【那覇空港】(なはくうこう)

沖縄県那覇市に所在する拠点空港
(実際には防衛省が「那覇基地」「那覇駐屯地那覇空港地区」及び「南那覇駐屯地*1」を併設しているため、事実上自衛隊との軍民共用空港である)

1972年の沖縄返還により、日本国の空港整備法における「第二種空港」に指定されて以後、問題とされてきた空港設備の設備・県内路線の整理が行われた。
本州への航空路線の充実ぶりは勿論、県内の離島路線も充実しており、沖縄方面の航空交通のハブとしての役割を果たしている。

また、自衛隊との共用になっている飛行場空港における管制業務は、原則として防衛省が受け持つことになっている*2が、本空港では設置・管理者が国土交通省になっているため、管制業務は国土交通省の航空管制官が行っている。

本空港は返還以後、長らく滑走路一本で運用されてきたが、2000年代に入ってから増加し続ける需要に限界が近かった*3事と、空軍海軍力を増強中の中華人民共和国に対する対領空侵犯措置によるスクランブル発進などが増加し、そうした緊急事態の際に民間の航空路線の発着が制限されると、本土や離島との唯一の交通手段がストップしてしまい大きな影響を及ぼす事*4から、2本目の滑走路が建設され、2020年3月に供用開始となった。

略史

本空港の歴史は、1934年に日本海軍によって開設された「小禄飛行場」に始まる。
1936年に逓信省(現在の総務省・日本郵政グループの前身)航空局の管轄に移り「那覇飛行場」と改称される*5が、大東亜戦争中の1942年に再度海軍の管理下に移され「小禄飛行場」となる。
1945年の沖縄戦の結果、本空港はアメリカ海軍陸軍の管理下に置かれ、戦後の1947年には初の民間機としてパンアメリカン航空が就航した。

1972年の沖縄返還により、日本国の空港整備法による第二種空港に指定(前述)。
同時に防衛庁海上自衛隊航空自衛隊*6の基地も設置。
1982年には施設管理権がアメリカ空軍から全面返還され、現在に至っている。

空港情報

種別拠点空港(国管理・旧第二種
滑走路3,000m×45m(18L/36R)
2,700m×60m(18R/36L)
3レターコードOKA
4レターコードROAH
ILSあり
設置・管理者日本国政府(国土交通省)


主な就航路線

国内線
就航会社就航地
日本航空(JAL)*7東京/羽田大阪/伊丹、奄美(那覇発のみ。奄美発は与論経由)、沖永良部、
与論(与論発のみ)、久米島(季節運航、久米島発のみ)
日本トランスオーシャン
航空(JTA)
大阪/関西名古屋/中部小松岡山福岡、久米島、宮古/宮古島、石垣
琉球エアーコミューター
(RAC)
与論、久米島、北大東、南大東、宮古/宮古島、石垣、与那国
全日本空輸(ANA)*8東京/羽田、東京/成田、大阪/伊丹、大阪/関西、名古屋/中部、仙台新潟*9
静岡*10広島岩国、高松、松山、福岡、長崎*11熊本、宮古/宮古島、石垣
スカイマーク(SKY)東京/羽田、名古屋/中部、茨城大阪/神戸、福岡、宮古/下地島
ソラシド・エア(SNA)*12東京/羽田、名古屋/中部、大阪/神戸、福岡、宮崎鹿児島、石垣
スターフライヤー(SFJ)北九州(季節運航)
ジェットスター・
ジャパン(JJP)
東京/成田、大阪/関西、名古屋/中部
ピーチ・アビエーション
(APJ)
東京/成田、大阪/関西、名古屋/中部、札幌/新千歳、福岡
第一航空(DAK)粟国
国際線
就航会社就航地
ピーチ・アビエーション
(MM)
台北/桃園、高雄、香港
チャイナエアライン
(CI)
台北/桃園、高雄
エバー航空(長榮航空)
(BR)
台北/桃園
スターラックス航空
(JX)
台湾/桃園
タイガーエア台湾
(IT)
台北/桃園、高雄
マンダリン航空
(AE)
台中
大韓航空
(KE)
ソウル/仁川
アシアナ航空
(OZ)
ジンエアー
(LJ)
ソウル/仁川、釜山
チェジュ航空
(7C)
ソウル/仁川
ティーウェイ航空
(TW)
ソウル/仁川、大邱
イースター航空
(ZE)
ソウル/仁川
香港航空
(HX)
香港
香港エクスプレス
(UO)
中国国際航空
(CA)
北京/首都、天津、重慶
中国東方航空
(MU)
上海/浦東、杭州、西安
吉祥航空
(HO)
上海/浦東、南京
北京首都航空
(JD)
杭州
ジェットスター・アジア
航空
(JSA)
シンガポール
エアアジアX
(D7)
クアラルンプール(台北/桃園経由)、台北/桃園


貨物便
全日本空輸国内線:東京/羽田、東京/成田、名古屋/中部、大阪/関西
国際線:ソウル/仁川、台北/桃園、上海/浦東、青島、廈門、香港、バンコク、シンガポール

自衛隊の配備部隊

航空自衛隊(那覇基地(JASDF Naha Air Base))

  • 航空総隊隷下
  • 南西航空方面隊
  • 航空救難団飛行群
  • 警戒航空団飛行警戒監視群
    • 第603飛行隊(E-2Cを配備)
  • 航空支援集団隷下
    • 航空保安管制群
      • 那覇管制隊
    • 航空気象群
      • 那覇気象隊
  • 防衛大臣直轄部隊
    • 航空システム通信隊保全監査群通信監査隊
      • 第4通信監査班
    • 航空システム通信隊移動通信群
      • 第5移動通信隊
    • 航空警務隊
      • 那覇地方警務隊
    • 情報保全隊*14
      • 那覇第3情報保全派遣隊

陸上自衛隊(那覇駐屯地(JGSDF Camp Naha)那覇空港地区)

(南那覇駐屯地(JGSDF Camp Minaminaha))

  • 自衛隊共同機関
    • (自衛隊病院)自衛隊那覇病院*15

海上自衛隊(那覇航空基地(JMSDF Naha Air Base))

  • 自衛艦隊航空集団隷下
    • 第5航空群
      • 第5航空隊(P-3Cを配備)
      • 第5整備補給隊
      • 那覇航空基地隊
  • 防衛大臣直轄部隊
    • 佐世保システム通信隊
      • 那覇通信システム分遣隊
    • 佐世保地方警務隊
      • 那覇警務分遣隊

その他の官公庁航空組織

  • 沖縄県警察本部生活安全部地域課
  • 海上保安庁第十一管区海上保安本部
  • 内閣府沖縄総合事務局開発建設部(災害対策用機としてAS350を配備。運航は中日本航空に委託)

*1 自衛隊那覇病院が航空自衛隊陸上自衛隊に移管されるにあたって、病院敷地を陸上自衛隊の「駐屯地」とした。
*2 このため、そうした飛行場空港では航空管制官のスキルを持った自衛官管制塔に常駐している。
*3 当時の需要予測では「現状のままでは、10年以内に旅客増加に対応できなくなる」とされていた。
*4 この事例はかつての千歳空港とも似ており、同空港では民間機専用の新千歳空港が建設された。
*5 当時、日本の民間航空行政に関する事務は(郵便の輸送を委託していたこともあって)逓信省が管轄していた。
*6 後に陸上自衛隊も、第1混成団(現在の第15旅団)の航空部隊を駐屯させ、2022年には航空自衛隊から移管された「自衛隊那覇病院」の敷地を以て「南那覇駐屯地」を開設している。
*7 日本エアコミューター(JAC)機材乗務員で運航する便含む。
*8 ANAウイングスの機材・乗務員で運航する便あり。
*9 6月〜9月のみ運休。
*10 繁忙期期間運航。
*11 繁忙期期間運航。
*12 全便、全日本空輸との共同運航便
*13 2016年1月31付で第83航空隊より改編。
*14 これは陸上自衛隊海上自衛隊との共同部隊。
*15 2021年度末に航空自衛隊から移管。

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