11mm 傾斜11°(砲塔前面) 45mm 傾斜25°(砲塔後・側面) 80mm 傾斜55°(車体前面) 40mm 傾斜40°(車体側面) 40mm 傾斜30°(車体後面) |
各型式(アルファベット順ではない事に注意) †
- D型(842両):
初期量産型。
武装は70口径75mm KwK.42/L70、7.92mm×1挺。
エンジンは第250号車まではマイバッハHL210 P30(出力650PS/3000rpm)が搭載されている。
- A型(約2,200両):
D型の改良型。
新型キューポラ・ボールマウント式機銃架を装備、若干の構造変更、変速機を変更し駆動系の信頼性向上。他はD型と同一。
- G型(3,100両(2,953両説もあり)):
最多生産モデル。防御力向上の為、開口部が減少し側面装甲が強化された。
ヤーボ対策のため、上部装甲厚も強化。
後期型はショットトラップ回避のため、砲塔防盾に「あご」状の張り出しを付けている。
後はA型と基本的に同じ。
- F型:
前面投影面積を減少且つ装甲厚を増やし(120mm)、砲塔防盾をザウコフ型防盾に変更した小防弾型砲塔「シュマールトゥルム(パンター2用砲塔)」に変更。
試作1両のみ。