【上昇限度】(じょうしょうげんど)

航空機が自己の性能のみで到達・維持できる限界の高度
高度上昇・気圧低下に伴って減少していく上昇率が、実用上さらなる上昇を期待できないほど低い値に達する高度

実際には気圧に関連する現象だが、上空の気圧を予期するのは現実的でないため、高度を指標として用いている。
このため、上昇限度には地域や天候によって生じる誤差がある。

航空機重力に逆らうために大気との衝突による揚力と、エンジン推力を得るための酸素を必要としている。
そして高度が上昇すると気圧が低下するため、同じ対気速度から得られる揚力が減少する。
加えて、気圧が低下するとエンジンへの酸素流入量も低下するため、推力自体も減少する。
このため、高度上昇によって気圧が低下すると機材の上昇率も低下する。

揚力を無視して推力のみで上昇し、貯蔵した酸化剤を消費して飛ぶのなら、上昇限度は単に航続距離の問題になる。
とはいえ、大気圏内では揚力や吸気を利用した方が明らかに経済的であるため、そのような航行は宇宙ロケットと弾道ミサイルでのみ行われる。

関連:ズーム上昇

類義語

絶対上昇限度
理論上の上昇限度。数学で言う「極限値」であり、実際に到達するためには無限の時間が必要になる。
実用上昇限度
30m上昇するのに1分かかる高度。これ以上の上昇は現実的でない。
運用高度限界
90m上昇するのに1分かかる高度。通常はこれ以上の上昇を試みるべきでない。
軍用機作戦上の制約(敵防空網有効射程など)のため運用高度限界を超えた上昇を強いられる事もある。

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