【放射能】(ほうしゃのう)

放射性物質が放出している放射線の強さ。
あるいは、ある物質が放射性物質であるという事実。
慣用表現として、安全限度を越えて人体に有害な放射能を持つ放射性物質そのものを指す語としても使われ。

放射能の単位としては「ベクレル(Bq)」が使われる。
原子核が1秒間に1個崩壊するのを1ベクレル、または1壊変毎秒と称する。個々の放射線が持つエネルギー量とは無関係。
ベクレルは放射性物質の質量に比例して増加する。
原子炉燃料のウラン235は約7万Bq/g、劣化ウラン(ウラン238)は約12400Bq/g、プルトニウム239は約23億Bq/g。

実際には、単に放射能の強弱だけでは人体への被曝量は量れない。
発生する放射線が遮蔽の容易なα線であれば、体内に吸い込んでしまったか、よほど長時間か多量に触れていない限り実質的な被害はない。
一方、X線であれば相当に離れていても被曝したものとみなすべきだが、放射能の量に比べて実質的な被曝の深刻さにはかなりの余裕がある。
また、当然ながら事故に対する対策も被害を著しく増減させる。

現代の原子炉で事故が発生した場合、全ての職員が事故対策を熟知しているため直接の人的被害は軽微に留まる可能性が高い。
一方、チェルノブイリ原発事故では部外者を駆り出して事情すら通達しないまま消防活動を展開し、これが人的被害の主たる原因となった。

また、医療用の放射性物質が少量紛失しただけでも惨禍をもたらした例がある(子供が拾って面白がり、剥き出しの状態で近所に配り回ったという)。


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