【与圧服】(よあつふく)

Pressure suit / Pressurized suit.
飛行服の一種で、高高度など気圧の低い環境での生命維持を念頭に置くもの。

気圧が極端に低くなると、肺が酸素吸収に必要な圧力を得られず、酸素マスクがあっても呼吸困難に陥る。
また、減圧によって血中の窒素などが気泡となって圧迫する減圧症も問題になる。

「血液が沸騰する」などという風説もあるが、これは基本的に間違い。
血液自体は沸騰し得るが、外傷性の大出血を起こしていない限り皮膚・血管で十分に保護される。

こうした低気圧に対しては、基本的にはコックピットキャビン自体を与圧して対処する。
与圧服は、被弾などで機体の気密構造が破られた状況を想定して着用される。

とはいえ、気密性を第一に考える与圧服は分厚く頑丈で動きにくく、操作を阻害する。
現代では高高度飛行の機会が少なく、また損傷があまり想定されなくなった*1ため、あまり用いられない。

宇宙開発の初期においては、航空機用の与圧服が宇宙服として流用されることも多かった。

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U-2パイロット用与圧服


*1 現代の地対空ミサイルに対しては対応防御が成り立たず、高高度で損傷した機体はまず帰還できない。

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