【38度線】(さんじゅうはちどせん)

北緯38度付近で朝鮮半島を横切り、北朝鮮と韓国とを分断する事実上の国境線。
この線周辺に設定された南北4km幅の非武装地帯を挟んで、北朝鮮・韓国の両軍が現在でも対峙し続けている。

非武装地帯上にある板門店(P‘anmunjŏm)に両国の共同警備区域が設定され、北朝鮮と韓国の実務者協議もここで行われている。

第二次世界大戦終結後、朝鮮を統治していた日本が撤退に際し、北からソビエト連邦・南からアメリカ合衆国が進駐。
ソビエト・アメリカ両軍の遭遇地点が暫定的な国境となり、北側が後の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、南側が大韓民国(韓国)として建国された。
北朝鮮・韓国は建国以来一貫して朝鮮半島全土の領有を主張し、互いを国家として承認せず国内反政府勢力として扱っている。

1949年に北朝鮮・韓国が建国され、翌1950年には全土統一を掲げて北朝鮮が侵攻を開始(朝鮮戦争)。
北朝鮮軍は韓国軍を壊滅せしめて南進するも、アメリカを中核とする国連軍(実態は多国籍軍)が韓国に来援して押し戻された。
これに呼応して中国共産党も義勇軍として北朝鮮側で参戦したため泥沼の激戦となり、最終的に38度線付近で戦況が膠着し、休戦が協定された。
以降、2023年現在に至るまで戦闘は再開されていないが、講和条約は締結されておらず、朝鮮戦争は未だに継続している。

北朝鮮と韓国との間で国是・利害が完全に相反しているため、法的拘束力を持つような譲歩・妥協は政治的に困難である。
一方、敵を完全に打倒して朝鮮半島の統一という国是を達成するのも軍事的に至難となった。
ことさら、朝鮮戦争がアメリカと中国が朝鮮半島を荒らし回る代理戦争と化していた事実は、北朝鮮と韓国の軍事戦略において重大な先例となった。
朝鮮半島全土を占領できたとしても、その上でさらにアメリカ・中国の軍事介入をも撥ね除けなければ政権を固持できない事が予想されるからだ。

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