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【03式地対空誘導弾】 †
陸上自衛隊で運用されている中距離地対空ミサイル。
略称「SAM-4」。現場では「中SAM」などと呼ばれる。
1950年代に開発されたアメリカ製地対空ミサイル・MIM-23「ホーク」の後継として日本国内で開発された。
1996年から開発が始まり、発射器、管制装置、通信機器など6つのフェーズに渡って開発が進められ、2003年に制式化された。
なお、1990年代はNATO各国で相次いで地対空ミサイルの陳腐化・新型への更新要求が生じていた。
このため、NATO内各国共同での新型ミサイル開発計画「MEADS?」が提唱され、日本にも参画が打診された。
当時の日本政府はこれを謝絶し(当時の武器輸出三原則等に抵触したため)、必然的にMEADS?の成果となる次世代地対空ミサイルが入手不能となった。
結果、日本国内で独自に地対空ミサイルを開発・調達する必要が生じ、SAM-4の開発の契機となった。
しかし、21世紀以降の慢性的な財政難・防衛予算削減によって配備は進まず、改良ホークからの更新が進んでいない。
そのため、調達単価を抑えた改修モデル「03式中距離地対空誘導弾(改)」が開発され、2017年から調達が始まっている。
性能 †
開発に当たっては、以下のような点が考慮された。
システムは、発射器、レーダー装置、射撃管制装置、対空戦闘指揮装置に分けられ、それぞれが自走可能となっていることで、従来のホークに比べて展開・撤収に要する時間が短縮され、操作要員もホークが50人体制であったのに対して20人体制となり、省力化されている。
また、対レーダーミサイルから守るためのデコイシステムもあると言われており、生残性が向上した。
レーダーはアクティブ・フェイズドアレイ方式で、捜索・追尾・誘導をこれひとつでこなすことができ、他のレーダーやシステムと情報を相互に授受することによって、広範囲かつ対妨害性に優れた性能を有している。
また、ECCM能力や見通し外射撃能力、同時多目標対処能力などが向上し、空対地ミサイルや巡航ミサイルへの対処能力も有するとされている。
将来的には、現在開発中の対空戦闘指揮統制システムや、航空自衛隊が擁するE-767AWACS?等とのデータリンクによる戦闘能力向上も考慮されている。
発射器は重装輪車(重装輪回収車と車体部分が共通)に搭載した6連装のキャニスター式となっており、整備性、補給性共に向上した。
射撃時にはこれを垂直に立てるようになっており、車両を停めるスペースさえあれば市街地や森林などでも射撃することが可能となっている。
また、捜索兼射撃用レーダー装置車、運搬・装てん装置車及びレーダ信号処理兼電源車も同様に重装輪車が使われている。
対空戦闘指揮装置は73式大型トラック、幹線無線伝送装置、幹線無線中継装置及び射撃管制装置は高機動車に搭載された状態で運用され、小回りが利くとされている。
主な配備部隊 †
- 開発実験団
- 装備実験隊(実用試験用)
- 陸上自衛隊高射学校
- 高射教導隊第4中隊(教育訓練用)
- 陸上自衛隊武器学校(整備士教育用)
- 第2高射特科群(東部方面隊直轄)
- 第334高射中隊
- 第335高射中隊
- 第336高射中隊
- 第337高射中隊
- 第8高射特科群(中部方面隊直轄)
- 第338高射中隊
- 第339高射中隊
- 第340高射中隊
- 第343高射中隊
- 第2高射特科団(西部方面隊隷下)
- 第3高射特科群
- 第344高射中隊
- 第345高射中隊
- 第313高射中隊
- 第7高射特科群
- 第346高射中隊
- 第3高射特科群
- 第15高射特科連隊(第15旅団隷下・2014年3月末時点で3個中隊が換装)
- 第1高射中隊
- 第2高射中隊
- 第3高射中隊
車輛構成 †
- 対空戦闘指揮装置(73式大型トラックに搭載)
- 幹線無線伝送装置・幹線無線中継装置・射撃管制装置(高機動車に搭載)
- 捜索兼射撃用レーダー装置・発射機・運搬装填装置及びレーダー信号処理兼電源車(重装輪車?に搭載)
スペックデータ †
全長 | 約4.9m |
直径 | 約0.32m/約0.28m(改善型) |
重量 | 約570kg/約460kg(改善型) |
弾頭重量 | 約73kg |
射程 | 60km以上 |
誘導方式 | 中間指令誘導+アクティブレーダー誘導 |
価格 | 約470億円(1セット(1個群)) |
主契約社 | 三菱電機 |