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- 60 (2023-10-22 (日) 12:39:12)
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【秋月】 †
- 大日本帝国海軍・大型防空駆逐艦「秋月」。
同型艦に照月、涼月、初月、新月、若月、霜月、冬月、春月、宵月、夏月、花月の11隻*1があった。
本艦型は、航空機の技術革新が1930年代に入ってから急速に進み、艦隊にとって新たな脅威となったことから、これへの対処策として計画された。
当初は、従来の艦よりも対空・対潜能力を強化し、機動部隊に随伴できる速力・航続力を持つ直衛専用艦とされ、名称もずばり「直衛艦」として計画された。
しかし、現場からは「艦隊決戦にも使えるように」という要望があり、魚雷発射管が追加されて「大型駆逐艦」としてデビューした*2*3。
備砲には、従来よりも砲身長の長い「九八式65口径10サンチ高角砲」が搭載され、強力な対空射撃能力を獲得した。
しかし、この砲は構造が複雑すぎて量産ができず、本艦型以外には重装甲空母「大鳳?」及び軽巡洋艦「大淀」にのみしか搭載できなかった。
その上、帝国海軍が最後までレーダー連動式の射撃指揮装置を実用化できなかったため、実戦での効率的な対空射撃は難しかったが、それでも、開発・設計・運用のコンセプトは航空主兵主義が支配的になった1940年代の海戦に適合したものであり、大戦中盤〜後期にかけてさまざまな海戦で活躍をみせた。
【スペックデータ】
乗員 263名(竣工時)/315名 排水量
(基準/公試/満載)2,700t/3,470t/3,878t 全長 134.2m 全幅 11.6m 喫水 4.15m(公試状態) 主缶 ロ号艦本式罐・重油焚×3基 主機 艦本式タービン×2基2軸推進(出力52,000hp) 燃料搭載量 重油 1,080t 最大速力 33.0kt 航続距離 8,000海里/18kt 兵装 (新造時)
九八式65口径10cm高角砲×4基8門
九六式25mm連装機銃×2基
4連装61cm魚雷発射管×1基4門(九三式魚雷8本)
九四式爆雷投射器×2基(九五式爆雷54個)
(1944年時)
九八式65口径10cm連装高角砲×4基8門
九六式25mm3連装機銃×5基
九六式25mm単装機銃×13基
13mm単装機銃×4基
4連装61cm魚雷発射管×1基4門(九三式魚雷8本)
九四式爆雷投射器×2基(九五式爆雷54個)電探(1944年時) 二式二号電波探信儀一型(21号電探)×1基
三式一号電波探信儀三型(13号電探)×1基水測兵装 九三式探信儀×1基
九三式水中聴音機×1基
【同型艦】
艦名 主造船所 起工 進水 就役 退役 備考 秋月
(あきづき)舞鶴工廠 1940.7.30 1941.7.2 1942.06.11 1944.12.10 1944.10.25喪失 照月
(てるづき)三菱・長崎 1940.11.13 1941.11.21 1942.8.31 1943.1.20 1942.12.12喪失 涼月
(すずつき)三菱・長崎 1941.3.15 1942.3.4 1942.12.29 1945.11.20 1948.解体*4 初月
(はつづき)舞鶴工廠 1941.7.25 1942.4.3 1942.12.29 1944.12.10 1944.10.25喪失 新月
(にいづき)三菱・長崎 1941.12.8 1942.6.29 1943.3.31 1943.9.10 1943.7.6喪失 若月
(わかつき)三菱・長崎 1942.3.9 1942.11.24 1943.5.31 1945.1.20 1944.11.11喪失 霜月
(しもつき)三菱・長崎 1942.7.6 1943.4.7 1944.3.31 1945.1.10 1944.11.25喪失 冬月
(ふゆつき)舞鶴工廠 1943.5.8 1944.1.20 1944.5.25 1945.11.20 1948.5.一部解体*5 春月
(はるつき)佐世保工廠 1943.12.23 1944.8.3 1944.12.28 1945.10.5 1947.8.28
戦時賠償艦としてソ連
に引き渡し。
(1969.6.4除籍)宵月
(よいづき)浦賀船渠 1943.8.25 1944.9.25 1945.1.31 1945.10.5 1947.8.29
戦時賠償艦として中華民国
(台湾)に引き渡し。
(1963.除籍・解体)夏月
(なつづき)佐世保工廠 1944.2.10 1944.10.10 1945.4.8 1945.10.5 1947.9.3
戦後賠償艦としてイギリス
に引き渡し
(1947.9.10解体*6)花月
(はなづき)舞鶴工廠 1944.2.10 1944.10.10 1944.12.26 1945.10.5 1947.
戦時賠償艦としてアメリカ軍
に引き渡し(解体) - 海上自衛隊・大型護衛艦「あきづき(初代)」(JMSDF Akizuki DD-161/USS Akizuki DD-960)。
同型艦に「てるづき」(JMSDF Teruzuki DD-162/USS Teruzuki DD-961)がある。
本艦は、アメリカ政府が第二次世界大戦後、海外同盟国への軍事援助の一環として実施していた「域外調達(OSP*7)」により、合衆国の1957会計年度軍事予算で日本の造船所に発注・建造された。
そのため、建造中はアメリカ海軍の艦籍番号*8を持っており、竣工と同時に海自へ「供与」の形で引き渡された。
基準排水量2,000トン以上と、当時の海自艦艇の中ではかなりの大型であり、このスペースを生かして司令部スペースや長官公室などが備えられ、艦隊旗艦として活用された。
ネームシップ「あきづき」は竣工後、1963年に陸上に移されるまで自衛艦隊の旗艦を務め、その後の1969年〜1985年までは護衛艦隊の2代目旗艦となった。
一方、姉妹艦の「てるづき」は護衛艦隊創設と共にその初代旗艦となり、1969年に「あきづき」に将旗を移すまでその任にあった*9。
その後、1980年代半ばには後継の「みねぐも」型や「はつゆき」型に任務を譲る形で艦隊から退き、練習艦や特務艦などに改装された後、1993年に2隻とも除籍・解体された。
【スペックデータ】
乗員 330名 基準排水量 2,350t 全長 118m 全幅 12m 深さ 8.5m 喫水 4m 機関 三菱エッシャーウイス型蒸気タービン(「あきづき」)×2基
新三菱ウェスチングハウス製蒸気タービン(「てるづき」)×2基
2軸推進(出力45,000馬力)最大速力 32kt 兵装 Mk.39 54口径5インチ(127mm)単装砲×3門
57式3インチ(76mm)連装速射砲×2基4門
55式4連装53cm魚雷発射管×1基
Mk.108対潜ロケット発射機×1基(後に71式ボフォース・ロケット・ランチャーに換装)
54式対潜弾(ヘッジホッグ?)投射機×2基
Mk.2短魚雷落射機×2基
55式爆雷投射機(Y砲)×2基
54式爆雷投下軌条×2条レーダー OPS-1対空レーダー
OPS-5対水上レーダーソナー SQS-4捜索ソナー
SQR-8攻撃用ソナーFCSレーダー US Mk.34射撃レーダー FCS 57式射撃装置
Mk63 Mod14射撃装置ECM装置 US NOLR-1 ECM装置
【同型艦】
艦番号 艦名 主造船所 起工 進水 就役 退役 備考 DD-960
→DD-161
→ASU-7010あきづき
(JMSDF Akizuki)三菱・長崎 1958.7.31 1959.6.26 1960.2.13 1993.12.7 1985.3.27
種別変更
(特務艦)DD-961
→DD-162
→ASU-7012てるづき
(JMSDF Teruzuki)三菱・神戸 1958.8.15 1959.6.24 1960.2.29 1993.9.27 1986.3.27
種別変更
(特務艦) - 海上保安庁小型巡視艇「あきづき」(MSA Akizuki PC-64)。
1970年代〜1980年代にかけて導入された、狭水道での哨戒・警備用の小型巡視艇。公称船型は「特23メートル型巡視艇」。
同型船に「しののめ」「うらゆき」「いせゆき」「はたぐも」「まきぐも」「はまづき」「いそづき」「しまなみ」「ゆうづき」「はなゆき*10」「あわぎり」の11隻がある。
航路を航行する制限速力(12ノット)に合わせて長時間航行すると共に、高速発揮も求められることから、動力には巡航用とブースト用のディーゼルエンジンを組み合わせたCODAD方式を採用している。
現在、老朽化により4隻が退役している。
【スペックデータ】
総トン数 127t(旧) 全長 26m 全幅 6.3m 深さ 3m 機関 ディーゼルエンジン×3基3軸推進(出力:3,000馬力) 速力 22kt 航続距離 220浬 人員 10名 武装 なし
【同型艦】艦番号 艦名 建造所 就役 退役 所属 PC-64 あきづき 三菱・下関 S49.2.28 H8.3.11 横浜 PC-65 しののめ 三菱・下関 S49.3.25 H8.2.9 鳥羽 PC-72 うらゆき 三菱・下関 S50.5.31 横須賀 PC-73 いせゆき 三菱・下関 S50.7.31 H13.2.22 鳥羽 PC-75 はたぐも 三菱・下関 S51.2.21 H24.2.14 横須賀 PC-76 まきぐも 三菱・下関 S51.3.19 鳥羽 PC-77 はまづき 三菱・下関 S51.11.29 坂出 PC-78 いそづき 三菱・下関 S52.3.18 横浜 PC-79 しまなみ 三菱・下関 S52.12.23 名古屋 PC-80 ゆうづき 三菱・下関 S54.3.22 横須賀 PC-81 はなゆき
→たまなみ三菱・下関 S56.3.27 横浜 PC-82 あわぎり 三菱・下関 S58.3.24 神戸 - 海上自衛隊汎用護衛艦「あきづき(2代)」(JMSDF Akizuki DD-115)。
従来の護衛艦を大型化した「仮称5000トン級護衛艦(19DD)」として、2007年(平成19年)度防衛予算で発注・建造された大型護衛艦。
前級のたかなみ型と比べ、あたご型イージス護衛艦と同様の塔型の新型マストや平面固定型対空レーダーを採用し、上部構造物を舷側まで拡大するなど、ステルス性の向上が図られている。
また本級は、BMD行動中のイージス艦を補佐するのを目的としているため、「たかなみ」型のVLSよりもESSM(RIM-162)の搭載量が増加している。
C4Iシステムや対空戦闘システムについては、ひゅうが型ヘリコプター搭載護衛艦に搭載されていた「OYQ-10」戦術情報処理装置?とFCS-3多機能レーダーの改良型である「OYQ-11」と「FCS-3A(00式射撃指揮装置)」を搭載している。
艦載機についてはSH-60Kを最大2機搭載する事が可能。
ちなみに「あきづき」には現在、07式垂直発射魚雷投射ロケットは搭載されていない。
ネームシップの「あきづき」は2012年3月、2番艦の「てるづき」は2013年3月にそれぞれ就役した。
このほか、姉妹艦2隻が艤装中である。
【スペックデータ】
乗員 約200名 排水量
(基準/満載)5,000t/6,800t 全長 150.5m 全幅 18.3m 深さ 10.9m 吃水 5.4m 機関 COGAG方式 2軸推進
SM1Cガスタービン(16,000PS)×4基最大速力 30kt 兵装 Mk45 62口径5インチ単装砲×1基
高性能20mm機関砲(CIWS)×2基
4連装90式SSM発射筒×2基
Mk41VLS×32セル1基(ESSM・07式垂直発射魚雷投射ロケットを発射可能)
HOS-303 3連装短魚雷発射管×2基艦載機 SH-60K哨戒ヘリコプター×1〜2機 C4Iシステム MOF*11システム(SUPERBIRD B2)
海軍戦術情報システム(OYQ-11 ACDS+リンク11/14/16)FCS FCS-3A(00式射撃指揮装置) レーダー FCS-3A 多機能レーダー(捜索用、FC用アンテナ各4面)×1基
OPS-20C 航海用レーダー×1基ソナー OQQ-22 統合ソナー・システム(バウ・ソナー+OQR-3 TACTASS) 電子戦
・対抗手段NOLQ-3D 統合電子戦システム
Mk36 SRBOC 対抗手段システム
(Mk.137 チャフ・フレア発射機×4基)
曳航具4型
投射型静止式ジャマー×2基
自走式デコイ×2基【同型艦】
艦番号 艦名 主造船所 起工 進水 竣工 所属 DD-115 あきづき
(JMSDF Akizuki)三菱・長崎 2009.7.17 2010.10.13 2012.3.14 第1護衛隊群
第5護衛隊
(佐世保基地)DD-116 てるづき
(JMSDF Teruzuki)三菱・長崎 2010.6.2 2011.9.15 2013.3.7 第2護衛隊群
第6護衛隊
(横須賀基地)DD-117 すずつき
(JMSDF Suzutsuki)三菱・長崎 2011.5.18 2012.10.17 2014.3.予定 - DD-118 ふゆづき
(JMSDF Fuyuzuki)三井造船
玉野事業所2011.6.14 2012.8.22 2014.3.予定 -
*1 計画では、他に20隻建造予定だった。
*2 サイズ的には大正末期に建造された小型軽巡洋艦「夕張」に匹敵していた。
*3 同じ頃、米英海軍でも「アトランタ」級(米)や「ダイドー」級(英)といった、防空任務に特化された巡洋艦が造られていた。
*4 船体は福岡県若松港の防波堤に使用される。
*5 船体は福岡県若松港の防波堤に使用される。
*6 解体は日本国内で行われた。
*7 Off Shore Procurement.
アメリカが対象国に資金を与えて兵器を作らせ、完成後は対象国軍の装備として供与するもの。
*8 「あきづき」が「DD-960」、「てるづき」は「DD-961」であった。
*9 現在は護衛艦隊司令部も陸上に移され、自衛艦隊及び護衛艦隊において「旗艦」制度は廃止されている。
*10 後に「たまなみ」と改称。
*11 Maritime Operation Force System:海上作戦部隊指揮管制支援システム