【放射能】(ほうしゃのう)

放射性物質が放出している放射線の強さ。
あるいは、ある物質が放射性物質であるという事実。

放射能の単位としては「ベクレル(Bq)」が使われ*1、ベクレルは放射性物質の質量に比例して増加する。
慣用表現として、安全限度を越えて人体に有害な放射能を持つ放射性物質そのものを指す語としても使われる*2

実際には、単に放射能の強弱だけでは人体への被曝量は量れない。
これは例えていえば、単にマグニチュードから地震の被害総額や死傷者数が推定できないのと同様である。

例えば、発生する放射線が遮蔽の容易なα線であれば、体内に吸い込んでしまったか、よほど長時間か多量に触れていない限り実質的な被害はない。
一方、X線であれば相当に離れていても被曝したものとみなすべきだが、放射能の量に比べて実質的な被曝の深刻さにはかなりの余裕がある。

また、当然ながら事故に対する対策の度合いも被害を著しく増減させる。
原子炉で事故が発生したので、取りうる最大限の安全措置を講じてから避難する場合」と、「紛失した放射性物質を、全く知識のない民間人が面白がって剥き出しの状態で近所に配り回った場合」とでは、明らかに後者の方が甚大な人的被害をもたらすものと推定できる。


*1 原子核が1秒間に1個崩壊するのを1ベクレル、または1壊変毎秒と称する。個々の放射線が持つエネルギー量とは無関係。
*2 ちなみに、原子炉燃料のウラン235・1グラムが約7万Bq、劣化ウラン(ウラン238)・1グラムが約12400Bq、プルトニウム239・1グラムが約23億Bqに相当する。

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