【制空権】(せいくうけん)

mastery of the air
特定の空域において味方航空機の安全な活動を保障し、かつ敵性航空機を完全に排除した状態。空の支配。
航空機は、その特性として高速かつ障害物無しに移動できるため、防空線の突破を防ぐ事が基本的に困難であること、また、敵性航空機を完全に壊滅した場合でも、地上に隠蔽配備されている地対空ミサイルの壊滅はさらに困難であるため、完全なる支配はほぼ不可能である。

湾岸戦争において、イラク軍の統制された防空活動は多国籍軍による空爆開始からからほぼ数日で終了したが、その後も隠蔽された地対空ミサイルは多国籍軍航空部隊に度々脅威をもたらした。
その後、2003年に起きたイラク戦争の結果としてイラク軍としての防空活動が実施されなくなってから以後も、テロリストにより、離着陸する輸送機を狙ってSA-7が発射される事案が度々起き、完全に安全を保障した状態にはならなかった。

よって厳密には「制空権」という概念は航空戦略戦術上において基本的に使用されず、ほぼ同義である「航空優勢」という言葉を使用するのが普通である。
とはいえ、「制空権」という概念を広義に捉え、「航空優勢」そのものとして使用される場合もままある。

関連:制海権


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