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【政治警察】 †
テロリストやスパイ、及びその予備軍となる危険思想*1に関する捜査活動を展開する警察組織。
日本においては公安警察・公安調査庁がこれに相当する。
高度に訓練された犯罪集団を相手取る性質上、捜査手法や捜査員の身元などは秘密とされる。
極端な事例では組織の存在そのものが秘密になっている場合もある。
これは捜査員を保護するため、また捜査を確実に行うための配慮である。
しかし同時に、非人権的で非合法で残虐な"効率的手法"を用いる可能性を示唆するものでもある。
また、原則として通常の司法・行政からの管制を受けず、文民統制を半ば無視する。
準戦時体制では憲兵の延長線上に置き、略式の処刑を執り行う権限を持つ場合もある。
権限がなくても暗殺を行っている可能性は否定できない。
不安定な政権においては白色テロの実行機関となったり、クーデターに関与する場合もある。
平和主義に基づく素朴な偏見をもって見れば、秘密警察は明らかに邪悪である。
また実際、人権蹂躙に傾く性向を全く備えていない秘密警察は古今に例がない。
にもかかわらず国家がこれを設置するなら、それは秘密警察を上回る害悪が実在するからである。
秘密警察は公共の利益を保護するために存在し、そのために活動を行っている。
そしてその活動の途上で、法秩序に服さない人間を放置した時に何が起きるかを理解している。
現実問題として、公平な法秩序は、兵器の在庫を抱えた職業犯罪者から人命を守る機能を持たない。
テロリストから無辜の市民を守護する義務を、"無辜でない市民"から人権を剥奪せずに果たす事は不可能である。
もちろん、現実に存在する秘密警察が、そうした理想の体現者であるなどとは到底期待できない。
他人の名誉を貶めるのも、不当に拘束するのも、死体袋に詰めて搬出するのも、現実的には市民の安全のためではない。
真実そうする必要があったのだとしても、そうと証明される事はない。秘密なのだから。
だが少なくとも、秘密警察に"処理"された危険人物が、他の人々に危害を加えることは、二度とない。
*1 何をもって危険思想とするかは国情により異なるが、警察の視点から見て、危険でない政治思想などというものは存在しない。
人は偽りの目的や理念を賢しらげに騙る事ができるのだから、安全な思想なるものは社会原理上どこにも存在し得ない。