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【第1空挺団】 †
JGSDF 1st Airborne Brigade.
陸上自衛隊の戦略級部隊単位である「団*1」の一つで、日本唯一の空挺部隊。
本団のルーツは、自衛隊発足直後の1954年9月、旧帝国陸軍にあった空挺部隊「第1挺進集団」の元隊員など20名によって福岡県・香椎*2で編制された「落下傘降下第1次研究員」である。
翌年1月、この研究員を母体に「臨時空挺練習隊」が編制され、同隊は4月に現在の駐屯地である習志野へ移駐。
その後、1955年1月に「第101空挺大隊」への改編を経て、1958年6月に団としての編成を完了した。
この経緯から、現在の本団では「旧陸軍空挺部隊を事実上の前身とし、その伝統を継承する」ことを公言している。
以後、長らく東部方面隊の隷下部隊とされていたが、2007年3月に新編された中央即応集団の隷下に移されて現在に至っている。
現在の本団は、本部を千葉県・習志野駐屯地に置き、3個普通科大隊*3を基幹とする約1,900名の兵員を擁し、航空自衛隊の輸送機(C-130やC-1)や陸自の輸送ヘリコプター(UH-1・UH-60JA・CH-47J)による日本全土への緊急展開や災害派遣・民生協力・国際貢献などを任務としている。
また、正規軍相手の防衛作戦以外に対テロ・ゲリラ戦への対応も要求されており、陸自唯一の特殊部隊である「特殊作戦群」の母体ともなっている。
関連:特殊部隊(軍事) 空挺降下
陸自の最精鋭部隊、として †
まず空挺訓練生となるためには、所定の体力検査、身体検査及び適性検査に合格することが必要であり、更に陸曹については三五歳以下、陸士については二七歳以下の年齢制限をしている。 各検査の基準は、幹部、曹、士共通であるが、一般隊員に比べて、身長、走力、肺活量、懸垂力、情緒安定性等において厳しい制限がある。 空挺隊員として勤務するには、基本降下課程及び降下長課程から成る空挺基本訓練課程を修了することが必要である。 なお、空挺基本訓練課程を修了した一部の者に、更に高度の技能、知識を付与するために、レンジャー課程(空挺)及び自由降下課程を置いている。 1.基本降下課程の期間は、約5週間であり、地上準備訓練及び降下訓練を主として教育している。 2.降下長課程の期間は、約3週間であり、落下傘の整備、地上準備訓練及び降(投)下訓練を主として教育している。 3.自由降下課程の期間は、約6週間であり、降下訓練、地上準備訓練及び航空生理訓練を主として教育している。
――以上は、本団の概要に対する国会答弁にてなされた発言の一部である。
この発言でも述べられている通り、本団に属する隊員には厳しい選抜要件と訓練が課されており、このことを以て「陸自の『最精鋭部隊』」とされているのである*4。
このことに対する羨望と揶揄を込めた「第1狂ってる団」との俗称もあり、隊員にも「豪快」な逸話が多々伝わっている*5。
しかし、今後は(陸自における事実上の海兵隊となる)「水陸機動団」の創設なども予定されていることもあり、現在の存在価値を維持できるかどうかが問題になると見られている。
部隊編制 †
- 団本部*6
- 団本部中隊(偵察小隊、降下誘導小隊)
- 第1普通科大隊
- 第2普通科大隊
- 第3普通科大隊
- 空挺特科大隊(本部中隊と3個射撃中隊からなる)120mm迫撃砲 RTを配備。*7
- 空挺後方支援隊(整備中隊、落下傘整備中隊、衛生小隊及び補給小隊)
- 通信中隊
- 施設中隊
- 空挺教育隊
主要装備 †
- 第1/第2/第3普通科大隊
- 73式小型トラック
- 73式中型トラック
- 73式大型トラック
- 高機動車
- 軽装甲機動車(LAV)
- 89式5.56mm小銃
- 対人狙撃銃?
- 9mm機関けん銃
- 5.56mm機関銃MINIMI
- 01式軽対戦車誘導弾(LMAT)
- 81mm迫撃砲 L16
- 空挺特科大隊
- 空挺後方支援隊
- 73式小型トラック
- 73式中型トラック
- 73式大型トラック
- 軽レッカ
- 3トン半水タンク車
- 野外炊具
- 浄水セット(車載型)
- 1トン半救急車
- 89式5.56mm小銃
- 9mm拳銃
- 12.7mm重機関銃M2
- 91式携帯地対空誘導弾
*1 英訳すれば「Brigade」。諸外国の陸軍であれば「空挺旅団」に相当するが、兵員数等々を勘案すれば実質「独立空挺歩兵連隊」程度である。
*2 同地には当時、アメリカ陸軍のキャンプがあり、第187空挺連隊「ラッカサンズ」(第101空挺師団隷下。現在は同師団隷下の「第3旅団戦闘団」に改編)が駐屯していた。
*3 現在、普通科部隊で「大隊」の編制を採っているのは本団のみである。
*4 他国の陸軍にあっても、空挺部隊は「精鋭の軽歩兵」と位置づけられていることが多い。
*5 その概要については該当項目を参照のこと。
*6 司令部としなかったのは、当時のアメリカ陸軍が旅団長を大佐職としていたのに倣い、団長職に一佐を充てた名残である。(現在の団長には将補が充てられている)
*7 普通科連隊の重迫撃砲中隊(12門)よりも規模が小さく、火力不足は否めない。第12旅団とともにM777の配備(できれば18門程度)が望ましいと言われている。