【飛鳥】(あすか)

1970〜1980年代、科学技術庁航空宇宙技術研究所(NAL)が開発したSTOL(短距離離着陸)実験機
地方空港向けローカル線区用のSTOL旅客機を開発するためのテストベッドとして川崎重工で製作された。

機体は、川崎が航空自衛隊に納入していたC-1輸送機をベースに新規製作され、NALが開発した低騒音ターボファンエンジン4基を主翼上に搭載した。
このエンジンの排気を主翼の上面に流し、更にフラップで下へ向けてコアンダ効果揚力を高める「USB」という手法によって離陸滑走距離を短縮するようになっていた。

同機は1985年〜1989年にかけて試験飛行が行われ、一定の成果を収めたが、ここから実用機の開発・製作を進めるにはコストが膨大にかかり、また、地方空港でも滑走路延伸などの設備改良によって通常型の機体が離発着できるところが増え、研究そのものの意義も薄まったため、プロジェクトの終了と共に除籍された。

現在、同機は岐阜県各務原市の「かかみがはら航空宇宙科学博物館」にて展示保存されている。

スペックデータ

全長:29.0m
全高:10.2m
全幅:30.6m
主翼面積:120.5m²
全備重量:38,700Kg
エンジン:FJR710/600S 低騒音ターボファン(推力4,290kg)×4基
最大速度:600Km/h
航続距離:1,600Km
着陸距離:480m


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